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第7話 首なし騎士、そして馬

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 「シュコー!コフー!」

 俺達の前には紫色の鎧を着て、赤黒い馬に乗った騎士がいた。名前はカースナイト。レベルは28。今回のクエストのターゲットである。あれ?馬もカースナイトの一部なのか?だが馬の上にも名前とHPが表示されていた。名前はブラッドホースレベルは30でカースナイトより少し高い。

 「真也気を付けろ!ブラッドホースはランクAだ!ブラッドホースに乗っているカースナイトはAランクに格上げされている!」

 「なに!そんな事もあるのか!」

 「ああ、最近はブラッドホースを滅多に見なかったからもういないと思っていた!悪い」

「大丈夫!全く問題ない」

 「まあ、S級魔法を連発してたくらいだからそうだろうな・・・」

 Aランクならば加減が成功して木っ端微塵にならない可能性が高いだろう。これならクエストも成功しそうだ。

 「ホーリーオーラ!」

 カースナイトはゴーストの一種らしく、鎧には攻撃出来るが中で操っている本体には通常攻撃は効かない。だからホーリーオーラを使うのだ。鎧を持ち帰れば問題ないなので中はホーリーオーラで消滅させてもいいのだ

 「ラルト!鎧を破壊できるか?馬と中の本体は俺が倒す!」

 「分かった!気を付けろよ!」

 ラルトは剣を抜き、カースナイトと戦い始めた。俺もブラッドホースを倒すか!ブラッドホースは木っ端微塵にしてもいいがせっかくの高ランクモンスターだ。手加減の練習にしよう。と思っていたが

 「ブルルルルルッ!」

  ブラッドホースはこちらを警戒しているのか全く攻撃してこない。

 「意外とおとなしいのかな?」 
 
「ヒヒーン!」

 「いっそペットにでもしてみるか?」

 この世界ではモンスターをテイムすることはそこまで珍しいことではない。だが、ほとんどがE~DランクのモンスターででたまにCランクがいるくらいだ。テイムするにはモンスターに力を認めてもらわなければならない。もちろん木っ端微塵にしてはテイムもできるはずがない。

 「どうしようかな?」

 少し離れたところではラルトとカースナイトが激しい戦いをしている。あまり時間をかけるわけにはいかないな。しかし、せっかくの馬なのでぜひテイムしたい。よし!先にカースナイトを倒すか!とりあえずブラッドホースの動きを止めておくか。ちょうどいい魔法もある。

 スリープ 効果 あらゆる生物を眠らせることができる

 「スリープ!」

 「スピースピー・・・」

 「よし!成功だ!」

 ブラッドホースはスリープをかけた途端に眠った。これでラルトの加勢ができるな。ラルトとカースナイトは一進一退の攻防を続けていたが、少しラルトが押されているようだ。

 「ホーリーオーラ!」

 ラルトにホーリーオーラをかけたあとの戦いはラルトの圧勝だった。

 「すげーぜ真也!体が軽くて一発が重い!」

 「だろう!一部でいいから鎧を壊してくれ!」

 「おう!楽勝だぜ!オラァッ!」

 バキッ! 

 「よし!砕けたぞ!」

 「ナイスだラルト!」

 ラルトが砕いた鎧の穴にパンチを撃ち込む

 「セイッ!」

 「フシュァァァァ!」

 鎧から紫色の煙のようなものが出てきてカースナイトは糸が切れたように動かなくなった。あとは鎧を持ち帰ればクエスト達成だ!と、その前にブラッドホースをテイムしないとな!

