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第一章 失恋しちゃった

運命の出会い

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私は体調が回復してきた時を見計らって、冬のニューヨークへ飛び立った。

多少は英語は出来るつもりでいた。

しかし、全くわからない、まるで外国に来たみたい、あれ、ニューヨークは外国だった。

どうしよう。

なんとか身振り、手振りでホテルに到着した。

もう、先が思いやられる。

お腹すいたよ、取り敢えず、日本から持ってきたお菓子を一口、美味しい。

なんて、幸せなの?

でも、お腹はもっとくれと催促してグーグー鳴っている。
コンビニとかないのかな。

ホテルを出て、コンビニを探した。

亜紀のバカ、ここはニューヨークだ、日本ではない。

日本人は金を持っているから狙われやすいってわかっていたのに。

案の定、私は何人かの白人男性に囲まれた。

嘘、なんか言ってるけど、何言ってるかさっぱりわからない。

そのうち、腕を掴まれて、人気のない場所に連れて行かれそうになった。

「助けて!」

私は叫んだ、日本語で。

誰も助けに来るわけない。

と、諦めかけたその時、一人の男性が白人男性に蹴りを入れた。

その場が騒然となった。

「理樹様」

また一人男性の声、日本語?

白人男性はなんか言ってその場を去った。

私に手を差し伸べた男性は「大丈夫?」と声をかけた。

日本語だ。

私は顔を上げて、その男性を見上げた。

日本人!私は涙が溢れて来た。

「怪我はない?」

「はい」

「血が出てるぞ、俺の泊まってるホテルはすぐそこだから手当をしよう」

「すみません」

日本人と言うだけで私はすっかり気を許した、どこの誰ともわからないのに……

助けてくれた男性が泊まっているホテルは高級ホテルだった。

「すごい、こんな高級ホテルに泊まってるなんて」

「お前はどこのホテルに泊まってるんだ」

「私、お前じゃありません、水本亜紀です」

「亜紀か、俺は東條理樹、東條ホールディングス社長だ」

東條?私の嫌な記憶が脳裏を掠めた。

でも、それも一瞬の出来事で、この時は気にも止めなかった。

社長?だからこんな高級ホテルに泊まってるんだ。

私は納得した。

そういえば、理樹様って呼ばれていたよね。

「痛い」

「少しは我慢しろ」

「私、痛いのは苦手なんです」

「じゃあ、初めての時は大変だっただろ」

初めての時?

「はじめて男に抱かれた時だよ」

私は顔が真っ赤になった。

「思い出してたのか」

「私、まだ経験ありません」

その男性はびっくりした表情で私を見つめた。
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