3 / 11
第三章 俺の正体
俺の正体
しおりを挟む
あれから三年の歳月が流れた。
えみりを忘れたはずだったのに、あの路地でえみりと再会をしてしまうなど、誰が予想出来ただろうか。
そして、あの男に騙されて、連帯保証人にされ、借金返済に追われているえみりを、俺は助けてしまった。
いや、金の力で自分の側に置くと言う、卑怯な手を使ったんだ。
この三年間で俺は別人の様に変わった。
えみりは気づいていないだろう。
三年前は極道と言うことは明かしていなかった。
今、えみりの目の前にいる俺は登龍組若頭だ。
そして、えみりの借金を肩代わりした俺は、えみりを妻として迎える。
時期を見て俺は登龍組組長を就任する。
こんな卑怯な俺の正体を知ったら、えみりはどう思うのだろうか。
今、俺の目の前で気を失っているえみりを見ながら、俺は生涯をかけて守ると誓った。
白々と夜が明けてきた。
修吾は一睡も眠れず朝を迎えた。
修吾のベッドですやすや眠っているえみりをじっと見つめていた。
修吾の胸に顔を埋めているえみりの姿は何ものにも変えがたい。
俺はえみりをギュッと抱きしめた。
するとえみりは目を覚まし、驚いた表情を見せた。
「どうかしたか」
「いえ、登龍さんの顔が、思ったより近くにあったので、びっくりしたんです」
「お前は俺の妻だ、何もびっくりすることではないだろう」
「そうですね」
そう言ってえみりはベッドから起き上がった。
「朝食作りますね、苦手なものありますか」
えみりは修吾に問いかけた。
「いや、大丈夫だ」
「待っててくださいね」
えみりは何か思い出したような表情を見せた。
「どうかしたのか」
俺はえみりに声をかけた。
「いえ、なんか以前、同じような会話を誰かと交わしたような気がして」
(えみり、俺だよ)
三年前の俺のことは全く記憶にないんだな。
えみりは手際よく朝食を作り始めた。
「えみり、明日、山極のおじきに、お前を紹介する、一緒に来てくれ」
「はい」
(これで俺もやっと登龍組組長を就任出来るな)
そうじゃない、やっとえみりを俺の側に置いておける。
次の日、俺は朝から体調が悪かった。
しかし、夜は山極のおじきと約束しているため、無理せざるおえなかった。
夜まで身体を横たえていようかと考えたが、今ベッドに身体を横たえたら起きられる気がしなかった。
それだけ最悪の体調だった。
そんな俺の様子にえみりは気づいて声をかけてきた。
「おはようございます、登龍さん、大丈夫ですか」
「何がだ」
「具合悪いんじゃないかと思って」
俺は驚いた、ほとんど喜怒哀楽を面に出さない俺は、組員からもキャバ嬢からも、何を考えているかわからないと言われている。
ましてや体調が悪いなど、決して面に表さないようにしてきた、俺のプライドが許さないからだ。
そんな俺の様子に気づいたのはえみりが初めてだった。
「熱測りましょうか」
「大丈夫だ、それより夜、仕事から戻ったらおじきに挨拶に行く、支度しておけよ」
えみりは少し困った様子を見せた。
「どうしたんだ」
「服がなくて……」
俺は行きつけの店に買いに行くように促した。
「午後、海東を向かわせる、買い物に付き合ってもらえ」
海東は登龍組で俺の側近を務める信頼おける男だ。
俺が組長を就任した暁には海東が若頭を継ぐことになっている。
えみりはまた困った表情を見せた。
「どうした」
「服の代金は今はお支払い出来ないので、借金に上乗せしておいてください」
「そんなこと気にするな、お前は俺の妻だ」
えみりは頬を真っ赤に染めて頷いた。
「では、お言葉に甘えさせて頂きます」
えみりを忘れたはずだったのに、あの路地でえみりと再会をしてしまうなど、誰が予想出来ただろうか。
そして、あの男に騙されて、連帯保証人にされ、借金返済に追われているえみりを、俺は助けてしまった。
