俺を好きになるな、お前を愛していない、極道の目覚めた独占欲

第七章 加子の妊娠

⑤

加子、元気そうで何よりだ。

「組長、影ながら護衛ですか」

「ああ、林田は自分の子供じゃないことは知っているはずだ、それなのに、
離婚しないとは、流産させる魂胆だろう」

「なんてひどいやつなんだ」

「俺が加子の身辺をうろつけば、奴を刺激する、何をしでかすかわからないからな」

蓮也は、密かに加子を護衛しようと考えたのだ。

「組長、加子さんを攫っちゃえばどうですか」

「お前なあ、考えが浅はかなんだよ」

「だって、おかしいじゃないですか、加子さんは仕方なく、林田の元にいるんですよね、
組長の子供を生もうとしています、組長はそんな加子さんを護衛しています、
お互いに愛し合っているのに、どうして一緒にいないんですか」

「加子は林田の妻として生きる方が幸せだ、堅気の加子を極道の世界に
引き摺り込むなど出来るか、それに俺は加子を愛しているわけじゃない」

蓮也は自分の気持ちに気づかないんじゃない、気づかないようにしているのだ。

もう、二度とあんな思いはしたくないと心に決めていた。

それなのに、自分を慕い、思いをぶつけてくる加子に戸惑っていたのは事実だ。

愛華の元に一週間泊まるなんて嘘までついて……

加子が病院から出てきた時、一台の車がゆっくり、加子に近づいた。

蓮也はおかしいと思い、車から降りて、怪しい車に近づいた。