23 / 23
23
しおりを挟む
「メリーチェ!!」
「メリーチェ様!」
懐かしい声に私とアルフレッド様は即座に反応する。
特にアルフレッド様は素早かった。
声を聞くなりメリーチェに飛び付いたのだ。
そして、メリーチェは飛び付いてきたアルフレッド様をサッとかわす。
「アリーチェ。時間がかかってしまったが、迎えにきたよ。それから、私は今日から男爵令息になったからね。」
そうか。
とうとうメリーチェは男爵令息になったらしい。
つまりメリーチェの両親が私の両親となったということだ。
私も数日前に侯爵家に引き取られている。
行き別れの娘として、大切に侯爵家に迎え入れられた。
「もう、メリーチェという名ではないの?」
メリーチェの姿はドレス姿ではなかった。
英国紳士風の服を来ている。
「そうだね。今日から私は男にもどるからね。」
そう言ってメリーチェはにこりと笑った。
女性の姿をしているときもメリーチェの笑顔はとっても魅力的だったが、元の性別に戻ったメリーチェの笑顔は破壊的な魅力がある。
男でも女でもお年寄りでも子供でも惹き付けられるのではないかというほど、魅力的な笑顔だ。
「これからは、私のことはメリアルドと読んでくれないかな?」
「あ………はい。」
メリーチェ………じゃないメリアルド様は自分の名前を微笑みながら教えてくれた。
「これでやっとアリーチェに婚約を申し込むことが出来る。さあ、アリーチェの侯爵家のご両親に挨拶に行こうか。ああ、もちろん男爵家のアリーチェの元両親はアリーチェが私の婚約者になることに賛成しているからね。」
「その婚約ちょっと待った!!」
メリアルド様から差し出された手を取って立ち上がれば、アルフレッド様からの待ったがかかった。
いったいなんだというのだろうか。
「なにか?」
メリアルド様がアルフレッド様に視線を向けると、「うっ。」というアルフレッド様の声が聞こえてきた。
「わ、わ、私の側近になるのが先だ!だからメリアルド、今から王宮に行くぞ!」
そう言えばメリアルド様はアルフレッド様の側近になると約束していたな。
メリアルド様が男に戻ったならば、アルフレッド様の側近にもすぐになれるだろう。
メリアルド様はすぐにアルフレッド様と王宮に行ってしまうのだろうか。
私はそっとメリアルド様を見上げた。
すると、メリアルド様の優しい眼差しが私に向けられていた。
「そうですね。アリーチェに婚約を申し込む前に私にもある程度の地位が必要ですね。アリーチェは侯爵令嬢なのだから。では、アルフレッド様。さっさと私を側近にしてください。アリーチェ。アリーチェも一緒に王宮に行きましょうね。」
「………はい。メリアルド様。」
「だ、ダメだ!!王宮は女人禁制だ!!アリーチェはここで待っていろ!」
「アルフレッド様?いつから王宮は女人禁制になったのでしょうか?私の記憶ではそのような話を聞いたことがないのですが。教えていただけますか?」
アルフレッド様が王宮は女人禁制だというと、すぐにメリアルド様が反論した。
たしかに王宮が女人禁制だとは聞いたことがない。
毎年王宮勤めの侍女の募集もあるしね。
「私は王宮の仕来たりに疎いようですね。こんな私では王太子殿下の側近には到底なれませんね。」
「なっ!?そ、それは許さぬ!」
メリアルド様は芝居がかかったように残念そうにうつむいた。
するとアルフレッド様がすぐにひき止める。
「アリーチェ行きましょう。どうやら私は王太子殿下の側近にはなれないようです。残念ですが仕方がありません。」
「メリアルド!メリアルドは私の側近だ!王宮が女人禁制だというのはちょっとした冗談ではないかっ!アリーチェ、一緒に着いてきてよいからな。」
どうやら、アルフレッド様はメリアルド様には勝てないようです。
思わずメリアルド様とアルフレッド様のやり取りに「ふふっ。」と笑ってしまった。
こうして、メリアルド様と私は無事に婚約をし幸せな日々を過ごしたのでした。
あ、アルフレッド様にメリーチェ以外の婚約者が出来たかどうかはご想像にお任せいたします。
めでたし。めでたし。
終わり。
「メリーチェ様!」
懐かしい声に私とアルフレッド様は即座に反応する。
特にアルフレッド様は素早かった。
声を聞くなりメリーチェに飛び付いたのだ。
そして、メリーチェは飛び付いてきたアルフレッド様をサッとかわす。
「アリーチェ。時間がかかってしまったが、迎えにきたよ。それから、私は今日から男爵令息になったからね。」
そうか。
とうとうメリーチェは男爵令息になったらしい。
