【悲報】現代ダンジョン時代、俺の職業がLv.1チンピラ【詰み】

道雪ちゃん

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韋駄天の進撃 ―― 誰も文句が言えない場所へ

世田谷ダンジョン 雑談スレ Part.13


861:名無しの探索者
【速報】三上ひより、本物の軍団を引き連れて世田谷を制圧。

862:名無しの探索者
は??? 何言ってんだお前。

863:名無しの探索者
いや、これマジだぞ。今世田谷支所のロビーにいるんだが、空気がまだ凍りついてる。
何が「インチキなチンピラ」だよ。ロビーにいた探索者も、ベテランも、ギルドスタッフも全員が蛇に睨まれた蛙みたいに動けなかった。
あんなの、探索者のパーティじゃない。完全に「本職」か「死神の行軍」だぞ。

864:名無しの探索者
おいおい、12層抜いたっていうのも嘘じゃなかったってことか?

865:名無しの探索者
嘘なわけないだろ。あの後に続いて入ってきた100人の構成員たちのレベル、見たか?
一人一人がそこらのベテランよりよっぽど強そうなオーラ出してたぞ。
あんな連中にボロクソ言ってたのかよ、俺ら。バレたらマジで消されるぞ……。

866:名無しの探索者
今のうちに謝ったほうがいいぞ。
だからずっと言ってたろ、三上くんはそんな奴じゃないって。
「努力もしてない」とか叩いてたアンチ、息してるか?

867:名無しの探索者
佐藤、ひよりんに直接詰められて、ブルブル震えながら泣いて逃走してたぞ。
出口まで全力疾走して、そのままどっか消えた。

868:名無しの探索者
>>867
見てたわwwww
やっぱり自分から吹聴してた自覚はあったんだな。
ひよりん、めちゃくちゃ笑顔で「佐藤さんお久しぶりです」って言ってたけど、あの後ろの100人の殺気、佐藤一人に集中してたからな。俺があの立場ならその場で漏らしてるわ。

869:名無しの探索者
俺、ひよりんの個スレ民だけどさ。
あることないこと言いふらして、ひよりんを世田谷から追い出すような空気作ったアンチども。
お前らのこと、俺たちは絶対に許さないからな。

870:名無しの探索者
ちょっと待て、状況が飲み込めない。
今日自宅警備してる俺にもわかるように説明してくれ。何があったんだよ。
世田谷のどこのスレも、SNSも三上の話題で大騒ぎじゃねーか。

871:名無しの探索者
>>870
いいか、よく聞け。
三上さんが、副官の兄貴と、あの美人参謀を両脇に従えて現れたんだ。
で、その後ろに、漆黒のスーツ着た構成員が100人、一糸乱れぬ隊列でズラーッと並んで入ってきた。
言葉も威圧スキルもいらない。ただ歩いてくるだけでロビー中の人間が「あ、逆らったら死ぬ」って本能で理解したレベルの圧だよ。

872:名無しの探索者
100人……。
それ、全部三上のスキルなのか?

873:名無しの探索者
散々馬鹿にされてたからな……。
正当な努力も実力も認められず、変な噂ばかり流されて。
ついてる部下たちも、ボスのために相当キレてたんだろうな。
今日の「仕返し」は、ひよりん自身の意思っていうより、組織としての「回答」って感じがしたわ。

874:名無しの探索者
そんな中で、受付の那奈さんだけは普通に話してたのが救いだった。
ひよりん、那奈さんの前ではいつもの可愛い顔に戻って「びっくりさせちゃってごめんなさい」だってよ。

875:名無しの探索者
那奈さんとひよりん、仲いいもんな。
那奈さんも、ひよりんを叩いてた奴らにずっと怒ってたらしいぞ。
今日、ひよりんがゲートに入った後、那奈さんちょっと鼻すすってたもん。

876:名無しの探索者
……俺さ、通路の端で震えてたら、三上さんに声かけられたんだ。
「なにかありました? 大丈夫ですか?」って。
あの無垢な笑顔が、何よりも怖かった。
もう二度と三上さんのことは悪く言わない。次は、マジでこの世から消される気がする。

877:名無しの探索者
>>876
あ、お前、さっきロビーで這いつくばってた情けない奴かwww

878:名無しの探索者
>>877
笑い事じゃねーよ! 俺の立場ならお前だってそうなったわ!

879:名無しの探索者
お前らみたいな無責任な連中がいるから、あんなに優しかった三上くんがこんな事までしたんだよ。
「可愛いひよりん」を汚したのは佐藤と、お前らアンチだ。

880:名無しの探索者
でも圧が凄すぎるだけで本人はビックリさせちゃおう!くらいに思ってる可能性が…
まあ配下はブチギレてるだろうけどさ

881:名無しの探索者
今、ひよりん一行はダンジョンに入った。
100人の軍団が蟻の巣を蹂躙してるかと思うと、蟻に同情するわ。

882:名無しの探索者
世田谷の歴史が、今日完全に終わって、新しく始まったな。
俺はもう、三上のことを「チンピラ」なんて呼べない。
あいつは……いや、あの人は、世田谷の「王」だ。