 「ラルトーブラッドホースをテイムするからちょっと待っててくれよー」

 「・・・」

 「ラルト?」

 「な、なんでこんなところにこいつがいるんだ!!」

 「どうした!!ラルト?」

 ズ ズ ズ ズ

 なんだ?なにかが来る?とんでもない威圧感を俺は感じた。ラルトは大丈夫だろうか。

 「ラルト!大丈夫か?」

 「う、うぅ」

 ダメだ。ラルトは動けそうにない。いったい何が居るってんだ?カースジェネラルか?俺はラルトが見ていた方を見た。そこに居たのはカースジェネラルではなかった。そこに居たのは漆黒の首のない馬に乗り漆黒の鎧を着た首のない騎士だった。 こいつはこの世界を知らない俺でも分かる。ゲームやアニメで何度も見たからな。
 デュラハンだ。アンデットの王にして罪を犯した聖騎士の成れの果てだ。数々のゲームやアニメでも魔王の幹部などの最強クラスのモンスターだ!ラルトの反応からしてランクSS以上はありそうだ。

 「強きものよ」

 「な!喋れるのか?」

 「我ほどになれば人の言葉も理解できる」

 「ああ!ダークフレイムドラゴンが俺の挑発に乗ったのは言葉が理解できていたからか!」

 「なに?ダークフレイムドラゴンを倒しただと?ふ、それなら我の相手も勤まるであろう。行くぞ我が愛馬よ!」

 「なに!」

 デュラハンは剣を抜き、突進をしてきた。

 「勝負だ強き者よ」

 「やってやる!」

 デュラハンは馬の上から俺に攻撃をしてきた。

 「クソッ!こいつ強い!」

 「我に呪文は効かぬぞ!我が鎧はあらゆる魔法を無効にできるのだ!」

 「ちっ!ダメか!ならば馬を攻撃して落としてやる!」

 俺は攻撃をかわしながら馬に攻撃をするが、まるで霧を殴っているように攻撃が当たらない。なぜだ?ゴーストならばホーリーオーラの効果で当たるはずだ。

 「フハハハ!無駄である!我が愛馬は特別なゴーストだ!攻撃が一切出来ない代わりに一切の攻撃が効かん!」

 「なに!ずるいぞ!」

 「戦いにズルいなどないわ!貴殿も馬に乗ればよいでわないか!」

 「クソッ!」

 こいつズルいな!ラルトがいるから逃げる訳にもいかないし、かといって馬に乗っているこいつに攻撃は届かない。あれ?これつみじゃね?
 その時だった。

「ヒヒーン!」

 ブラッドホースが目を覚ましたようだ!

 「まずい!こっちも手一杯なのに!」

 だがブラッドホースは俺に攻撃をしてこない。それどころか俺の横に立ち 、俺に顔を近づけてきた。

 「乗れってことか?」

 「ヒヒーン!」

 どうやらブラッドホースは俺のことを認めてくれているようだ。これは幸いだ!

 「ラルト!剣を借りるぞ!」
 
 俺はラルトの剣を借り、ブラッドホースに飛び乗った。

 「いくぞ!ブラッドホース!」

 「ヒッヒーン!」

 「ほう?ブラッドホースを手懐けたようだな。ん?そやつはブラッドホースではな」

 「ヒッヒーン!」

 「余所見か!デュラハン!」

 「むうっ!」

 俺はデュラハンが偉そうに喋っていたので遠慮なく攻撃した。だって隙だらけだったし・・・

  「ぬうっ!卑怯な!」

  「てめーさっきは戦いにズルいなどないわって偉そうにいってたじゃねえか!」

 「むう?そうであったか?忘たなぁ!」

 デュラハンは喋りながら攻撃してきた。だが攻撃が当たるのらば俺は負けん!

 「クッ!なかなかやるではないか!強き者よ!」

 「まだまだ全力じゃないぜ!」

 「な、なに?まあ、お互いに今日は疲れたであろうな!今日は引くとしよう!さらばだァァァァァァァァ!!」

 俺はデュラハンが逃げようとしたのでヘルファイアーをぶっぱなしてやった。

 「効くじゃん魔法・・・」

 「ば、馬鹿な!我が鎧はあらゆる魔法を無効にできるは・・ず・・・」

 デュラハンはそういい残し燃えていった。
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