16 / 61
心の休息
しおりを挟む
エレノアはベッドに入るも眠れそうになくバルコニーに出た。
夜風が冷たく心地良い。見上げれば満天の空。空気は乾き遠くの光が輝いている。
そんな光景の中、エレノアは一人涙を流していた。
アミュレット王国が娘を売った。
その一言にエレノアは体中の血液が逆流するかの如くどうにかなりそうな恐怖を覚えた。
それでも、それでも耐えた。耐え抜いた。
それはアミュレット第3王女からなのかヴェルヘルト王太子妃だからなのかはわからない。泣きたい事も我慢し心と反する態度で居続ける己の定めを呪いたい程に…。
エレノアは泣いた。声を殺して泣いた。誰にも悟られてはならない。
そんなエレノアを満天の空がキラキラと照らしてくれていた。
しばらくしてエレノアは部屋に入って行った。
その姿を隣のバルコニーでウィリアムが見つめていた事も知らずに…。
ウィリアムはその後も尚、隣のテオドールの部屋のバルコニーから満天の空を眺めていた。
声を掛ける事が出来なかった。
あまりの美しさからなのか、エレノアの涙を見たからなのか。
声を掛けたらエレノアが逃げ出す気がしたウィリアムはそっと息を殺してエレノアの死覚に入り、バルコニーの仕切りに耳を済ませていた。
声にならない感情を必死に押し殺し葛藤している様が容易に目に浮かんだ。
あの幼子の様なエレノア。
時に無邪気に、天真爛漫。そしてある時は気の強い強引なエレノア。
ウィリアムが頭を巡らせているとガラガラとテラスの扉が開かれた。
『ウィル、風邪引くよ。』
ウィリアムはテオドールに頷くと部屋に入った。
『どうしたの?何かあった?』
テオドールの問にウィリアムは何故か答えなかった。
『いや、別に。さあ、休もう』
ウィリアムは何故かソファに横になると
『テオ、今日はベッドを使ってくれ』
驚いたテオドールだがすぐにベッドに滑り込み眠りについた。
ウィリアムはソファに横になり隣の壁に目をやった。
本来ならばウィリアムも隣の部屋で一緒に休んでいるはずだ。そうすればエレノアの心の声を聞いてあげる事が、できたのであろうか。
一緒になみだを流していたのであろうか。
ヴェルヘルト王太子は妻が苦しんでいる時になんの力にもなれない男なのであろうか。
ウィリアムはそっと壁に手をやり瞳を閉じた。
夜風が冷たく心地良い。見上げれば満天の空。空気は乾き遠くの光が輝いている。
そんな光景の中、エレノアは一人涙を流していた。
アミュレット王国が娘を売った。
その一言にエレノアは体中の血液が逆流するかの如くどうにかなりそうな恐怖を覚えた。
それでも、それでも耐えた。耐え抜いた。
それはアミュレット第3王女からなのかヴェルヘルト王太子妃だからなのかはわからない。泣きたい事も我慢し心と反する態度で居続ける己の定めを呪いたい程に…。
エレノアは泣いた。声を殺して泣いた。誰にも悟られてはならない。
そんなエレノアを満天の空がキラキラと照らしてくれていた。
しばらくしてエレノアは部屋に入って行った。
その姿を隣のバルコニーでウィリアムが見つめていた事も知らずに…。
ウィリアムはその後も尚、隣のテオドールの部屋のバルコニーから満天の空を眺めていた。
声を掛ける事が出来なかった。
あまりの美しさからなのか、エレノアの涙を見たからなのか。
声を掛けたらエレノアが逃げ出す気がしたウィリアムはそっと息を殺してエレノアの死覚に入り、バルコニーの仕切りに耳を済ませていた。
声にならない感情を必死に押し殺し葛藤している様が容易に目に浮かんだ。
あの幼子の様なエレノア。
時に無邪気に、天真爛漫。そしてある時は気の強い強引なエレノア。
ウィリアムが頭を巡らせているとガラガラとテラスの扉が開かれた。
『ウィル、風邪引くよ。』
ウィリアムはテオドールに頷くと部屋に入った。
『どうしたの?何かあった?』
テオドールの問にウィリアムは何故か答えなかった。
『いや、別に。さあ、休もう』
ウィリアムは何故かソファに横になると
『テオ、今日はベッドを使ってくれ』
驚いたテオドールだがすぐにベッドに滑り込み眠りについた。
ウィリアムはソファに横になり隣の壁に目をやった。
本来ならばウィリアムも隣の部屋で一緒に休んでいるはずだ。そうすればエレノアの心の声を聞いてあげる事が、できたのであろうか。
一緒になみだを流していたのであろうか。
ヴェルヘルト王太子は妻が苦しんでいる時になんの力にもなれない男なのであろうか。
ウィリアムはそっと壁に手をやり瞳を閉じた。
2
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~
水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」
夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。
王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。
「左様でございますか」
彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
尽くしてきた婚約者に裏切られたので、婚約を解消しました〜彼が愛に気づいたのは、すべてを失ったあとでした〜
ともどーも
恋愛
「今回で最後だ。誓うよ」
これは二度目の『結婚式キャンセル』の時に言われた言葉。
四年間、愛する婚約者ディートリッヒのため尽くし続けてきたイリス。
だがディートリッヒは、イリスの献身を当然のものとし、やがて初恋の令嬢エレノアを優先するようになる。
裏切り、誤解、そして理不尽な糾弾。
心も身体も限界を迎えた夜、イリスは静かに決意した。
──もう、終わらせよう。
ディートリッヒが「脅しのつもり」で差し出した婚約解消の書類を、イリスは本当に提出してしまう。
すべてを失ってから、ようやく自分の愛に気づいたディートリッヒ。
しかしもう、イリスは振り返らない。
まだ完結まで執筆が終わっていません。
20話以降は不定期更新になります。
設定はゆるいです。
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる