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ルーンファクト様ではないのでしょう……?
しおりを挟む目の前のルーンファクト様をジッと見つめる。
なにか、違うのだ。目の前にいる人物は私の知っているルーンファクト様ではない。
確かめるように観察するように私はルーンファクト様をじっくりと見つめる。
「あっ……。」
私は気づいてしまった。
目が違うのだ。目の色が違う。ルーンファクト様の目はもっと澄んだ青色をしている。目の前のアルフォネアと一緒にいるルーンファクト様は深く暗い青色をしているのだ。
「……なにか?」
「ああっ……。」
私が声を漏らしたことで、ルーンファクト様のそっくりさんは、怪訝な表情を浮かべて声を発した。
そして私は気づく。
声が全く違うことに。
ルーンファクト様のお声はもう少しだけトーンが高く、どこか少しだけ癖のある発音をする。目の前のルーンファクト様のそっくりさんはルーンファクト様よりトーンが少しだけ低く、発音が全く癖がない。まるで声を出すのもしっかりと訓練されているようだ。
「い、いえ……。アルフォネアと仲がよろしいのですね。このまま私との婚約を破棄して、アルフォネアに乗り換えるのかしら?」
私は目の前のお方がルーンファクト様じゃないと確信して意地の悪い質問をする。
まあ、婚約者としては当たり前の反応だと思う。婚約者より婚約者の妹を優先するなんておかしいもの。
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