物置から始まる異世界STORY

Yo

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第1章 ニ話「魔女セラ」

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 崩壊する街。リツひたすら歩いてる。
 あっ!親父っ!んっ?どうして逃げる。何を見て泣いてるんだ。
 親父は行き止まりに追い込まれ、諦めたかのように立ちすくむ。
 横には大きなビルのガラス。変わり果てたリツを映したず。
 何だこれ?俺なのか?物置で会ったあの男みたいな・・・。
 逃げろ!! 親父!!はやく俺から・・・
 親父に喰い付くあたりで夢が覚める。

「親父ー!!」
 勢い良く起き上がるリツ、額には大量汗が瞳に差さる。

「何だ夢か・・・ふぅー。」
 一息つき安心して再び寝ようと瞳を閉じるが違和感に気づく。
 
 ・・・てか、ここ何処?俺の部屋にしては広かった様な。しかも何か両方に誰か寝てね?・・・また夢か。
 そう思い、ゆっくり目を開け見ると顔がそっくりの金髪ロリ美少女がこちらの方を向き寝ていた。
 

「うわぁー!!誰?誰?誰?こんな可愛い双子の妹はいませんが?てかやっぱり俺んちじゃねー」
 大声で叫ぶリツにさすがに起きる双方。寝ぼけながらあくびをする。
 
「リリー!彼、目を覚ましたです。」
「ルルー!そうですね目を覚ましたです。セラ様に報告です!」
 二人とも服を着ておらず全て丸見え。リツはパンツ1丁である。

「何で裸なんだよ?とりあえず何か着てくれ!目のやり場に困るから!!」
 シーツに頭を突っ込みながら言う。
 
「朝から騒がしいなお前ら。」
 背は高くモデル体型だが胸も大きく髪は黒髪ショートボブの綺麗なお姉さんが急にドアから入ってきた。

「小僧目を覚ましたのか。気分はどうだ?」

「ちょっとだるいです。あの貴方は?」

「私はセラ。お主の名は?」

「俺は白神リツです。状況がいまいち分からなくて・・・しかも裸だし。」

「これは仕方がないんだ。お前のアンデット化を安定させるのに肌と肌を直接当てるほうが効率が良いんだよ。」

「アンデット化?」
 自分に起きている事にいまいち呑み込めずにいる。

「あんた何も覚えてないのかい?」
 
「はい・・・家の物置で男に噛まれて変な光の渦に飲み込まれたとこまでは覚えてます。」
 
 なる程。あの魔力の反応はその光の渦が原因か。それなら画展がいく。
 納得した顔するセラに疑問を隠せないリツ。
 
 「お前はその男っていうのがこちらの世界にいるアンデットって奴で噛まれたものは同じアンデットなってしまうんだよ。だがリツの場合我が偶然にも近くにいたのが幸いだった。早めの処置ができたのでその左腕につけてるブレスレットでお前のアンデット化を半分でとどませる事ができた。」

 ブレスレットってこれか。
「半分?って事は半分アンデットって事ですか?」

「あぁだからアンデットの能力は不完全ながらもその能力は継いでるんだよ。リツお主は死なない身体になったのだ。だが不完全であるかして修復不可能な損傷だと絶命してしまうがな。」

 冷や汗が止まらずただ聞くので精一杯で唖然とするしかなかった。

「治る方法は?」

「残念ながら治る方法はない。だが制御できればそれ以上は進行は進まない。」

「制御?」

「あぁそのブレスレットも完全に進行は止められない。
負の感情。怒り悲しみ憎むそんな心がアンデット化を進めてしまう。そして100%に達すると思考もないただ本能のまま動くアンデットになってしまう訳だな。」

「そうですか。もう元には戻れないんですね。自分に起こってる事は大体分かりました。で此処は何処なんですか?」

「あぁ悪い悪い最初に言うべきだったな。此処はヒラギの町はずれにあるセハイム草原だ。」
 
 
「ひらぎ?せはいむ?すいません聞いたことないです。」
 
 「そりゃあそうさ!ゲートを通って異世界に来たんだからな!」

「異世界!?」
 あまりにもびっくりし過ぎで声を荒らげる。

「おそらくリツが言っていた光の渦がこちらへ繋がるゲートホールで運悪く飲み込まれたみたいだな。」

「帰る方法は?」

「ゲートは不規則で突如現れる。しかも現れたしても確実にお主のいた世界に繋がってる可能性は低いのだ。」


「もう帰れないんですね・・・オヤジにはもう。」
 下を向くリツ。親父を残していったことが唯一心配事だった。

「だが安心せい。時間はかかるかもしれんが戻る方法はあるぞ。」

「本当ですか?どんな方法でもいいです。教えてください。」
 あまりにもうれしくてセラに迫るリツ。

「やかましい。そうがっつくな。」
 殴り倒されるリツ。

「すびばせん。」
 殴られすぎて口がうまく動かない。

「まぁお主がゲートを操れる魔法を取得することだな。
だがその魔法を使えた者は魔法使いの頂点にいた。絶倫の魔女だ。今は行方がしれん。」

「でも使える人がいたって事は無理じゃないってことですよね。なら俺やります。」
 小さい光だが目指す物がようやく分かってきた。

「険しい道じゃぞ?死ぬかもしれん。それでもやるのか?」
 少し笑いながらリツに問いかける。

「はい。元々貴方に助けられてなかったから生きる屍でしたし。帰れる方法があるなら俺は険しい道でもかまわないです。」
 決心したようにセラに言うリツにセラも決心し告げる。

 「よし分かった。お主は今日から我の弟子にしてやろう。ある程度魔法技術。アンデットの抑制を教える。そしてその対価を頂こう。我はお主の世界に興味がある。ゲートが使えるようになったら我も連れてってくれ。それでよかろう?」
 
 微笑みながら言うセラ。

「はい!それでオッケーです。これで交渉成立ですね師匠!」
 
「あぁ。これからの話は飯を食ってからにするか。リリ、ルル、飯だ!準備せい!」
 
「ハイです!!」
 元気よく返事すると裸のまんま部屋から出る、リリ、ルルに顔を赤らめるリツ。

「あの子達は師匠のお子さんですか?」
 何気ない疑問に問いかける。

「あぁ。あの子達は我の使い魔じゃ。欲情したか?」
 
「すっするわけないじゃないですか。」
 慌てながら答えるリツを面白がるセラ。

「飯が終わったら早速特訓じゃ覚悟しとけよ!」

「はい。宜しくお願いします。」

 しばらくして、リリとルルが呼びに来る。

 「リツさん。食事ができたですよ!!」
 声を合わせながら言うリリとルル。

 「分かった!今行くよ!」
 

 とにかくここで生きていくには強くならないと。待ってろオヤジはやく帰るからな。

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