いや、金の力で自分の側に置くと言う、卑怯な手を使ったんだ。
この三年間で俺は別人の様に変わった。
えみりは気づいていないだろう。
三年前は極道と言うことは明かしていなかった。
今、えみりの目の前にいる俺は登龍組若頭だ。
そして、えみりの借金を肩代わりした俺は、えみりを妻として迎える。
時期を見て俺は登龍組組長を就任する。
こんな卑怯な俺の正体を知ったら、えみりはどう思うのだろうか。
今、俺の目の前で気を失っているえみりを見ながら、俺は生涯をかけて守ると誓った。
白々と夜が明けてきた。
修吾は一睡も眠れず朝を迎えた。
修吾のベッドですやすや眠っているえみりをじっと見つめていた。
修吾の胸に顔を埋めているえみりの姿は何ものにも変えがたい。
俺はえみりをギュッと抱きしめた。
するとえみりは目を覚まし、驚いた表情を見せた。
「どうかしたか」
「いえ、登龍さんの顔が、思ったより近くにあったので、びっくりしたんです」
「お前は俺の妻だ、何もびっくりすることではないだろう」
「そうですね」
そう言ってえみりはベッドから起き上がった。
「朝食作りますね、苦手なものありますか」
えみりは修吾に問いかけた。
「いや、大丈夫だ」
「待っててくださいね」
えみりは何か思い出したような表情を見せた。
「どうかしたのか」
俺はえみりに声をかけた。
「いえ、なんか以前、同じような会話を誰かと交わしたような気がして」
(えみり、俺だよ)
三年前の俺のことは全く記憶にないんだな。
えみりは手際よく朝食を作り始めた。
「えみり、明日、山極のおじきに、お前を紹介する、一緒に来てくれ」
「はい」
(これで俺もやっと登龍組組長を就任出来るな)
そうじゃない、やっとえみりを俺の側に置いておける。
次の日、俺は朝から体調が悪かった。
しかし、夜は山極のおじきと約束しているため、無理せざるおえなかった。
夜まで身体を横たえていようかと考えたが、今ベッドに身体を横たえたら起きられる気がしなかった。
それだけ最悪の体調だった。
そんな俺の様子にえみりは気づいて声をかけてきた。
「おはようございます、登龍さん、大丈夫ですか」
「何がだ」
「具合悪いんじゃないかと思って」
俺は驚いた、ほとんど喜怒哀楽を面に出さない俺は、組員からもキャバ嬢からも、何を考えているかわからないと言われている。
ましてや体調が悪いなど、決して面に表さないようにしてきた、俺のプライドが許さないからだ。
そんな俺の様子に気づいたのはえみりが初めてだった。
「熱測りましょうか」
「大丈夫だ、それより夜、仕事から戻ったらおじきに挨拶に行く、支度しておけよ」
えみりは少し困った様子を見せた。
「どうしたんだ」
「服がなくて……」
俺は行きつけの店に買いに行くように促した。
「午後、海東を向かわせる、買い物に付き合ってもらえ」
海東は登龍組で俺の側近を務める信頼おける男だ。
俺が組長を就任した暁には海東が若頭を継ぐことになっている。
えみりはまた困った表情を見せた。
「どうした」
「服の代金は今はお支払い出来ないので、借金に上乗せしておいてください」
「そんなこと気にするな、お前は俺の妻だ」
えみりは頬を真っ赤に染めて頷いた。
「では、お言葉に甘えさせて頂きます」
0
あなたにおすすめの小説
禁断溺愛
流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。
お前に惚れた〜極道の一途すぎる愛
ラヴ KAZU
恋愛
我妻組若頭、我妻力也は、堅気の女性と結婚したいと常々思っていた。
そして婚活パーティーに参加した。
そこで巡り合ったのが、コンビニバイトの榊ひとみだった。
力也は極道の正体を隠して、表の顔である我妻コーポレーション社長として、
ひとみを食事に誘った。
車といい、運転手といい、なんかおかしい。
もしかして、極道の世界の人?
