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ペーパーレスの甘い誘惑
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「混乱しそうだね。」
「はい。」
ただでさえ地方の支店なのだ。
従業員には高齢の人が多くパソコンを苦手としている人も多い。
そんな人たちにパソコンを操作しろというのだから混乱することは必死だ。
「今、パソコンを割り当てていない人にもパソコンを割り当てるのでしょうか?」
「そうだね。FAXでやり取りをしている人もいるからね。全員が全員パソコンを持っているわけではないし……。社長予算くれるのかな。まあ、後で社長に聞いてみるよ。社長も出来るところからと言っていたしね。パソコンの調達にも時間がかかるし。」
「わかりました。」
「まずはできるところから紙を廃止していこうか。」
「はい。」
プルルルル。プルルルル。
「はい。情報システム部です。」
安藤さんと話していると電話が鳴った。
私は安藤さんとの会話を中止し、電話をとった。
「ああ。麻生さんか。安藤はいるか?」
「はい。おります。代わりますので少々お待ちください。」
電話の相手は支店長だった。
これはきっとさっきの社長の発言に対して安藤さんに相談したいのだろう。
「安藤さん。支店長からお電話です。」
「ああ。ありがとう。お待たせいたしました。安藤です。」
安藤さんは私から受話器を受け取ると電話に出た。
「……はい。はい……。ええ、そうですね。……はい。ええとですね、そうしましたら一台のパソコンを共有で使用するということでしょうか。……ええ、はい。……はい。……メールアドレスも共有で?……はい。はい。……はい、わかりました。早急にパソコンの手配とメールアドレスの作成をいたします。……はい。……そうですね……、急げば明日にはご用意できるかと思います。……はい。……はい。わかりました。」
しばらく安藤さんは電話で話し込んだあとに受話器を置いた。
そして大きなため息を一つついた。
「さっそく仕事だよ。これからペーパーレス対応で忙しくなるよ。」
「ええっ!?でも社長はできるところからって……。」
安藤さんは眼鏡を曇らせながらため息をついた。
「社長はそう言ったけどね。支店長としてはいち早くペーパーレス化して社長にアピールしたいらしい。」
「はあ。」
「支店長からは丸投げされたよ。紙で印刷しないということはパソコンを使えということだろう?パソコンに詳しいのは情報システム部なんだから、早急にペーパーレス化を進めてくれ、とね。」
「えええっ!!それって押し付け……。」
「はあ。そうだね。でも、上から言われてしまったことには仕方がない。僕たちでやるしかないんだよ。」
「うう……。はい。」
上からの命令は絶対。
社畜の悲しい定めである。
「僕はペーパーレス化できそうな業務を洗い出すから、麻生さんはパソコンを割り当てていない人のためにパソコンを1台キッティングしてくれないか?パソコンを持ってないのは2人だけだったはずだから。」
「では、2台キッティングすればよろしいですか?」
「いや、とりあえず1台で様子を見ようということになった。普段パソコンを使っていないからね。ペーパーレスになったとしても1日ずっとパソコンにかじりつきにはならないはずだ。」
「わかりました。メールアドレスは二つ用意しますか?」
「そうだね。ひとまずはメールアドレスも共用してもらおう。アカウントの切替方法をレクチャーしてもすぐに習得してくれるとは限らないしね。」
「わかりました。すぐに用意いたします。」
「うん。よろしく頼んだよ。」
「混乱しそうだね。」
「はい。」
ただでさえ地方の支店なのだ。
従業員には高齢の人が多くパソコンを苦手としている人も多い。
そんな人たちにパソコンを操作しろというのだから混乱することは必死だ。
「今、パソコンを割り当てていない人にもパソコンを割り当てるのでしょうか?」
「そうだね。FAXでやり取りをしている人もいるからね。全員が全員パソコンを持っているわけではないし……。社長予算くれるのかな。まあ、後で社長に聞いてみるよ。社長も出来るところからと言っていたしね。パソコンの調達にも時間がかかるし。」
「わかりました。」
「まずはできるところから紙を廃止していこうか。」
「はい。」
プルルルル。プルルルル。
「はい。情報システム部です。」
安藤さんと話していると電話が鳴った。
私は安藤さんとの会話を中止し、電話をとった。
「ああ。麻生さんか。安藤はいるか?」
「はい。おります。代わりますので少々お待ちください。」
電話の相手は支店長だった。
これはきっとさっきの社長の発言に対して安藤さんに相談したいのだろう。
「安藤さん。支店長からお電話です。」
「ああ。ありがとう。お待たせいたしました。安藤です。」
安藤さんは私から受話器を受け取ると電話に出た。
「……はい。はい……。ええ、そうですね。……はい。ええとですね、そうしましたら一台のパソコンを共有で使用するということでしょうか。……ええ、はい。……はい。……メールアドレスも共有で?……はい。はい。……はい、わかりました。早急にパソコンの手配とメールアドレスの作成をいたします。……はい。……そうですね……、急げば明日にはご用意できるかと思います。……はい。……はい。わかりました。」
しばらく安藤さんは電話で話し込んだあとに受話器を置いた。
そして大きなため息を一つついた。
「さっそく仕事だよ。これからペーパーレス対応で忙しくなるよ。」
「ええっ!?でも社長はできるところからって……。」
安藤さんは眼鏡を曇らせながらため息をついた。
「社長はそう言ったけどね。支店長としてはいち早くペーパーレス化して社長にアピールしたいらしい。」
「はあ。」
「支店長からは丸投げされたよ。紙で印刷しないということはパソコンを使えということだろう?パソコンに詳しいのは情報システム部なんだから、早急にペーパーレス化を進めてくれ、とね。」
「えええっ!!それって押し付け……。」
「はあ。そうだね。でも、上から言われてしまったことには仕方がない。僕たちでやるしかないんだよ。」
「うう……。はい。」
上からの命令は絶対。
社畜の悲しい定めである。
「僕はペーパーレス化できそうな業務を洗い出すから、麻生さんはパソコンを割り当てていない人のためにパソコンを1台キッティングしてくれないか?パソコンを持ってないのは2人だけだったはずだから。」
「では、2台キッティングすればよろしいですか?」
「いや、とりあえず1台で様子を見ようということになった。普段パソコンを使っていないからね。ペーパーレスになったとしても1日ずっとパソコンにかじりつきにはならないはずだ。」
「わかりました。メールアドレスは二つ用意しますか?」
「そうだね。ひとまずはメールアドレスも共用してもらおう。アカウントの切替方法をレクチャーしてもすぐに習得してくれるとは限らないしね。」
「わかりました。すぐに用意いたします。」
「うん。よろしく頼んだよ。」
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