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アリス様とは反対方向に歩いて行くフォン宰相の後を物陰に隠れながら追っていく。
巫女様の死に関係があるのはフォン宰相かアリス様が濃厚な気がしている。
ただ、フォン宰相は巫女様の占いの結果が偽りであったことを巫女様がお亡くなりになるまで知らなかったようだ。アリス様とフォン宰相の会話からはそう伺えた。
ただ、アリス様は巫女様と接点がないはずだ。
巫女様と接点を持てる人間は限られていた。その中にアリス様の名前はなかったはずだ。
数少ない巫女様との接点を持てた人間の中でアリス様と懇意にしていたのはフォン宰相ただ一人であると私は認識している。
「……ふぅ。アリス様を皇太子妃にするのがこんなにも大変だったとは……。」
一人になったフォン宰相は暗闇の中を護衛もつけずに自宅へと向かって足を進める。その歩みは重い。
大きなため息をつきながら、大きな独り言をもらす姿はこの国の宰相には見えず、ただただ疲れ果てた管理職のようにも見えた。
私はフォン宰相に気づかれないように、足音を立てずにフォン宰相の後ろをついていく。フォン宰相は後ろを振り返ることもなく歩いて行くので尾行するのはとても簡単だった。
フォン宰相は途中まで自宅の方向に足を進めていたが、いつの間にか入り組んだ路地に足を踏み入れていた。夢中になってフォン宰相の後をつけていた私は、路地に入り込んでしまったことに気づくのが遅れてしまった。
「いけないわ。帰り道がわからなくなってしまうわ。」
フォン宰相が夜明け前までに路地から出て行けば、私はフォン宰相の後をついていくだけでいつもの知っている大通りに出ることができるだろう。けれど、もしフォン宰相がこのまま路地裏で一夜を過ごしてしまえば、私はこの路地裏からどうやって出ればいいのかわからず迷子になってしまうだろう。
それほど入り組んでいるのだ。
普段、足を踏み入れたことのなかった路地裏だから余計だ。
フォン宰相は私の思いを知ってか知らずか、路地裏を無作為に歩き回っているように思えた。
もしかして、私が尾行をしていることにフォン宰相は気づいているのだろうか。そうして、私を撒こうとしているのだろうか。
つうっと汗が背中を伝うような気がした。
このまま迷子になってしまっては、カルシファーと約束した日の出までに戻ることができずに私は泡となって消えてしまう。
このまま、引き返すべきか、それともフォン宰相の後をついていくべきか。
悩みながらもこのまま引き返したとて、元の道がわからないのだから仕方がない。誰かに聞くことすらできない身体だ。このまま一か八かフォン宰相の後をついていくことに決めたのだった。
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