ひとみは早くこの場から離れなくてはと思い出した。
それに時間が経つにつれて、ひとみは時計を気にし始めた。
実は、ひとみはキャバクラで働くキャバ嬢だった。
しかも、我妻組管轄の店だ。
そうとは知らない力也はひとみにいきなりプロポーズをする。
過去の恋愛にトラウマがあるひとみは力也の言葉を信じられない。
(我妻さんが極道だったら、年齢詐称がバレる、堅気の人でも、私がキャバ嬢だなんて言えない)
ひとみはタクシーを呼んでもらった。
タクシーが発進する直前、力也はひとみにキスをした。
「俺は諦めない、ひとみと結婚する」
タクシーは暗闇の中、走り出した。
俺の抱擁に溺れろ、お前の全てが欲しい、極道の一途な愛
ラヴ KAZU
恋愛
花園かすみは昼間はOL、そして夜はキャバクラで働くキャバ嬢ユリエ。
二つの顔を持つ女性である。
キャバクラで新堂組若頭、新堂健斗に指名され、はじめてを経験する。
毎日指名してくれる健斗。
ある日、春日部コーポレーションで新社長就任の挨拶があり、かすみは秘書に抜擢される。
新社長は健斗だった。
キャバ嬢のユリエのバイトは会社に内緒なのに、がっくりするかすみ。
ところが健斗も表の顔は春日部拓真、春日部コーポレーション社長である。
かすみの運命はどうなっていくのか。
そしてかすみにはもう一つ秘密が……
氷の上司に、好きがバレたら終わりや
naomikoryo
恋愛
──地方から本社に異動してきた29歳独身OL・舞子。
お調子者で明るく、ちょっとおせっかいな彼女の前に現れたのは、
“氷のように冷たい”と社内で噂される40歳のイケメン上司・本庄誠。
最初は「怖い」としか思えなかったはずのその人が、
実は誰よりもまっすぐで、優しくて、不器用な人だと知ったとき――
舞子の中で、恋が芽生えはじめる。
でも、彼には誰も知らない過去があった。
そして舞子は、自分の恋心を隠しながら、ゆっくりとその心の氷を溶かしていく。
◆恋って、“バレたら終わり”なんやろか?
◆それとも、“言わな、始まらへん”んやろか?
そんな揺れる想いを抱えながら、仕事も恋も全力投球。
笑って、泣いて、つまずいて――それでも、前を向く彼女の姿に、きっとあなたも自分を重ねたくなる。
関西出身のヒロイン×無口な年上上司の、20話で完結するライト文芸ラブストーリー。
仕事に恋に揺れるすべてのOLさんたちへ。
「この恋、うちのことかも」と思わず呟きたくなる、等身大の恋を、ぜひ読んでみてください。
俺様外科医の溺愛、俺の独占欲に火がついた、お前は俺が守る
ラヴ KAZU
恋愛
ある日、まゆは父親からお見合いを進められる。
義兄を慕ってきたまゆはお見合いを阻止すべく、車に引かれそうになったところを助けてくれた、祐志に恋人の振りを頼む。
そこではじめてを経験する。
まゆは三十六年間、男性経験がなかった。
実は祐志は父親から許嫁の存在を伝えられていた。
深海まゆ、一夜を共にした女性だった。
それからまゆの身が危険にさらされる。
「まゆ、お前は俺が守る」
偽りの恋人のはずが、まゆは祐志に惹かれていく。
祐志はまゆを守り切れるのか。
そして、まゆの目の前に現れた工藤飛鳥。
借金の取り立てをする工藤組若頭。
「俺の女になれ」
工藤の言葉に首を縦に振るも、過去のトラウマから身体を重ねることが出来ない。
そんなまゆに一目惚れをした工藤飛鳥。
そして、まゆも徐々に工藤の優しさに惹かれ始める。
果たして、この恋のトライアングルはどうなるのか。
Lost at sea〜不器用御曹司の密かな蜜愛〜
白山小梅
恋愛
大学に入学して以来、ずっと天敵だった六花と宗吾。しかし失恋をして落ち込む宗吾に話しかけたのをきっかけにわだかまりが解け、慰めの一度だけ関係を持ってしまう。それから卒業まで二人は友人として過ごす。
それから五年。同棲していた彼との関係が煮え切らず、別れ話の末に家を飛び出した六花。そんな彼女の前に現れたのは宗吾だった。行き場をなくした六花に、宗吾はある提案をしてきてーー。
Sランクの年下旦那様は如何でしょうか?
キミノ
恋愛
職場と自宅を往復するだけの枯れた生活を送っていた白石亜子(27)は、
帰宅途中に見知らぬイケメンの大谷匠に求婚される。
二日酔いで目覚めた亜子は、記憶の無いまま彼の妻になっていた。
彼は日本でもトップの大企業の御曹司で・・・。
無邪気に笑ったと思えば、大人の色気で翻弄してくる匠。戸惑いながらもお互いを知り、仲を深める日々を過ごしていた。
このまま、私は彼と生きていくんだ。
そう思っていた。
彼の心に住み付いて離れない存在を知るまでは。
「どうしようもなく好きだった人がいたんだ」
報われない想いを隠し切れない背中を見て、私はどうしたらいいの?
代わりでもいい。
それでも一緒にいられるなら。
そう思っていたけれど、そう思っていたかったけれど。
Sランクの年下旦那様に本気で愛されたいの。
―――――――――――――――
ページを捲ってみてください。
貴女の心にズンとくる重い愛を届けます。
【Sランクの男は如何でしょうか?】シリーズの匠編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる