THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

文字の大きさ
125 / 144

世界樹への道のり その2

しおりを挟む
「いってらっしゃいませタタラ様、マロフィノ様」
「ありがとうございます。それでは一週間後にまたここで」
「フライヤお姉さんまたね!オニ」
「差し支えが無ければひとつ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

 いつもよりも少しだけ険しい顔のフライヤさん、とは言ってもエヴァさんに比べたら仔鹿のようなものである。

「はい」
「個人的な好奇心でお聞きしますが、どういった御用事でわざわざ【クリプス】まで行かれるのでしょうか?」
「…っえ?」
「オニ?」

 移動している間に目的地に行くのが目的になって、いつのまにか世界樹見学ツアー的な気分になっていたが、本来の目的は。

「いや、その…【フェニックスの羽】を5枚ほど」
「なるほど、それでしたら守護鳥フェニックス様のお住まいであられる、聖地クリプスが目的地なのに納得いたしました」
「いやー、あはは、そうなんですぅ」

 世界樹で頭がいっぱいでまったく情報収集をしなかった自分の愚かさを棚に上げ、フライヤさんに対し「昨日会った時に聞いてよ!」と心の中で文句を言ってしまったことは黙っておくとしてだ。【クリプス】にフェニックスの巣があると知れたことは朗報だ。巣の周りなら羽の5枚や6枚、いや行くだけでも難易度の高い場所だ十数枚単位で期待が出来るかも知れない。
 一枚1000万……アクリスに来てから金運にだけは恵まれている気がする。

 そう、金運にだけは……。

「引き止めてしまい、申し訳ございませんでした。ご武運をお祈り申し上げます」

 私は、フライヤさんに会釈をしてマロオニに視線をおくった。

「マロ、頼んだぜ」
「任せて!いっくよー!フィッ、グウォォォン」

 マロオニは前屈みになり全身に力を込めた。
 次第に体が大きくなっていき、ポンッと軽い音とともに煙が上がりマロオニの体を隠した。そして、煙の中から巨大なドラゴンが姿を現し。

「マロッ!フィーーート!ドラ」

 毎回思うのだが、マロの変身なんか雑じゃね?
 視線を後ろに移すとドン引きした顔のフライヤさんが見えたが、とりあえず見なかったことにしよう。

「このまま真っ直ぐ飛べば良いからな」

 マロフィートの背に乗りながら声をかける。

「了解なのだ!ドラ」

 マロフィートが大きな翼をはためかせ、その巨体を宙に浮かせた。

「いっくよー!ドラ」
「行って来ます!フライヤさん」
「ご武運を」

 マロフィートは徐々に高度を上げながら私が指し示した方角に一直線に飛び立った。
 てか、風圧がやばい。

「いやっはー!!ドラ」
「ちょっ、もう少しゆっくり」
「まだまだいけちゃうよー!ドラ」

 あっ、ダメだコイツ、ハイになってる。

「マジ無理!マジ無理だって!!」
「ドラ!ドラ!ドラ!ドラァァアア!!」
「速度あげんなぁぁ!!」



 島を飛び立ってから約40分、空を飛ぶ魔獣に何度か遭遇したもののマロフィートの異常なハイスピードのおかげで戦闘になることもなく【クリプス】に向け順調に飛行を続けていた。

 しかし。

「グウォォォン!!空飛ぶのたっのしー!!ドラ」
「……フィート……速度……もう限界」

 ツルツルの鱗に必死にしがみつく私に限界が訪れようとしていた。

「えっ?なにか言った?ドラ」

 ダメだ風圧に負けて全然聞こえてねぇ、もうマジで……って!

「マロフィート!!アレは!!」
「フィッ?グロッ!!ドラ」

 私の言葉にマロフィートは驚きの声を上げ急ブレーキをかけ止まると同時にホバリングを始めた。

「すっ、すげぇ」
「おおきい……ドラ」

 遥か前方で海の上に浮かんでいるように見える一本の木。
 

「ははは、島は輪郭すら見えちゃいないってのに、先にお出迎えいただけるとは…」
「フィーーウォッ!!タタラ!タタラ!もしかしてアレが!?ドラ」
「そうだ間違いない……アレが」

 私はかつて【AQURIS online】というヴァーチャル空間で、まったく同じ景色を船の上から見て、まったく同じ感動を味わったことがある。

「世界樹だ」

 世界樹があそこで待っている、そう思うと、体が震えた。

「行くぞマロフィート!!全速力!前進だ!!」
「ラジャラジャー!!いっくぞー!!ドラ」

 マロフィートは先ほどまでよりさらに力強く羽ばたき速度を上げたが、私の腕にいつのまにか力が戻りさっきまでの辛さがが嘘のように消え去り、片手でも余裕でしがみついていられるようになった。

