今日も情シスは恐怖に慄く

葉柚

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大掃除は危険と隣り合わせ

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 年末の大掃除。

 それは1年の最後を締めくくる会社の一大イベントである。

 当日は朝から各部屋や廊下などの清掃を社員全員でおこなうことになる。

 普段は使用しない掃除機を持出し、各部屋を一部屋一部屋丁寧に掃除をしていく。

 普段は使用しない雑巾とバケツを持出し、棚の上を拭き、モップを持出し床を清掃する。

 1年間お世話になった部屋に感謝の気持ちを込めて。

 

「んー。今年は、掃除機当番じゃなくて安心ですねぇ。」



 私は情報システム部の部屋の棚を整理しながら安藤さんに話かけた。

 けれど、安藤さんは眉をしかめている。

 

「そうかなぁ。僕は掃除機当番じゃないことが不満だけど、ね。」



「そうですか?でも、掃除機って一台しかないから前部屋掃除しなきゃいけないんですよ?大変じゃないですか?」



「確かに掃除するのは大変なんだけどね……。う~ん。まあ、僕の考えすぎだよ。うん。」



 安藤さんの含みのある言葉に私は首を傾げる。

 掃除機担当になれば、確かに前部屋を掃除機で掃除するだけで、棚を拭いたり窓を拭いたりする必要がない。

 もしかして、安藤さんは雑巾がけが嫌だとかそんなんなのだろうか。



「大丈夫ですよ!安藤さん!こう見えても私はお掃除大好きなんですから!棚の上から机の下までちゃんとに掃除します!」



 腕まくりをして張り切って見せる。

 

「そうだね。麻生さんは頼もしいね。」



 先ほどまで曇っていた安藤さんの顔にも少しだけ笑みが零れた。

 

「そうですよ!まっかせてください!」



 私は満面の笑みで安藤さんに返した。

 
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