王太子が悪役令嬢ののろけ話ばかりするのでヒロインは困惑した

葉柚

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「あ、そう言えば君の名は?」

あ、アルフレッド様が私の名前を訊いてくれた。

これはやっぱり私に気があるってことだよね?

「アリーチェです。アリーチェ・エーデルワイスでございます。アルフレッド王太子殿下。」

私は教わった最敬礼でアルフレッド様に挨拶をする。

マナーは大事だからね。

そこ!アルフレッド様にわざとぶつかったのはマナー違反だなんて言わないでね。

あれはアルフレッド様との出会いに必要不可欠だったんだから。

私が名乗るとアルフレッド様は大きく頷いた。

「ああ。君がエーデルワイス男爵の一人娘か。」

どうやら、アルフレッド様は私の父のことを知っているようだ。

「はい。」

「君には癒しの魔力があると聞いている。どうか、この学院でよく学んで、後に国のためにつかえてほしい。」

「はい。アルフレッド様。」

アルフレッド様からの激励に私は深く礼をする。

アルフレッド様は私のことを気にかけてくださったのだろうか。

そうであればいいのに。

「アリーチェさん。入学式の会場まで一緒に行きませんこと?」

「え?」

メリーチェ悪役令嬢に、そう声をかけららた。

まさか、メリーチェから誘われるとは思わず驚きの声が出てしまった。

「嫌かしら?」

眉間に皺を寄せながら見てくるメリーチェに、私は首を横にふる。

「い、いいえ。そのようなことはございません。メリーチェ様に誘われた名誉にうち震えていたのでございます。」

私は視線を落としながらメリーチェに答える。

乙女ゲームでは、アルフレッド様から誘われたのに。

そうして、私はアルフレッド様と並んで入学式の会場に入り注目を得ることになるんだけど………。

この流れだとメリーチェと並んで入学式の会場に入って注目を得ることになりそうだ。

でも、メリーチェはアルフレッド様と一緒にいるから、もしかして三人で会場入り?

これはこれで、すごく目立ってしまうなぁ。

「アルフレッド。いいでしょう?」

「仕方ないね。私はメリーチェと二人で行きたかったのだけどね。」

「アリーチェと私の二人の間に挟まれるのもよいでしょう?」

「そうだね。メリーチェとアリーチェは良く似ているからね。私の両側にメリーチェがいると思えば………。」

あ、あれ?

私が会場まで一緒に行くことに関して納得はしてくれたみたいだけど、なんか思ってるのと違う。

私がおまけみたいじゃないの。

そこは、メリーチェがおまけになるんじゃないの?

なんだか、違和感が拭えないわ。

「アリーチェ。行きましょう。」

私はなぜかメリーチェに腕を組まれた。

「え?え?」

そうして混乱しているうちに歩き始めるので、引きずられないように歩くしかなかった。

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