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第9話 殿下の婚約者になってもいいの?
しおりを挟む私はスチュワード王太子殿下のお言葉にショックを受け、その後にスチュワード王太子殿下が詳しく説明してくれた内容など頭には入ってこなかった。
ただただ、ステラお姉さまからスチュワード王太子殿下を奪ってしまうという現実に心が耐え切れなかった。ステラお姉さまに疎まれたら、嫌われたらどうしようという思いで頭の中がいっぱいになってしまう。
「まあ、メリッサ。とてもいいお話じゃないの。」
だから、いつの間にかやってきていたステラお姉さまが声を弾ませて嬉しそうに笑っていたことが不思議でならなかった。
なぜ、ステラお姉さまはスチュワード王太子殿下の婚約者という座を私に取られてしまうのに、嬉しそうに笑っていられるのだろうか。それが不思議でならなかった。
少なくともステラお姉さまはスチュワード王太子殿下のことをとても好ましく思っていたはずだ。
「ステラお姉さま……。ですが、私は……。」
「とても良いお話よ。メリッサ。是非お受けしなさい。メリッサの未来視はとても有能ですもの。いつかこんなお話が来るとは思っていたわ。」
そう言ってステラお姉さまは嬉しそうに微笑んだ。その表情は心の底から嬉しいと言っているように私には見えた。
「でも……私は……。私は……ステラお姉さまに嫌われたくないのですっ!」
スチュワード王太子殿下と婚約してしまえば、ステラお姉さまに嫌われてしまう。だから嫌なのに。
ポロポロと涙が後から後から零れ落ちてくる。
ステラお姉さまに嫌われると思っただけで、悲しくて泣いてしまうほど私はステラお姉さまに依存している。
「まあ、私がメリッサを嫌うことなんてないわ。そりゃあ、ちょっと寂しいなぁとは思うけれど。でも、メリッサのことは何があっても嫌いにはならないわ。メリッサのその未来視も、私は誇りに思っているわ。」
「ステラお姉さまっ!!」
ステラお姉さまは泣きじゃくる私を優しく抱きしめる。私はステラお姉さまのぬくもりを感じながらステラお姉さまにしがみついた。
「ステラお姉さま。大好きなの。だから私を嫌いにならないで。」
「まあ、まあ。私もメリッサのこと大好きよ。だから、嫌いになるなんてことあり得ないわ。」
「ほんとうにほんとう?」
「ええ。本当よ。私がメリッサに嘘をついたことがあったかしら?」
「……ないわ。」
ステラお姉さまはとても誠実な人。今まで私に意地悪してきたことも、私に嘘をついたこともない。
「……なら、私がスチュワード王太子殿下の婚約者になってもいいの?」
恐る恐るステラお姉さまに問いかければ、場の空気がピシリッと固まった。
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