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王妃様がいらっしゃいました
しおりを挟む「ステファニーさん。ようこそ王宮へ。お待たせしましたね。あら。まあ。忙しい忙しいと私から逃げまどっているルーンファクトもいたのね。ステファニーさんが王宮にいると聞いて飛んできたのね。」
突如声がしたかと思い振り返ると、そこにはシンプルながらも仕立ての良いドレスを着た王妃様がにこやかに笑っていた。
「王妃様。本日はお招きくださりありがとうございます。」
「母上……。あまり揶揄わないでくさい。」
「ふふふ。」
ルーンファクト様は少し照れたように王妃様に言う。
王妃様は嬉しそうに微笑んだ。
ルーンファクト様と王妃様の仲は良好のようである。その話題の中心にいるのが私というのが少しいたたまれないけれど。
「まあ!ルーンファクト様のお母様なのですね!初めまして。ルーンファクト様と婚約する予定のアルフォネアと言います。いつもお姉さまがご迷惑をおかけしておりますわ。」
ほんわかとした空気をぶち壊すようにアルフォネアが元気よく言い放った。
私はその言葉に絶句する。昨日お父様がアルフォネアにルーンファクト様との婚約は諦めるように言っていて、それをアルフォネアも理解したと頷いていたと思ったのに。
「あら?あなたがルーンファクトと婚約するの?どうしてかしら?ルーンファクトは既にステファニーさんと婚約しているはずよ。それに王族は一夫多妻制とは言ってもそれはあくまでも結婚から5年経っても子供が出来なかったらの話だわ。」
王妃様はアルフォネアの発言に首を傾げた。ルーンファクト様も苦虫を噛み潰したような酷いお顔をされている。
「な、なにかの間違いです。母上。アルフォネア嬢はなにか勘違いをしているのでしょう。」
「た、大変失礼いたしましたっ。お許しください王妃様。アルフォネアは何か、勘違いをしているようです。」
「まあ!お姉さまなにをおっしゃっているのかしら?昨日お父様がおっしゃったじゃないの。お姉さまはルーンファクト様の婚約者として相応しくないって。ルーンファクト様に相応しいのは私みたいな貴族からも民からも模範になるほど美しい私だって言っていたじゃない。もう忘れてしまったの?」
王妃様に平身低頭謝るが、それを打ち消すようにさらにアルフォネアが発現する。
私はアルフォネアの口から飛び出した言葉にめまいを感じた。ふらりと傾く私の身体をルーンファクト様の逞しい腕で支えられる。
アルフォネアはお父様がおっしゃったことを自分の都合の良いように解釈したらしい。
「……あなたが、貴族と民の模範?」
王妃様の笑顔がピシリッと固まった。
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