「タタラ!前に鳥さんたくさん。ドラ」

 鳥さんと言うにはあまりにも巨大な魔獣がクリプス方面からこちらに向かって来ている。
 コウモリの羽を思わせるようなフォルムの大きな翼に大きな頭、それに対しての小柄な胴体、翼開長は約7~8メートルと言ったところか、つーか鳥じゃ無くて翼竜じゃん。

解析かいせき
 【 名前 】 コアトリス
 【  レベル  】 110
 【 HP 】 14800/14800
 【 OP 】 1900/1900

 うわー、こんなのが20体も来てるー。うわー、引くわー。って。

「引いてる場合じゃねぇ!マロフィート!引き付けて【ブレス】だ!」
「了解!いっくぞー!!ふーーーーーーーーーーーッ!ドラ?」

 マロフィートは結構強めに息を吐いた。

「これにどんな意味がある?ドラ」

 長い首をくねらせ不思議そうに背中の私を見つめるマロフィート。

「よし!ごめん!俺が悪かった!俺に任せてそのまま突っ込め!」
「ラジャ!ラッジャー!いっくぞー!!ドラ」

 雷魔法【トリプルサンダー】

 来い!

「ベルググ!!」

 私の右手に漆黒の大剣が現れる。

『ずいぶんご無沙汰だったなぁ』
「ああ、すまん。久しぶりに腹いっぱいにしてやるよ、俺のイメージがわかるか!?」
『あん?ああ、クックッ。テメェ面白ぇこと考えやがる』
「出来るよな!?」

『テメェ次第だ』

 なら……出来る!!

「そろそろ来る!行くぞ!」

 暴食スキル

「【暴食王の右手ベルゼライト】」

 最初に放った三連の雷が閃光を撒き散らしながら私達の上に飛来する、それをベルググから伸びた漆黒の腕のようなオーラが絡めとる。
 バハムートの戦闘でレベルアップした私は、特殊スキル【イマジネーター】で今で出来なかったような高度なスキルを発動可能になっていた。

「マロフィート!頭下げろ!」

 ベルググの刀身が暴れまわる雷のエネルギーを閉じ込めながら青白い光を放つ。

「【三首黄金龍ギドラ】」

 閉じ込めたエネルギーを【飛剣】【龍件】を合わせ、三方向に同時放つイメージでベルググを振る。

 ベルググから放たれた雷を纏った龍型のオーラうねりながら突き進み【コアトリス】の集団手前で三本に分かれ【コアトリス】の集団を食い尽くし砂煙に変えた。

「タタラ!すごいすごい!よきできました!ドラ」
「ほっ、うまく行ったな」

タタラ(LV198)スキルイマジネーター
 HP:6806/6912 OP:2292/3698
 
 今の一瞬でOPを1400も消費したが、それでも、凄まじい威力だったなぁ……。

「ねぇねぇねぇ、ふーってやつなんだったの?ドラ」
「……忘れろ」

 ドラゴンのブレスで敵をなぎ倒しながら空を駆け巡りたいと言う欲求はお前にはわかるまいて。

「さて、道が空いたところでとっとと上陸といこうか!」
「さっんせー!!レッツゴーだ!ドラ」


 

 



 
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

水神飛鳥の異世界茶会記 ~戦闘力ゼロの茶道家が、神業の【陶芸】と至高の【和菓子】で、野蛮な異世界を「癒やし」で侵略するようです~

月神世一
ファンタジー
「剣を下ろし、靴を脱いでください。……茶が入りましたよ」 ​ 猫を助けて死んだ茶道家・水神飛鳥(23歳)。 彼が転生したのは、魔法と闘気が支配する弱肉強食のファンタジー世界だった。 ​チート能力? 攻撃魔法? いいえ、彼が手にしたのは「茶道具一式」と「陶芸セット」が出せるスキルだけ。 ​「私がすべき事は、戦うことではありません。一服の茶を出し、心を整えることです」 ​ゴブリン相手に正座で茶を勧め、 戦場のど真ん中に「結界(茶室)」を展開して空気を変え、 牢屋にぶち込まれれば、そこを「隠れ家カフェ」にリフォームして看守を餌付けする。 ​そんな彼の振る舞う、異世界には存在しない「極上の甘味(カステラ・羊羹)」と、魔法よりも美しい「茶器」に、武闘派の獣人女王も、強欲な大商人も、次第に心を(胃袋を)掴まれていき……? ​「野暮な振る舞いは許しません」 ​これは、ブレない茶道家が、殺伐とした異世界を「おもてなし」で平和に変えていく、一期一会の物語。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...