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子供たちと一緒にクッキーを焼き。
クッキーの袋詰めを子供たちと一緒におこなう。
子供たちは始終ご機嫌で作業をしている。どうやら楽しいみたいだ。
「これを今から旅行客のみなさまに売りに行きます。一緒に来てくれる子はいるかな?」
商品は出来上がったので後は売りに出すだけだ。
まだまだ量が少ないのでお店は用意せず、籠にクッキーを入れて旅行客の人に声をかけることにした。
そのうちお店でも開けたらいいけど、まずは売れるかどうか試してみる。
最初からお店を持っても売れる算段がなければ借金だけ増えるだけだ。
「私一緒に行くよ!」
「私も売れるとこみたいっ!!」
「オレたちが作ったクッキーだぜ!オレも見届けたいっ!!」
「買ってくれるといいなぁ~。」
子供たちの反応は、それぞれだが皆自分が作ったクッキーが売れるとこをみたいのだろう。確かに自分の作ったものが売れるというのはとても嬉しいものだ。
それに、孤児が作って売っているというのは良い宣伝にもなる。子供が声をかければ大人は振り返る。
商品を見てくれる可能性が高くなるのだ。
誰だって大人のことは警戒しても、子供には無警戒になる。
「じゃあ、一緒に行こうね。でも、私から離れないでね。あと、知らない人にはついていかないこと。」
子供たちがかどわかされても困るしね。
そこはしっかりと見張っていなければならない。
私は籠にクッキーを詰め込むと、外にでた。そのあとはカルガモのヒナのように、子供たちが続く。
まるで子供たちの母親になった気分だ。
街の大通りに出ると、旅行客と思わしき人に声をかける。
旅行客というのは一見しただけですぐわかる。
この街の人たちとは来ているものが違うからだ。
「フレイムフラワーにようこそ。こちら子供たちが作ったクッキーです。よろしければおひとついかがでしょうか?」
「私が作ったのよ。おひとついかが?」
「オレも作ったんだぜ!」
にっこりと笑顔を浮かべながら待ちゆく旅行客に声をかける。
私の声に続いて子供たちも買ってほしいと声を上げる。
その声に旅行客の一人が立ち止まった。
「あら。あなたたちが作ったの?」
「「「「「はいっ!」」」」」
子供たちは旅行客が立ち止まってくれたことが嬉しくてみんな笑顔になる。
「子供たちが作りましたが、味は保証いたしますよ。よければご試食いかがですか?」
私はそう言って、クッキーを一枚差し出す。
すると旅行客の女性は素直にそのクッキーを受け取った。
「へぇ~いい匂いだわ。それに、可愛らしい形ね。」
旅行客の女性はクッキーの匂いを嗅いで目を細める。そうして、一口口に入れた。
「まあ、サクッとしていておいしいわ。甘味もちょうど良いし。これは……ハーブかしら?後味がすっきりとするわね。もう一枚食べたくなってしまうわ。」
どうやらお気に召していただけたらしい。
「はい。ライルという植物を練りこんであります。ライルは栄養が豊富に含まれているので食事の代わりにもなるんですよ。単なる小腹を満たすお菓子というだけではありません。」
「まあ、そうなの。それは素晴らしいわね。そうね、一つ売ってくださるかしら?」
「ありがとうございますっ!!」
よっしゃっ!!と心の中でガッツポーズをする。
子供たちも、女性が買ってくれたことにはしゃいでいる。
私のお礼の言葉とかぶせるようにみんなで「ありがとうございますっ!」と大声で叫ぶ。
「あらあら。とっても元気ね。これからも頑張ってね。」
旅行客の女性はそう言って子供たちに手を振りながら去って行った。
こんな感じで、初日は比較的スムーズにクッキーは売れていった。子供たちはどんどん売れていくクッキーに目を輝かせている。
やはり自分で作ったものが好評だということはとても嬉しいのだろう。
「売れてよかったね。」
「うんっ!!明日からもお手伝いするの!!」
「私もっ!!」
「僕も手伝う!!」
今日お手伝いしてくれた子は皆目を輝かせて明日も手伝うと言ってくれた。
私は嬉しくなってにっこりと笑った。
子供たちが商売に目覚めてくれたことが嬉しかった。
そうして次の日からもクッキーを売った。
一日に売る量はそれほど多くはない。
最初はすべて売り切れるくらいの量にする。売れるからといって安易に大量生産すれば、すぐにお客様に飽きられてしまうというもの。
売り切れで悔しがるお客様がいるくらいがちょうどいいのだ。
早く買わなければ買えないかもしれないという思いが人々の競争心を刺激し、購買意欲に繋がっていくのだから。
商売が軌道に乗るとどっからともなく湧いてでてくるのが邪魔者というものである。
例によって例にたがわず、クッキーを売りさばく私たちの元にも邪魔者が現れたのだった。
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