つまりメリーチェの両親が私の両親となったということだ。
私も数日前に侯爵家に引き取られている。
行き別れの娘として、大切に侯爵家に迎え入れられた。
「もう、メリーチェという名ではないの?」
メリーチェの姿はドレス姿ではなかった。
英国紳士風の服を来ている。
「そうだね。今日から私は男にもどるからね。」
そう言ってメリーチェはにこりと笑った。
女性の姿をしているときもメリーチェの笑顔はとっても魅力的だったが、元の性別に戻ったメリーチェの笑顔は破壊的な魅力がある。
男でも女でもお年寄りでも子供でも惹き付けられるのではないかというほど、魅力的な笑顔だ。
「これからは、私のことはメリアルドと読んでくれないかな?」
「あ………はい。」
メリーチェ………じゃないメリアルド様は自分の名前を微笑みながら教えてくれた。
「これでやっとアリーチェに婚約を申し込むことが出来る。さあ、アリーチェの侯爵家のご両親に挨拶に行こうか。ああ、もちろん男爵家のアリーチェの元両親はアリーチェが私の婚約者になることに賛成しているからね。」
「その婚約ちょっと待った!!」
メリアルド様から差し出された手を取って立ち上がれば、アルフレッド様からの待ったがかかった。
いったいなんだというのだろうか。
「なにか?」
メリアルド様がアルフレッド様に視線を向けると、「うっ。」というアルフレッド様の声が聞こえてきた。
「わ、わ、私の側近になるのが先だ!だからメリアルド、今から王宮に行くぞ!」
そう言えばメリアルド様はアルフレッド様の側近になると約束していたな。
メリアルド様が男に戻ったならば、アルフレッド様の側近にもすぐになれるだろう。
メリアルド様はすぐにアルフレッド様と王宮に行ってしまうのだろうか。
私はそっとメリアルド様を見上げた。
すると、メリアルド様の優しい眼差しが私に向けられていた。
「そうですね。アリーチェに婚約を申し込む前に私にもある程度の地位が必要ですね。アリーチェは侯爵令嬢なのだから。では、アルフレッド様。さっさと私を側近にしてください。アリーチェ。アリーチェも一緒に王宮に行きましょうね。」
「………はい。メリアルド様。」
「だ、ダメだ!!王宮は女人禁制だ!!アリーチェはここで待っていろ!」
「アルフレッド様?いつから王宮は女人禁制になったのでしょうか?私の記憶ではそのような話を聞いたことがないのですが。教えていただけますか?」
アルフレッド様が王宮は女人禁制だというと、すぐにメリアルド様が反論した。
たしかに王宮が女人禁制だとは聞いたことがない。
毎年王宮勤めの侍女の募集もあるしね。
「私は王宮の仕来たりに疎いようですね。こんな私では王太子殿下の側近には到底なれませんね。」
「なっ!?そ、それは許さぬ!」
メリアルド様は芝居がかかったように残念そうにうつむいた。
するとアルフレッド様がすぐにひき止める。
「アリーチェ行きましょう。どうやら私は王太子殿下の側近にはなれないようです。残念ですが仕方がありません。」
「メリアルド!メリアルドは私の側近だ!王宮が女人禁制だというのはちょっとした冗談ではないかっ!アリーチェ、一緒に着いてきてよいからな。」
どうやら、アルフレッド様はメリアルド様には勝てないようです。
思わずメリアルド様とアルフレッド様のやり取りに「ふふっ。」と笑ってしまった。
こうして、メリアルド様と私は無事に婚約をし幸せな日々を過ごしたのでした。
あ、アルフレッド様にメリーチェ以外の婚約者が出来たかどうかはご想像にお任せいたします。
めでたし。めでたし。
終わり。
37
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(8件)
あなたにおすすめの小説
“足りない”令嬢だと思われていた私は、彼らの愛が偽物だと知っている。
ぽんぽこ狸
恋愛
レーナは、婚約者であるアーベルと妹のマイリスから書類にサインを求められていた。
その書類は見る限り婚約解消と罪の自白が目的に見える。
ただの婚約解消ならばまだしも、後者は意味がわからない。覚えもないし、やってもいない。
しかし彼らは「名前すら書けないわけじゃないだろう?」とおちょくってくる。
それを今までは当然のこととして受け入れていたが、レーナはこうして歳を重ねて変わった。
彼らに馬鹿にされていることもちゃんとわかる。しかし、変わったということを示す方法がわからないので、一般貴族に解放されている図書館に向かうことにしたのだった。
婚約者を奪われるのは運命ですか?
