巻き込まれ体質の俺は魔王の娘の世話係になりました

亜瑠真白

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独特なネーミングセンスだ…

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 俺はラフェの腕を掴んで振り向かせ、小声で抗議した。
「ちょっと、ラフェ…!」
「なんだ?」
「なんだじゃないだろ! 大体、なんでも屋って意味わかってんのか?」
「なんでもやる仕事ってことだろ?」
「う…まあ、そうだけど。」
「困ってるからなんでも屋に頼んでるんだろ? 困ってる人を助けるのは当たり前じゃないか!」
 もっともらしい事を言っているようだが、口元はだらしなく緩んでいる。要するに退屈だから面白そうな話に乗っかりたいんだろう。
 ラフェは女の人に向き直った。
「私たちに頼みたい事を聞こうじゃないか。」
「はい。私の家族を探してほしいんです。一昨日から行方不明になってしまって…」
「行方不明って、そんなの俺らなんかより警察に頼んだ方が…」
 思わず口を挟んでしまった。
「警察じゃ取り合ってくれないんです! この子を探してください!」
 そう言って女の人が差し出したスマホには可愛らしいトイプードルの写真が写っていた。
 なんだペットか…それは確かになんでも屋の仕事かもしれない。
「名前は『わんたん』って言います。赤い首輪が目印で…」
「え、わんたん?」
「はい! わんちゃんから取ってわんたんです!」
 独特なネーミングセンスだ…
 女の人は頭を下げた。
「どうかお願いします! この子を…わんたんを見つけてください…!」
 ペットなんかじゃなくて、この人にとっては本当に家族なんだろう。でもだからこそ、俺達よりも本当のなんでも屋に依頼したほうがいい。
「すいません、実は俺達…」
「これ、前払いの依頼料と私の電話番号です! もしわんたんを見つけたらこの番号に連絡してください! それでは私はあっちを探してきます!」 
 俺に封筒を押し付け、女の人は走って行ってしまった。
「あっ…ちょっと…!」
 追いかけようとする俺の袖口をラフェが掴んだ。
「まあ日生。彼女だって早く家族を見つけようと必死なんだ。それなら一刻も早く私達も探しに行った方がいいじゃないか。対価ももらってしまったことだし、なあ?」
「お前…この状況を楽しんでるだろ。」
「そんなわけないじゃないか! ほら、行くぞ!」
 そう言ってラフェが女の人が向かった方向とは反対に走り出す。こうなったら本当に犬を探すしかない。俺の巻き込まれ体質とラフェはつくづく相性が悪いと思った。
 河川敷沿いをラフェに続いて走る。出来るだけ目を凝らしてみるが、犬どころか、人の姿もない。これでは聞き込みもできない。
「ラフェ、行き先になにか目星はあるのか?」
 この走って行った先に何かあるのだろうか。
「ない! 一生懸命探して走ってる!」
 はぁ…?
「ラフェ、ストップ!」
 俺が声をかけるとラフェは足を止めた。そして不満そうな顔で振り向く。
「なんだよ日生! 探すのはやめようってか? 私は止めないぞ! だって彼女は早く家族を…」
「いや、犬を探すことに関してはもうやるしかないと思ってる。引き受けてしまったからな。でも、どうせ探し回るなら、もっと効率よくいきたい。」
「効率…?」
「いなくなったのが一昨日なら、お腹を空かせてご飯の匂いがする繁華街なんかをうろついてるかもしれない。せめて人が集まる場所に行けば、その犬を見たことがあるか聞き込みだってできる。情報が集まるほど捜索の範囲を狭めて、より集中して探すことが出来る。そう言うのを効率がいいって言うんだ。」
「…日生、お前頭いいな。」
「それはどうも。」
 俺の話に納得してもらえたみたいだったから、まずはこのあたりで一番大きな公園に向かった。
 公園の中には犬を連れている人も多く、こういう犬飼いコミュニティの間では一匹でうろついてる失踪犬についてなにか目撃情報を持っているかもしれない。
「これから聞き込みをするから、ラフェは黙って俺の後ろについてきてくれ。」
「それじゃ、日生の言う効率が悪いんじゃないか? せっかく二人いるんだから別々に聞き込みしたほうがいいだろ。」
 それはもちろんそうなんだけど、俺はラフェを野放しにしておくのが怖いんだよ…!
「早く家族に会わせてあげよう。」
 そう言うラフェの表情には、「一人で自由にしたい」みたいな邪念は見て取れなかった。もしかすると、「家族」っていうワードに共感しているのかもしれない。
「分かった。くれぐれも変な行動はするなよ。」
「当たり前だ!」
 俺達は別々の方向に歩き出した。
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