おばけ長屋へようこそっ!!

晴海りく

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異変

「なつ~?そろそろ、皆を起こしてくれる?」


と料理の支度をしている千世。なつは、目を擦りながら顔を洗い水を飲む。
少し準備運動をして、化け猫のねねに
「ねね!大きな声を出すから、耳を塞いでてね?」
「んにゃ~」

なつは、戸を開けて息を思いっきり吸う。

「みんな~!!!!!!朝御飯が、できたよーーーー!!!!!!!!」



スパーン


真向かいから、乙女が出てきて
「…なつ、あんた元気だね…?」 
栄は、腹をかきながら
「千世さんの朝飯は…幸せだよな…」
一之丞は栄にもたれて寝ている。
綾は、なつを撫でながら
「さあさ、食べようじゃないか!」

みんなが千世となつの家に入ると新右衛門が
「皆!遅いぞ!腹が減ったわ!おい!河童の単語みなも水面と狸の単語こり古里は、どこ行った?」
台所から、千世と水面が
「ここですよ~」
「きゅうり食ってる!」
なつと古里は、手を繋ぎながら
「ここだよ!古里!ご飯だから、食べよう!もんちゃん!涎がすごいよ!」
一つ目小僧のもんは正座をして、今か今か待っている。
千世は、笑いながらコホンと咳払いをする。
「今日の味噌汁は、豆腐とワカメです。漬け物は、茄子ときゅうりです。あとは…納豆です。」
新右衛門は、
「ではっ」

「「「「「「いただきます!!!」」」」」

パクパク  ハグハグ  ポリポリポリポリ   パクパク

なつは、一つ目小僧のもんを見ながら
「もんちゃん!おいしいね!」
そう言うと激しく首を振る。
新右衛門は、すべて食べきり
「ふぅ~腹一杯じゃ~!」
千世は味噌汁を飲み、新右衛門をジロリと見ながら
「新右衛門殿?納豆が残っておりますよ?」
「ふぐっ!ちっ千世殿…臭い豆が苦手でな?」
「…新右衛門殿。あなたが一番身体が大きく、力があります。そのような御方が食べ物で苦戦するなど…あってはならない…ので?」
「わかった!わかった!食べるぞ!」
乙女と綾は、クスクスと笑っている。

みんなお腹が満たされて休憩をしていた。

千世は、乙女と綾に
「薬を煎じる時間ですよね?」
「あっ!そうだわ!千世と綾、私の家へ来てちょうだいね!」
「「はーい!」」
千世は、なつに
「なつ?今日は、どうするの?お母ちゃんは、乙女さんの家へ行くけど?」
「今日はね~こまりちゃんと一緒に遊ぶんだ~!」
「そうかい!あんまり遠くへ行っちゃダメだよ?わかったね?」
「はーい!」

「なっちゃ~~ん!!!遊びましょ~!」

「あっ!こまりちゃんだ!みんな!行ってくるね!」

「「「「「「行ってらっしゃ~い!」」」」」」

そう言って、なつは、こまりと手を繋いで遊びに行く。

長屋を出たなつとこまりは、
「こまりちゃん、今日は…どこへ行く?団子とか食べる?」
「小豆がいっぱい入ってるのがいいな~」
「「美味しそう~」」
と言って店へ行く。すると、人の集まりがあり耳をすましているとどうやら明日から神社で祭りがあるみたいで…行きたくなった二人。屋台の食べ物が食べたいと話が盛り上がっていた。
すっかり話し込んでしまい夕方になっていた。そろそろ帰る時間になり、こまりと別れる。

なつは、歩いていると黒い髪をした黒い着物の男に
「お嬢ちゃん、妖怪にとりつかれているよ?」
と言われ後ろに一歩下がる。

“この…おじさん、なんか…怖い…なんか前にも…”

