王太子が悪役令嬢ののろけ話ばかりするのでヒロインは困惑した

葉柚

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「アリーチェ。アルフレッド様から貴女と友達になる許可を得てきましたわ。」

翌日、寮の部屋のドアを開けるとそこには、メリーチェが立っていた。

いったいいつから立っていたのだろうか。

私が部屋を出る時間もわからなかっただろうに。

そうして、開口一番にそう言ってきた。

「あ、メリーチェ様。おはようございます。」

私は内容には触れずに挨拶をする。

というか、メリーチェってば本当にアルフレッド様に友達になる許可を得に行ってたんだね。

このメリーチェって随分素直だなぁ。

「ふふっ。これで私とアリーチェは親友ですね。ささ、一緒に学校に参りましょう。」

そう言ってメリーチェは私の腕を右手で包み込むように抱き締めると学校に行こうと誘ってくる。

・・・それにしても、いつ、私たちは親友になったのだろうか。

普通、悪役令嬢とヒロインって敵対関係だよね?

なんで、親友・・・?

それに・・・。

「メリーチェ様。申し訳ございません。私、朝食がまだなんですの。私はいつも食堂で食べておりますの。」

朝食まだ食べてないんだよね。

だから、お腹が空いているのだ。

一日の計は朝食にあり。

そう思っている私にとって、朝食を抜くなんてあり得ないのだ。

絶対、朝食は食べる。

「まあ!朝食がまだでしたのね。では、私は食堂までご一緒させていただきますわ。」

にっこり笑ってメリーチェは言ってきた。

メリーチェはきっともう朝食は済ませているんだろうなぁ。

この寮では自室でも食事をすることができる。

自室か食堂かどちらか選べるのだ。

でも大体は伯爵家以上が自室で、それ以下は食堂で、が暗黙的な決まりとなっている。

なので、メリーチェと一緒に食堂に行くのはかなり目立つのだ。

これでもかってほどに目立つだろう。

メリーチェは侯爵令嬢。

食堂とは縁のない身分の人間なのだ。

「あの・・・でも、メリーチェ様。もう朝食は召し上がったのでしょう?」

「いいえ。私は朝は紅茶だけいただきますの。」

暗に一緒に食堂に行きたくないのだと告げると、メリーチェからはそんな返答が反ってきた。

・・・朝食を食べてない、ですと?

そのことに私の中で何かがプッチンと切れたような気がした。

「メリーチェ様!朝食はとっても大事なんですよ。一日の始まりの朝食!これにまさるものはありません。朝食をしっかりと取ることで、その日一日、身体の調子も心の調子も良く保てます。朝食を抜くだなんて言語道断です。」

「まあ!そこまでおっしゃるのならば、アリーチェと一緒に朝食を取ることにするわ。」

あ・・・。

つい思わず勢いで言ってしまったら、メリーチェは怒るどころか、肯定してきてしまった。

どうやら私たちは一緒に朝食を取ることになってしまったようです。
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