箸箱サンダー（300文字SS習作集）

出鱈目スターリースカイ

　星空を閉じ込めたようなブルーゴールドストーンを二人で眺めるのが好きだった。晴れた日、陽の当たる窓辺で、あなたが小さな宝箱から、恭しくそれを取り出して、陽だまりに差し出す。その儀式めいた仕草も好きだった。
　不思議な石と思っていたそれはガラスと金属粉の混ぜ物で、てんで出鱈目な空模様を描いている。知っている星座を結べない。
「でも、好きな星座を作れるよ。看護師さん座とか」
　あなたは親切な看護師の顔を浮かべて笑う。
　あなたがこのベッドからいなくなって、石だけが残った。架空の星空を宿した石が。私はあなたの母から宝箱ごとそれを受け取った。私に持っていて欲しいって。
　看護師座のそばに、あなたの像を結んで星座にしよう。