「なつ!!奇遇だな!!」
と新右衛門が声をかける。
男は、なつの手をひき、手の平に護符もたせ
「これがあれば、妖怪を…祓ってくれようぞ…」
と言い走っていった。
まだ心臓がドキドキしている。だが新右衛門の顔をみてホッとした。
新右衛門は、なつに
「なつ?大事ないか?」
なつは、そっと新右衛門に紙を見せると、急に手からひったくり
「お~お~これは、護符か~儂には、効かぬな!!」
「本当?大丈夫?」
頭をワシワシと撫でながら
「なつは、優しいのう!」
そう言って手を繋いで長屋へ帰っていった。

古里ともんとねねが、一緒に遊んでいたので仲間にいれてもらった。
何やら、大人達がなつと千世の家で集まって話し込んでいた。

一方、中の様子は、
「えっ?あいつが…いるのですか?」
と千世はショックを受ける。
乙女は、
「本当なのかい?新右衛門?」
新右衛門は、頷きながら
「間違いない!アイツだ。二人を守らなくては、いけない!」
一之丞は、
「なつに気づかれないように尾行をしようか?」
栄も綾も
「俺も!私も!」
と手を挙げる。
水面は、
「陰陽師の動向を探ろうかね?私は、知られてないだろうし!」
新右衛門は
「頼んだぞ!水面!」
水面は、ペタペタと歩きながら
「おうよ!」
と言い外へ出ていった。

ガラッ

水面が出てきたので、手鞠を教えてもらおうとなつが近寄ると
「おう!なつ!すまねぇが今日は鞠を教えるのは今度にしてくれねえか?」
「どっか行くの?」
「おう!少し野暮用でな!」
「そっか~!行ってらっしゃ~い!」
と言うと、手を振ってくれた。
なつは手鞠をあきらめて、化け猫のねねの二足歩行練習に付き合っている。
「ねね~!上手になったね!すごいよ!あなたは、真っ白で綺麗な瞳をしているから…他の猫ちゃんに慕われるかもね?」
と言うとムスっとした顔で
「魚をくれない奴なんて敵よ!」
と言うと、なつは笑いながら
「魚の骨が好きだもんね!」

家の戸が開き
「なつ~?ご飯だから、入って!」
「みんな~ご飯だよ~!行こう!」
と言い入っていった。

みんなでご飯を食べているとなつは、こまりとの約束をふと思い出す。
「お母ちゃ~ん?」
「何?」
「明日、こまりちゃんとお祭りへ行っていい?」
行ってきなさいと言われると思っていたが急に
「ダメよ!!」
「えっ?なんで?昨年は、行かせてくれたじゃない!」
「…なつ。私達がこの長屋へ来たこと覚えてる?」
「え?追いかけられたって…」
「…今日、あなたは…そいつにあったのよ…」

ポロ

箸を落としてしまった。
なつは、頭の中で
“え?黒い着物の人?あの人が…九尾のお父ちゃんを殺した…?”
千世は、なつを抱き締めながら
「ごめんね?私は!あなたを失いたくない!辛いめに会わせたくないの!!」
母の様子をみながらなつは、母に嘘をついた。
“私は、あの時の私じゃない…お母ちゃんやこの長屋の人達を守りたい…また私に近づいてきたら、やっつけてやる!!”

長屋の人達は千世に、なつの付き添いは私達で守るからと言われ、みんなそれぞれの家へ帰った。


─次の日─
いつものように朝御飯を済ませて、なつは千世の袖をひいて
「お母ちゃん、お祭り…行きたい…」
千世は、台所で料理の片付けをしながら、ため息を吐く。
なつに向き合い
「…危ないわよ?昨日のように新右衛門さんがいたから何もなかったのよ?」
「…うん」
猫の姿をしたねねが千世に
「私じゃ、なつを守れないかしら?」
「ねねさん?いいの?今日は、晴れてるから見晴らしのいい所で日光浴があるでしょ?」
「日光浴は、いつでもできるわ!祭りは、今日だけだし!」
千世は、ため息を吐き
「夕方になるまでには、必ず戻ること!!ねねさんは、しっかりとなつとこまりちゃんをよろしくお願いします。」
なつは、ねねに抱きつき
「ありがとう!お母ちゃん!ありがとう!ねね!」
そうこうしていると、こまりの声が聞こえてきた。
「なっちゃ~~ん!!!遊びましょ~!!」
「は~い!!!」
そう言って、二人と一匹は長屋を出た。
山沿いにある神社へ行く道も出店が少し出ている。
「あら?今日は、美人な猫のねねちゃんがいるのね!!よろしくね?」
と言いながら、ねねを撫でるこまり。
なつは笑いながら
「ねね、行きたいって行ってたんだ!!」
「フフっ!そうなんだね!なっちゃん、今日は!今日も!おいしいものを食べようね!」
「うん!!って、こまりちゃん!みて!!氷に、小豆がのってるわ!!」
「「うん!」」
そう言うと、ドドドドという効果音を出しながら店のおじさんに
「おじちゃん!一つずつ下さいな!!」
「あいよ!へい!お待ち!」
「わ~!ありがとう!」
そう言うと、お金を払い二人で食べ歩く。ねねは、後ろからついていく。
“…今のところは、大丈夫みたいね?”

そう思っていたのが間違いだった。
林の中に紛れている。

舐めていたのだ。
私達が知っている陰陽師は、黒い何かを漂わせていた。

ジャリ…

「見つけた~見つけた~妖怪に身を売った人間めぇ…許さぬぞ…猫と人間は、黙らそう…あの娘よ…覚えておるぞ…」


なつとこまりは、祭りを楽しんでいた。大人達と混ざって盆踊りを楽しんでいる。
少し疲れたので、休むところを探そうと盆踊りの列から離れると、こまりちゃんが
「なっ…なっちゃん…」
「ん?どうしたの?こまり?ちゃ…ん…何をしているの?」
黒い着物を着た男は、こまりの首に小刀を突きつけて
「娘…友の命か…お前の命…どちらを差し出す?」


ニャアァァアアアアァ!!!!!



とねねは、男に引っ掻くが切りつけられ木に当たり動かなくなった。
「失せろ!化け猫めがあぁぁー!!!」
「ねね!!」
なつは、目を閉じ心に決める。

“お母ちゃん、みんな、ごめんね?”

一歩、前に出る。
「どこのどなたかは存じませぬが…私の友達を離して下さいませ!お願いします!」
黒い着物の男は、なつに
「来い!!」
と言い二人は、林の霧の深い所へ入っていった。
林の中からなつは、こまりとねねの姿を確認する。
“ごめんね…巻き込んで…”
と心の中で、呟いた。

一方こまりは、ねねを抱き走った。

タッタッタッタッ

「なっちゃん!なっちゃん!ねねちゃんも、がんばって!!!」

長屋に着き、呼吸を落ち着かせて
「なっちゃんのお母ちゃ~ん!!!!!なっちゃんが!なっちゃんが!」
千世は、戸を開け一人と一匹の様子に驚く。
「こまりちゃん!どうしたの?」
他の長屋の人達が出てきて新右衛門が、こまりの腕に抱かれているねねを見て
「どうした?チビッ子?そんなに…泣い…」
新右衛門は察したのか大声で
「一之丞!!栄!儂についてこい!乙女!綾!古里!千世さんとこまりちゃんをよろしく!ねねの手当てもな!」
三人は、長屋を出て物凄い速さで走っていった。
綾は医療道具を取りに走り、乙女は家へ招き、こまりに事情を聞く。
「急にね…刀を持った黒い着物のおじさんが私に刀を突きつけて、なっちゃんに私の命か…なっちゃんの命かとか言ってて…なっちゃん…私を助けるために、おじさんの方へ行ったの…ねねちゃんも、なっちゃんと私を助けようとしてくれたみたいで…そのときに…っ…っ…きっ斬られた…」
千世は、こまりの手当てをして抱き締めた。
「こまりちゃんが無事でよかった。きっとあの三人が、なつを救い出してくれるから!!」


“なつ…
九尾様…どうか…なつを御守りください…”







































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