………


世田谷ダンジョンのロビーを沈黙させたひより組は、そのまま転移石へと向かった。

103名という大所帯が移動する様は、もはや攻略ではなく「軍隊の転進」である。

一度構成員達を影に戻す。

転移石を使い、一気に10層へと降り立った。
ひよりが指を鳴らす。

「みんな、出ておいで。……ライ、フウも」

一度戻っていた影から滲み出る100名の構成員。

そして、ひよりの指輪が眩く発光し、進化したゴブリンの双璧、ライとフウがその巨躯を現した。

105名。

ひより組の全戦力が、薄暗いダンジョンのフロアに集結する。

その瞬間、空間の密度が変わり、壁の岩肌がピキピキと音を立てて軋んだ。

その時だった。

「――三上、か?」

前方から歩いてきたのは、世田谷最強のパーティ「不動剣陣」だった。

龍崎剛、赤城凛、白石恒一、早乙女澪

彼らはひよりの姿を認めた瞬間、言葉を失い、足を止めた。

「な、なにかあったのか……?」

龍崎が思わず問いかける。

かつて見たひよりとは、纏っているオーラの「質」が違う。

今のひよりには、一切の迷いがない。

背後に従える100名の沈黙が、ひよりの意志そのものとなって龍崎たちを圧迫していた。

「いや、ちょっと……みんなにわかってもらったんですよ。俺がなめられると、家族が悲しむんで」

悲しいとわかる表情をしている、だが底知れない重みのあるひよりの言葉。

龍崎はその一言に込められた凄まじい「圧」に飲まれそうになり、冷や汗がこめかみを伝う。

しかし、彼はひよりの目を真っ直ぐに見つめ返し、一歩踏み出した。

「三上。……俺も、凛も、お前の家族だ。違うか?」

ひよりが目を見開く。

「お前が侮られ、嘲笑され、……それに怒っている者がここにもいることを忘れるな。だがな、お前に憧れている者だっているんだ。そのことだけは、胸に刻んでおいてくれ。その子らを怖がらせてはいけない」

龍崎の不器用だが真っ直ぐな言葉。

そして、隣で深く頷く凛。

ひよりの口元に、いつもの柔らかな微笑みが戻った。

「……龍崎さんも、凛さんも、家族ですよ。ありがとう。しっかり刻んでおきます」

その言葉を合図に、ひより組が動き出す。

すれ違いざま、凛がひよりの横顔を覗き込むようにして尋ねた。

「ひよりさん、今日の目標は?」

ひよりは足を止めず、ダンジョンの深淵を見据えたまま答えた。

「……誰も、文句が言えないところまで」

その背中は、もはや一人の探索者のそれではない。
一族を背負い、頂へと手をかける「首領」の背中だった。


………


10層を抜けた先で、透がタブレットの地図を広げた。

「効率を最大化しよう。ここからは4チームに分かれて各層を制圧。次の層のボスフロア前で集合だ」

透が指揮を執る。

Aチーム:ひより、透
Bチーム:涼
Cチーム:フウ
Dチーム:ライ

それぞれに構成員を割り振り、ひより組は四つの黒い奔流となってダンジョンを逆侵攻し始めた。

10層を進んですぐのこと。

通路を塞ぐアイアンゴーレムの群れを、ひよりの刀が一閃した。

【ログ:レベルが58に上昇しました】
【スキル:逃げ足 が最大レベルに達しました。上位スキル 韋駄天 へ進化します】

「韋駄天……?」

その瞬間、ひよりの身体が羽のように軽くなった。
反射的に踏み出した一歩。景色が文字通り「飛んだ」。

追いつけない速度。敵の視神経が捉える前に、ひよりの刃は喉元を過ぎている。

危機を察知した瞬間に自動で加速するその力は、戦場における「絶対的な回避」と「神速の追撃」を可能にした。

10層、11層、12層。

もはやそれは、攻略と呼べるものではなかった。

通路にいるモンスターは、4つのチームによって根こそぎ討伐され、スキル【強欲】の略奪によって、魔素も素材も、「剥ぎ取られて」いく。

そして、12層のボス。

百の眼を持つ異形、百目(ハンド・アイズ)の前に、四つのチームが合流した。

巨大なボスが咆哮を上げる暇すら与えられない。

「……いこう」

ひよりの短い号令。

100名の構成員による一斉攻撃、涼のマグナム、ライの怪力、フウの疾風、そしてひよりの神速の斬撃。

一分にも満たない蹂躙の末、ひよりがボスの核を「強欲」に掴み出した。

「はは、戦略も戦術も関係ないや。」

透が苦笑いを浮かべる。

【ログ:レベルが59に上昇しました】

「あと、一つ……」

レベル60。その先にあるのは「百傑」と呼ばれる領域。

そして、目の前に広がるのは、世田谷ダンジョンの難所――13層。

蠢く無数の兵隊蟻。

そして、その最奥に鎮座する、全てを支配する女王蟻。

物量対物量。

軍団対軍団。

「行こうか、みんな」

ひよりを先頭に、105名の「黒の軍勢」が、蟻たちの棲まう巣へと足を踏み入れた。

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