こじらせ王子とその妃【完】

mako

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夜会1

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扉が開かれ会場に入ると、キャサリンでさえ見た事が無いような豪華絢爛の会場であった。


既に控えめながら奏でられる王宮雅楽団による音楽。ずらりと並ぶ芸術品のような食事やスイーツ。

カールトンは小さく微笑んだ。隣の妻は目を輝かせているだろうと思い視線を流すとキャサリンはそれらには見向きもせず、表情豊かなキャサリンでは苦痛であろう無表情で凛と前を見据えていた。


ゴクリと生唾を飲み込み客観的にキャサリンを見ると、美しく威厳溢れる国母そのもの。恐らくは今回の件を伝え聞いたモニカ辺が仕上げてみせたのだろうがそもそもの素材が素晴らしい。

それなのにここに入る前には自ら薬草を取りに山に入り泥だらけになって戻ってきたキャサリン。

王女でありながらワガママ放題でも無く、威厳をまき散らすでも無い。王宮では特に親しい者へはかなり砕けた物言いも許しているという。

カールトンは今まで気づかないフリをしていたがキャサリンへの気持ちはこれ以上知らぬふりは出来そうもなかった。


カールトンはキャサリンに耳打ちする。

『ファーストダンスは誰と踊るかは判っているね?』


当たり前の事を確認するカールトンを見上げキャサリンは小さく頷く。


‥そんな確認までされるほど緊張して見えるのかしら?


不安になったキャサリンはカールトンの胸に顔を近づけ、周りから見えない様にし顔を大きく動かしストレッチをしてみた。

‥よし。

キャサリンが顔を上げると驚き目を見開くカールトンに

『お顔をほぐしましたのよ?』

キャサリンはカールトンだけに見える角度であどけなく微笑み舌を出した。


‥完敗。

カールトンは敢え無く敗北である。


その後、ダリス大王国エドワード殿下より謝意が語られ和やかな夜会が始まった。

カールトンは終始キャサリンから離れず、腰をホールドしている。先日みたソフィア様夫婦を思い出したキャサリンは真っ赤になる。

『殿下、社交はよろしいのですか?』


耳元で囁くと


『私は仕事が早いって知らない?』


微笑むカールトンに

『存じております‥』


俯くしかないなんちゃって国母のキャサリンであった。




そんな時ファビウスがカールトンに

『殿下、ダリス大王国エドワード殿下がお呼びでございます。』

カールトンは小さく舌打ちをし壇上の国王夫妻に視線を移す。

『キャサリンを頼む。』

ファビウスは礼を取りキャサリンの後ろに控えるとカールトンはキャサリンの耳元で


『ファーストダンスは?』

キャサリンは上目遣いで

『カールトン様です。』


カールトンは微笑み壇上へと向かった。

壇上へ向うとこちらに気付いた2人は壇上から降りてきた。

『お呼び立てしてすまないね。』

ダリス大王国国王のエドワードが言うと

『いえ』

カールトンは礼を取る。

『色々と迷惑をかけてすまなかった。特にステファニー殿については王妃ルリネットの兄上の嫁だ。こちらもなかなか口出ししにくい立場でね。』

ルリネット妃も

『お兄様も大変感謝されてましたのよ?明日はキャサリン様にお目通り出来ると楽しみにしておりますわ。』


‥あ、そうであった。


そこへリア大王国のマキシミリアンが加わり


『姑息な真似をするね』

カールトンを覗き込むとカールトンは苦虫を噛み潰したように

『何のことですか?』

とぼけるカールトン。ファーストダンスを夫と踊って居ないキャサリンは他の者とはダンスが出来ないのである。


するとエドワードがニヤリと笑い

『ファーストダンスだろ?』


マキシミリアンに問うとマキシミリアンはエドワードを軽く睨み付ける。エドワードは笑いながら

『カールトン殿、気にするな。私もかつてマキシミリアン殿とは恋敵であったからね。』

にっこり微笑みとなりのルリネットの腰を引き寄せた。

4人で談笑しているとルリネットがキャサリンへ絡むあの王妃を見つけた。顔を顰めるルリネットを見て視線を追うとファビウスがキャサリンの前に立つのが見えた。すぐさま向かおうとするカールトンにマキシミリアンはニヤリと


『お手並み拝見といこう。』

エドワードも黙って頷く。カールトンは仕方なく小さく頷いた。








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