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榠嬪とフォン王子
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「昭儀様、榠嬪様とフォン王子様が参っております。お通してもよろしいでしょうか?」
榠嬪とフォン王子が?普通は下の者が上の者を訪れる。それなのに、何故?考えてる場合ではないね。
「お通しして」
榠嬪とフォン王子が入ってきた。上座を譲り立ち上がろうとする。
「昭儀様、そのままで。そのままで結構です」
昭儀様?下の身分の私に様付け?
「昭儀様は王様の大事なお子を身ごもっておいでですので、そのままでお願いします」
「ありがとうございます、榠嬪様」
「過分なお言葉です。昭儀様」
榠嬪様と王子は対面に座るかと思ったが、いきなり礼法に則った礼をし始めた。
「昭儀様にご挨拶申し上げます。フォン」
「もうします」
禧嬪や淑嬪と違いすぎて、私にはどうしていいやら。ここまで下手に出る人には会ったことがない。
それからも榠嬪は丁寧な言葉遣いで、私を持ち上げてくる。
「榠嬪様、何故このように私に接するのですか?」
「昭儀様は王様の寵愛を一身に受けておられます。ですから私は私とこの子を守るために昭儀様の加護を得ようとしてるのです」
「榠嬪様は西人派ではありませんか?西人派の方が守ってくださるのでは?」
今、朝廷の重臣は西人派で南人派はほとんどいない。
「そうですね。この子がもう少しまともであれば、良かったのですが……」
「王子様に何か?」
「少し頭が弱いようでして、未だに言葉はほとんど理解せず話すこともできません」
まだ2歳なんだから。心配するようなことでもないと思うけど。
「私のことを母だということも認識してないのです。まず母が何だか分かってないのです。ですから、この子には王は無理なのです。そのため生きるためにこうしております」
病気か何かだろうか。念の為、治癒魔法を王子にかけた。少しでも良くなって榠嬪のお心が軽くなるといい。
「そうでしたか。でもまだ2歳ですから、これからですよ」
「そう言っていただけて心が軽くなりました」
手を伸ばしてフォン王子の頭を撫でる。
「王子様、榠嬪様をお慕いして敬うのですのよ」
フォン王子は首を傾げた。少し難しかったかな?
「母上の言うことをよく聞くのですよ」
それでもフォン王子には伝わらなかった。病であったならば治ってるはずなのに。知能が足りないだけなのかな?
「しっこ」
「昭儀様、申し訳ありません。これにて失礼します」
榠嬪は頭を下げて去っていった。
「ポン尚宮」
「はい、昭儀様」
「榠嬪様は前からあんな感じなの?」
「ええ。宮中に入った頃から気弱で淑嬪様のいいなりでした」
淑嬪は榠嬪をいいように使っていたのか。榠嬪からしたら己を守る術がそれしかなかったのかもしれない。同じ西人派だし、淑嬪には優秀な延礽君がいた。
「フォン王子様が生まれた時は王様はそれはそれはお喜びで足繁く榠嬪様のところに通っておられたのですが、いつまで経っても父上とお呼びしないことで王様の足は遠くなりました」
私が生きてきた現代の日本と違って、ここでは異端扱いされてしまうのかもしれない。王様だってフォン王子のことを嫌ったわけではないと思う。どう対応していいのか分からないだけだと思う。
榠嬪とフォン王子が?普通は下の者が上の者を訪れる。それなのに、何故?考えてる場合ではないね。
「お通しして」
榠嬪とフォン王子が入ってきた。上座を譲り立ち上がろうとする。
「昭儀様、そのままで。そのままで結構です」
昭儀様?下の身分の私に様付け?
「昭儀様は王様の大事なお子を身ごもっておいでですので、そのままでお願いします」
「ありがとうございます、榠嬪様」
「過分なお言葉です。昭儀様」
榠嬪様と王子は対面に座るかと思ったが、いきなり礼法に則った礼をし始めた。
「昭儀様にご挨拶申し上げます。フォン」
「もうします」
禧嬪や淑嬪と違いすぎて、私にはどうしていいやら。ここまで下手に出る人には会ったことがない。
それからも榠嬪は丁寧な言葉遣いで、私を持ち上げてくる。
「榠嬪様、何故このように私に接するのですか?」
「昭儀様は王様の寵愛を一身に受けておられます。ですから私は私とこの子を守るために昭儀様の加護を得ようとしてるのです」
「榠嬪様は西人派ではありませんか?西人派の方が守ってくださるのでは?」
今、朝廷の重臣は西人派で南人派はほとんどいない。
「そうですね。この子がもう少しまともであれば、良かったのですが……」
「王子様に何か?」
「少し頭が弱いようでして、未だに言葉はほとんど理解せず話すこともできません」
まだ2歳なんだから。心配するようなことでもないと思うけど。
「私のことを母だということも認識してないのです。まず母が何だか分かってないのです。ですから、この子には王は無理なのです。そのため生きるためにこうしております」
病気か何かだろうか。念の為、治癒魔法を王子にかけた。少しでも良くなって榠嬪のお心が軽くなるといい。
「そうでしたか。でもまだ2歳ですから、これからですよ」
「そう言っていただけて心が軽くなりました」
手を伸ばしてフォン王子の頭を撫でる。
「王子様、榠嬪様をお慕いして敬うのですのよ」
フォン王子は首を傾げた。少し難しかったかな?
「母上の言うことをよく聞くのですよ」
それでもフォン王子には伝わらなかった。病であったならば治ってるはずなのに。知能が足りないだけなのかな?
「しっこ」
「昭儀様、申し訳ありません。これにて失礼します」
榠嬪は頭を下げて去っていった。
「ポン尚宮」
「はい、昭儀様」
「榠嬪様は前からあんな感じなの?」
「ええ。宮中に入った頃から気弱で淑嬪様のいいなりでした」
淑嬪は榠嬪をいいように使っていたのか。榠嬪からしたら己を守る術がそれしかなかったのかもしれない。同じ西人派だし、淑嬪には優秀な延礽君がいた。
「フォン王子様が生まれた時は王様はそれはそれはお喜びで足繁く榠嬪様のところに通っておられたのですが、いつまで経っても父上とお呼びしないことで王様の足は遠くなりました」
私が生きてきた現代の日本と違って、ここでは異端扱いされてしまうのかもしれない。王様だってフォン王子のことを嫌ったわけではないと思う。どう対応していいのか分からないだけだと思う。
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