神様にお願いを…

晴海りく

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迎え

森から帰ってきて、燈吏の部屋で怪我の治療をしていた。

全身に擦り傷がついているので、見落とさないように消毒をしていった。
ふと右腕に古い傷があり、透子が言う。
「この傷、古いですね?」
燈吏は驚きながらも
「あぁ…昔、戦って怪我をして、ここの神社にたどり着いたんだ。そしたら女の子に助けてもらった…」
と燈吏が透子の目を顔を見る。
透子は見られているとは知らずに、擦り傷に消毒をしながら
「大変でしたね…」
燈吏は、乾いた笑いを浮かべながら
「あぁ…でも、忘れられない思い出だよ?」
透子は心の中で
“…まさか…燈吏は、人間だし…ん?燈吏は…”




「透子ちゃ~~~~~~~~~~~~ん!!!」


声がした。
透子は、その声に震えた。
“なっなんで…風間さんがいるの?
ここは…神社の中だから、わからないはず…
嫌だ!!
嫌だ!
あの家へ…
あの人間達と……
二度と…
会いたくない!!”




バアァァァァン!!!!!!!



突然風が吹き、ありとあらゆるものが吹っ飛んだ。
燈吏は透子を引き寄せ、守る。
すると遠くからクウが
「燈吏ーーーーーー!!!!!あざみが、来た!!!!!」
と言った瞬間、クウはあざみの攻撃で庭の花壇の方へ飛ばされる。
「ガハッ!」
燈吏は、透子の前に出て
「クウ!!」
「…クウちゃん」

あざみは、にっこりと口角をあげて
「は~い♪燈吏~!!!!!と、初めまして~透子ちゃん♪…私、あざみって言うのよ?
そうそう透子ちゃん?今日はね、あなたにお客さんを連れてきたの♪」
「…え?」
「じゃ~ん♪風間信司君で~す♪拍手~♪
透子ちゃん?嬉しいでしょ?嬉しいよね~
ダメよ~風間さんじゃなくて燈吏の方へいくなんて~」
風間は、透子の顔をみて泣きながら
「透子ちゃん?透子ちゃん!!!心配したんだよ?本当に心配したんだ!!」
透子は風間の姿を見て、さらに震えている。
「…かっ…かざ…風間さん…」
風間は透子の両手を自分の頬にあてながら
「うん、うん、よかった……本当に…ね?」
次の瞬間透子は、更に震えた。
急に風間の目が変わる。




パアアアァァァァァァアン



透子の頬に痛みが走った。
風間は、ニコニコしながら透子の前髪を引っ張りながら
「ごめんね?透子ちゃん?
僕さ…こんなに心配してたのに…君は…のうのうとこんな男と住んでいるなんて…驚きだよ?」
透子は、
“言わなきゃ!
言わないと…もうあなたとは、暮らすことはできないと…結婚は、できないと…
言わなきゃ!!”
震える声で
「風間さん…」
「何だい?透子ちゃん?」
「…あなたと結婚は、できません…
私の家族は、燈吏さんとクウちゃんとシノノメちゃんだけです。
なので、お帰りください…」
「………」
と黙り込む風間。

それを聞いたあざみが激怒する。

「ねぇ?人間?いい加減にして?燈吏は、私のものよ!!あなたのものじゃない!!!
さっさと自分の家へお帰り!!!!!」

そういって九本の尻尾が暴走する。
あざみの首にある瑠璃色の数珠が一つ壊れる。
それを見た燈吏が
“…あいつ、力が押さえられなくなっているな…
昔、陰陽師につけられて本来の力が出せなくなったが…弱まってきている…”
燈吏は、額に汗をかきながら
「おいおい!人の家で暴れすぎだ!!!」
と叫び、風間から透子を離そうとした。

あざみの尻尾が邪魔をして、透子は風間に連れていかれそうになっていた。
燈吏は風間に攻撃しようとすると、あざみが邪魔をする。
風間は透子に
「透子ちゃん?いい加減、諦めて?僕、怒るよ?」
透子は風間に
「あなたの目的は、私でしょ?
他の人達は、関係ないわ!あなたからも、あざみさんにお願いしてください!!」
「フフフ、それは透子ちゃん次第だ!」
と透子の肩をなでる。


ビュンッ     ガッ    ガッ



“助けてくれた恩人を…大切な人達をこれ以上巻き込んでしまうのは…嫌だ…”
透子は、決心する。

「…わかりました。聞いてくれたら、風間さんについていきます!!」
風間は、微笑んで
「嬉しいな!次こそは、幸せになろうね?」

“これでいい…これで私は、また頑張れる…
離れていても…私は…”

燈吏は、透子に大きな声で
「ダメだ!!ここにいろ!!…グッ!!」
あざみの尻尾が、燈吏の腹にあたる。
透子は燈吏に笑顔で
「…私を助けてくれて、ありがとうございます…
幸せでした…」
燈吏は、目を潤ませて


「…ここにいたいなら、そう言えよ!!」


返事をしようとした透子は答えようとすると
「…ぃ…た……グッ」

風間が邪魔をする。
透子の首に手刀をして気絶させる。
風間は透子を抱え、ニヤリと燈吏に笑う。
「あのさ~君、狐の妖怪何だってね?
ダメだよ~人間と妖怪が一緒になるなんて~
じゃあ、透子ちゃんがお世話になったね!
バイバ~イ!!」
と部屋を出る。
あざみも力が落ち着き、燈吏に
「…じゃあ、お邪魔しました~♪」
庭先の花壇の方にいるクウにも
「吹っ飛ばしてごめんなさいね~♪
…あら?もう一匹?
まっいいか…」
風間とあざみは、神社をあとにした。




ドンッ!!!


燈吏は、荒れた畳に拳をむけ
「クソッ!!」
と声を出した。









“目を開けたら、あなたの声が聞こえないだろう…
また私の生活は、暗闇で音のない世界へ”


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