ぽんぽこ狸
恋愛
転生者であるエリアナは、婚約者のカイルと聖女ベルティーナが仲睦まじげに横並びで座っている様子に表情を硬くしていた。
そしてカイルは、エリアナが今までカイルに指一本触れさせなかったことを引き合いに婚約破棄を申し出てきた。
終始イチャイチャしている彼らを腹立たしく思いながらも、了承できないと伝えると「ヤれない女には意味がない」ときっぱり言われ、エリアナは産まれて十五年寄り添ってきた婚約者を失うことになった。
自身の屋敷に帰ると、転生者であるエリアナをよく思っていない兄に絡まれ、感情のままに荷物を纏めて従者たちと屋敷を出た。
頭の中には「こうなる運命だったのよ」というベルティーナの言葉が反芻される。
そう言われてしまうと、エリアナには”やはり”そうなのかと思ってしまう理由があったのだった。
こちらの作品は第18回恋愛小説大賞にエントリーさせていただいております。よろしければ投票ボタンをぽちっと押していただけますと、大変うれしいです。
前世の記憶を持つ守護聖女は婚約破棄されました。
さざれ石みだれ
恋愛
「カテリーナ。お前との婚約を破棄する!」
王子殿下に婚約破棄を突きつけられたのは、伯爵家次女、薄幸のカテリーナ。
前世で伝説の聖女であった彼女は、王都に対する闇の軍団の攻撃を防いでいた。
侵入しようとする悪霊は、聖女の力によって浄化されているのだ。
王国にとってなくてはならない存在のカテリーナであったが、とある理由で正体を明かすことができない。
政略的に決められた結婚にも納得し、静かに守護の祈りを捧げる日々を送っていたのだ。
ところが、王子殿下は婚約破棄したその場で巷で聖女と噂される女性、シャイナを侍らせ婚約を宣言する。
カテリーナは婚約者にふさわしくなく、本物の聖女であるシャイナが正に王家の正室として適格だと口にしたのだ。
【完結】愛は封印?厄介払いの聖女は異国に輿入れさせられる
白雨 音
恋愛
双子の姉セリーヌと妹アンジェリーヌは、共にファストーヴィ王国を護る聖女だ。
この国では、二十歳を迎えた聖女は、王の選んだ相手と見合いをするのが通例だった。
セリーヌの相手は、第三王子クレマン。
交際は順調に進み、セリーヌは神にクレマンへの愛を誓う。
だが、クレマンが選んだのはアンジェリーヌだった。
その上、二人から悪評を付けられ、セリーヌは処罰を課せられる事に…
表向きは「異国の者との政略結婚」だが、実際は厄介払い、国外追放だった。
「神への誓いは神聖なもの、神に違背すれば、聖女の力も失う___」
他の者を愛する事を禁じられ、人生に絶望するセリーヌ。
異国への道中、無愛想で堅い《氷壁の騎士団長》との出会いで、
運命を受け入れようと前向きになるも、やはり、見ず知らずの者との結婚は恐ろしく…
異世界恋愛☆ 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
【完結】偽物の王女だけど私が本物です〜生贄の聖女はよみがえる〜
白崎りか
恋愛
私の婚約者は、妹に夢中だ。
二人は、恋人同士だった賢者と聖女の生まれ変わりだと言われている。
「俺たちは真実の愛で結ばれている。おまえのような偽物の王女とは結婚しない! 婚約を破棄する!」
お好きにどうぞ。
だって私は、偽物の王女だけど、本物だから。
賢者の婚約者だった聖女は、この私なのだから。
悪役令嬢は伝説だったようです
バイオベース
恋愛
「彼女こそが聖女様の生まれ変わり」
王太子ヴァレールはそう高らかに宣言し、侯爵令嬢ティアーヌに婚約破棄を言い渡した。
聖女の生まれ変わりという、伝説の治癒魔術を使う平民の少女を抱きながら。
しかしそれを見るティアーヌの目は冷ややかだった。
(それ、私なんですけど……)
200年前に国を救い、伝説となった『聖女さま』。
ティアーヌこそがその転生者だったのだが。
婚約破棄された聖女様たちは、それぞれ自由と幸せを掴む
青の雀
ファンタジー
捨て子だったキャサリンは、孤児院に育てられたが、5歳の頃洗礼を受けた際に聖女認定されてしまう。
12歳の時、公爵家に養女に出され、王太子殿下の婚約者に治まるが、平民で孤児であったため毛嫌いされ、王太子は禁忌の聖女召喚を行ってしまう。
邪魔になったキャサリンは、偽聖女の汚名を着せられ、処刑される寸前、転移魔法と浮遊魔法を使い、逃げ出してしまう。
、
この野菜は悪役令嬢がつくりました!
真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。
花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。
だけどレティシアの力には秘密があって……?
せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……!
レティシアの力を巡って動き出す陰謀……?
色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい!
毎日2〜3回更新予定
だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
新しい婚約破棄ストーリーでした!
素直に面白かったです!
ありがとうございました!
ご指摘ありがとうございます。確かに矛盾してますね💦
アルフレッドはメリーチェが婚約者だったから体面を保っていましたが、メリーチェが婚約者としてアルフレッドを支えなくなってしまったので残念な子になりました。
ただ、メリーチェがアルフレッドの側近になればまたアルフレッドも有能な王太子として返り咲くことでしょう(笑)