愛するということ【完】

mako

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心の休息

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エレノアはベッドに入るも眠れそうになくバルコニーに出た。

夜風が冷たく心地良い。見上げれば満天の空。空気は乾き遠くの光が輝いている。

そんな光景の中、エレノアは一人涙を流していた。


アミュレット王国が娘を売った。

その一言にエレノアは体中の血液が逆流するかの如くどうにかなりそうな恐怖を覚えた。

それでも、それでも耐えた。耐え抜いた。


それはアミュレット第3王女からなのかヴェルヘルト王太子妃だからなのかはわからない。泣きたい事も我慢し心と反する態度で居続ける己の定めを呪いたい程に…。

エレノアは泣いた。声を殺して泣いた。誰にも悟られてはならない。

そんなエレノアを満天の空がキラキラと照らしてくれていた。


しばらくしてエレノアは部屋に入って行った。

その姿を隣のバルコニーでウィリアムが見つめていた事も知らずに…。



ウィリアムはその後も尚、隣のテオドールの部屋のバルコニーから満天の空を眺めていた。


声を掛ける事が出来なかった。
あまりの美しさからなのか、エレノアの涙を見たからなのか。


声を掛けたらエレノアが逃げ出す気がしたウィリアムはそっと息を殺してエレノアの死覚に入り、バルコニーの仕切りに耳を済ませていた。


声にならない感情を必死に押し殺し葛藤している様が容易に目に浮かんだ。

あの幼子の様なエレノア。
時に無邪気に、天真爛漫。そしてある時は気の強い強引なエレノア。

ウィリアムが頭を巡らせているとガラガラとテラスの扉が開かれた。

『ウィル、風邪引くよ。』


ウィリアムはテオドールに頷くと部屋に入った。


『どうしたの?何かあった?』

テオドールの問にウィリアムは何故か答えなかった。

『いや、別に。さあ、休もう』

ウィリアムは何故かソファに横になると

『テオ、今日はベッドを使ってくれ』

驚いたテオドールだがすぐにベッドに滑り込み眠りについた。


ウィリアムはソファに横になり隣の壁に目をやった。

本来ならばウィリアムも隣の部屋で一緒に休んでいるはずだ。そうすればエレノアの心の声を聞いてあげる事が、できたのであろうか。
一緒になみだを流していたのであろうか。

ヴェルヘルト王太子は妻が苦しんでいる時になんの力にもなれない男なのであろうか。

ウィリアムはそっと壁に手をやり瞳を閉じた。










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