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2人の妃
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結婚式を終えた夜会にはムヌク王国の貴族らも多数参加していた。キャサリンはカールトンや国王と王妃と共に、新郎新婦である2人の入場を待っていた。
まだ会場には噂の妃は一人しか居ない。必然的に貴族らの視線はキャサリンに集まる。キャサリンはその視線を一身で受け真っ直ぐに前を見据えている。流石は元王女。各国との王族とも躊躇なく話せる社交性と語学力を見せつける。王族の威厳を惜しみなく振りまいていた。
キャサリンが一人で奮闘しているとやがて2人の入場を知らせるファンファーレが鳴り響いた。
常日頃笑顔を撒き散らすエリーヌは背筋を真っ直ぐに前を見据える。会場をぐるりと見渡すとゆっくりと微笑んだ。
ゴクリと息を飲む音が確かに聞こえる。貴族令息らを魅了する美しさはもちろん馬子にも衣裳か王子妃としての威厳も備え持って居るように見えた。
王族のファーストダンスで始まる夜会。今宵は中央に第2王子夫妻が舞う。ヨハネスとエリーヌは2人で踊る初めてのダンスとは思えない程美しく会場の視線を独占していた。
そんなエリーヌに次にダンスを申し込んだのはアリア大王国マキシミリアンであった。エリーヌは一瞬驚くもヨハネスを見ると、笑顔で頷いている。
『マキシミリアン殿、お願いします』
ヨハネスが礼を取ると
『少し借りるぞ』
マキシミリアンはエリーヌの手を取りダンスの輪にエスコートした。
『驚いた。令嬢というものはいくつもの仮面を装着すると言うがこれ程驚いたのは初めてだ』
マキシミリアンがエリーヌを見ると
『その節は大変失礼を致しました。』
ニコリと遠慮がちに微笑んだ。
『して、本来の姿は?』
『私もわかりませんの』
2人は大きく笑った。
アリア大王国はその名の如く王国より大きな力を持つ。その国の王太子と声を上げて談笑する姿にムヌク王国の貴族らは呆気に取られる。
マキシミリアンはエリーヌとキャサリンの思惑を知ってか各国の王太子を呼び寄せるとエリーヌと談笑を始めた。マキシミリアンの得意なお手並み拝見はすぐに結果が現れた。
エリーヌは恐らくは5カ国いやそれ以上の語学力を持っていた。その国々の特産物や王族構成まで熟知している様である。それに加えて社交性もある。これ程の女性が一国の公爵令嬢とは信じ難い。マキシミリアンはエリーヌをじっくり観察していた。
そんな時エリーヌは後ろに控えるロアンに目配せをする。
『妃殿下、何かごさいましたか?』
ロアンがエリーヌに耳打ちすると
『何かではありません。貴方何してるのよ?』
ロアンは目を丸くし
『何をとは?』
エリーヌはバルコニーに目をやる。そこには一人でベンチに腰を下ろすアナベルが居た。
『あのような所で一人にしては危ないわ。貴方婚約者でしょう?』
『ですが、私は職務中ですので。』
ロアンはエリーヌの後ろに控える。
エリーヌは小さく息を吐くとマキシミリアンらにカーテシーをしバルコニーに向う。必然的にロアンも後ろに続く。
アナベルはエリーヌとロアンを見て驚き立ち上がるとすかさずカーテシーをしようとするもエリーヌは
『アナベル様、こんな所でお一人でいらしたら先日のように絡まれますわよ。』
ロアンをジロリと睨み付けながら言うと
『申し訳ありません。』
頭を下げるアナベルにエリーヌは
『アナベル様。あなたも貴族令嬢でしたらいくつかの仮面を被らないとこの世界では生きてはいけませんわよ?』
『妃殿下、恐れながらアナベルには令嬢のように仮面を被る事などさせたくありません。』
珍しく声を上げるロアンに
『であれば誰がアナベル様をお守りするの?あなたは職務中でしょう?こんな所で一人でいたらまた絡まれますわよ?むしろ絡んで下さいって言っている様なもの。』
押し黙る2人に
『アナベル様。あなたのピュアな所は私も大好きです。ですがご自分の身はご自分で守らなければならない。でなければ大切な人にも心配を掛ける事になる。分かるわね?』
優しく諭すエリーヌにロアンは呆気に取られる。
‥先日まで脳内お花畑であったはずなのだが?
これが妃殿下の言う仮面か?
『アナベル様。貴女の本当の姿はこのロアンだけが知っていればよろしくてよ?』
そう言ってアナベルの肩に手を置くエリーヌはまるで聖母の様な輝きが放たれていた。
アナベルはエリーヌの言葉にゆっくり頷き一筋の涙をこぼした。
その様子を見ていた者によりエリーヌは一日して脳内お花畑の異名は卒業となったのである。
まだ会場には噂の妃は一人しか居ない。必然的に貴族らの視線はキャサリンに集まる。キャサリンはその視線を一身で受け真っ直ぐに前を見据えている。流石は元王女。各国との王族とも躊躇なく話せる社交性と語学力を見せつける。王族の威厳を惜しみなく振りまいていた。
キャサリンが一人で奮闘しているとやがて2人の入場を知らせるファンファーレが鳴り響いた。
常日頃笑顔を撒き散らすエリーヌは背筋を真っ直ぐに前を見据える。会場をぐるりと見渡すとゆっくりと微笑んだ。
ゴクリと息を飲む音が確かに聞こえる。貴族令息らを魅了する美しさはもちろん馬子にも衣裳か王子妃としての威厳も備え持って居るように見えた。
王族のファーストダンスで始まる夜会。今宵は中央に第2王子夫妻が舞う。ヨハネスとエリーヌは2人で踊る初めてのダンスとは思えない程美しく会場の視線を独占していた。
そんなエリーヌに次にダンスを申し込んだのはアリア大王国マキシミリアンであった。エリーヌは一瞬驚くもヨハネスを見ると、笑顔で頷いている。
『マキシミリアン殿、お願いします』
ヨハネスが礼を取ると
『少し借りるぞ』
マキシミリアンはエリーヌの手を取りダンスの輪にエスコートした。
『驚いた。令嬢というものはいくつもの仮面を装着すると言うがこれ程驚いたのは初めてだ』
マキシミリアンがエリーヌを見ると
『その節は大変失礼を致しました。』
ニコリと遠慮がちに微笑んだ。
『して、本来の姿は?』
『私もわかりませんの』
2人は大きく笑った。
アリア大王国はその名の如く王国より大きな力を持つ。その国の王太子と声を上げて談笑する姿にムヌク王国の貴族らは呆気に取られる。
マキシミリアンはエリーヌとキャサリンの思惑を知ってか各国の王太子を呼び寄せるとエリーヌと談笑を始めた。マキシミリアンの得意なお手並み拝見はすぐに結果が現れた。
エリーヌは恐らくは5カ国いやそれ以上の語学力を持っていた。その国々の特産物や王族構成まで熟知している様である。それに加えて社交性もある。これ程の女性が一国の公爵令嬢とは信じ難い。マキシミリアンはエリーヌをじっくり観察していた。
そんな時エリーヌは後ろに控えるロアンに目配せをする。
『妃殿下、何かごさいましたか?』
ロアンがエリーヌに耳打ちすると
『何かではありません。貴方何してるのよ?』
ロアンは目を丸くし
『何をとは?』
エリーヌはバルコニーに目をやる。そこには一人でベンチに腰を下ろすアナベルが居た。
『あのような所で一人にしては危ないわ。貴方婚約者でしょう?』
『ですが、私は職務中ですので。』
ロアンはエリーヌの後ろに控える。
エリーヌは小さく息を吐くとマキシミリアンらにカーテシーをしバルコニーに向う。必然的にロアンも後ろに続く。
アナベルはエリーヌとロアンを見て驚き立ち上がるとすかさずカーテシーをしようとするもエリーヌは
『アナベル様、こんな所でお一人でいらしたら先日のように絡まれますわよ。』
ロアンをジロリと睨み付けながら言うと
『申し訳ありません。』
頭を下げるアナベルにエリーヌは
『アナベル様。あなたも貴族令嬢でしたらいくつかの仮面を被らないとこの世界では生きてはいけませんわよ?』
『妃殿下、恐れながらアナベルには令嬢のように仮面を被る事などさせたくありません。』
珍しく声を上げるロアンに
『であれば誰がアナベル様をお守りするの?あなたは職務中でしょう?こんな所で一人でいたらまた絡まれますわよ?むしろ絡んで下さいって言っている様なもの。』
押し黙る2人に
『アナベル様。あなたのピュアな所は私も大好きです。ですがご自分の身はご自分で守らなければならない。でなければ大切な人にも心配を掛ける事になる。分かるわね?』
優しく諭すエリーヌにロアンは呆気に取られる。
‥先日まで脳内お花畑であったはずなのだが?
これが妃殿下の言う仮面か?
『アナベル様。貴女の本当の姿はこのロアンだけが知っていればよろしくてよ?』
そう言ってアナベルの肩に手を置くエリーヌはまるで聖母の様な輝きが放たれていた。
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