今の人生を変えたいと願い、転生を望んだ一人の人間が異世界に転生し努力して生きていく物語〜

霜月優

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新しい世界で早速イキって見ました

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泊まるアテも無いし今日は冒険者優待の宿に泊まろう。


 「すいません部屋は空いていますか一泊したいのですが」
 「冒険者カードを見せてもらえるか?」
 
 受付に指示された通りに胸ポケットにしまわれている冒険者カードを見せる。
 すると何故か受付の男は笑い出した。

 「おいおいもしかしてお前最弱チームの下っ端か?おい!」 
 「何だと?」
 「ここは駄目だ店を出よう」

 俺はバカにされた事にキレてカウンターを思いっきり叩きつける。
 レイルドが助言をくれるが俺は全く耳を傾けない。昔からの悪い癖が再発している。

 「生きてたのかあ」
 「それがどうした」
 「まあまあそんなキレんなって生まれて来た事に後悔するだな」
 「おい!お前喧嘩売ってんのか?」
 「駄目だレイ!これ以上は」

 やめろ俺、分かってるだろ、こんなことしても意味がないって、勝てないって、、もうダメだこっちに来ている。なんだ?何か喋ってる。おいおい嘘だろここにいる奴らも仲間かよ、くそ、俺はここでどうすればいい。もう逃げられないぞ逃げたらまた逃げる事を覚えてしまう。何かあるか?この状況で被害を最小限に抑えることができる方法は?

 「仲間と一緒に死ねば苦しまずに死ねたかもな(笑)」
 「俺たち上級民に口ごたえするからこうなるんだ」
 「乙また来世で」

 奴らは何か喋ってるが、その声も聞こえない。
 受付にいた奴が遂に俺を殴りかかろうとしたその時、全てを諦めた俺は笑い出した。

 「クク、フハハハハお前ら揃いも揃って情け無いな」
 「何!?」

 鈍い音がフロントに響き渡る、俺の口から血が流れる。
俺はそれでもまだ強気に話す。

 「強いお前らは弱い俺に向かって集団にならないといきがれないのか……上級民も……その程度か反吐が出るぜ……」
 「やめろレイこれ以上は本当に危ない逃げるんだ。まだ間に合う。」

 殴られても殴られても俺は喋り続ける。
 倒されて仰向けで馬乗りになりながら殴られても続ける。
 何か策があるから俺は叫び続ける。

 「逃げねえ俺は逃げねえ、逃げる事を覚えたら俺は……俺はあの頃のままだ。ここは俺が前の俺と決別する為に俺は逃げねえ」
 「駄目だ逃げるのは恥ずかしくなんか無いんだ。だから」
 「うるせえよ、お前いつから主君にそんな態度を取る様になったんだ?」
 「え………」

 レイルドは困惑する。
 と言うより、ここにいる奴らはレイルドの声など聞こえないから奴らも困惑している。
 
 「すいません部屋空いて……」

 「足枷だった仲間も消えて、、」
 「何を言うんだ」
 「俺は自由になった!!今はまだ許してやるだが、これ以上殴るなら、、容赦はしねえよ?」
 
 俺は後先のことを全然考えず目の前の状況だけは乗り切ろうと持っていたものを全て捨てる。
 勿論レイルドはそれを許さない。

 「リーダーもうやめときましょうよ」
 「危ないですって」

 俺も内心、ビビりまくってる。正直ちびりそうなくらい、人生で一番の山場を迎えていると思う。
 しかし、効果はある。取り巻きは俺の言葉にビビってやがる。あと一押しこいつをどうにかしたい。

 「お前ら何ビビってんだ。ここでこいつを殺しちまえば良いんだよ」

 この言葉を聞いた瞬間、俺に突如として寒気が襲って来た。今フロントには間違いなくこいつの仲間しかいない。 
 俺は目を瞑る。殴られるのをもう見るのが嫌だった。
 顔を3度ほどさらに殴られた時急に俺の体が軽くなる。

 「これ以上はどうかやめて。うちのメンバーがご迷惑おかけして」
 「サラ?」
 「………」
 
 俺の問いかけには堂々無視を決められる。
 まだ根に持っていたのか、そりゃそうか、、、仲間を母親と間違える失態をしてしまったのだからな、でも、どうしてこの状況を救ってくれたのか?
 もしかしたら、これは何とかなっちゃうかも?
 また悪い癖が出てる。
 自分は前に出ず他力本願、連帯責任から逃れる為に嫌々班の人が手伝ってくれる。そんな様なとこだろ。

 「サラか?こんな落ちこぼれの奴達の為にどうしてそこまでするんだ?」
 
 何?
 こいつは別に劣等生だった訳では無かったのか、しかもこの反応から察するにこいつは出来る奴なのかもしれんな。
 しかし優秀な奴だからこそ、謎が深まってくる。

 「別にそれは関係ない。」
 「くそ、騒ぎすぎたせいで中の奴が来ちまった。仕方ねえ許してやるよ。だがガキお前さっきサラが足枷って言ったな?お前等さえ存在しなければサラはもっと上まで行けた、足枷なのはお前の方なんだよ」

 この言葉に俺は何も言えなかった。
 いや、何も分からなかった。
 レイルドもサラの事についてこれ以降も話すことはなかった。
 そして一言も話しかける事も無く、サラは宿から出ていく。
 俺もそれに続く形で出ていく。
 自分の不甲斐なさが沢山出た夜だった。振り返るだけでもいくつも思い出される。あんなに強気で言ったくせにビビった挙句、結局は救われてるし、レイルドの助言も無視するしで自分の良く無い所が全て出た。
 これでは、自分を変えられない。前と今の自分は違うんだ。だからこの現状は受け入れるしか無いし、前に進むしか無い。前にそう決めたのだから。




 そして、これからどこに泊まろうか、いやいっそ野宿にするか。
 新しい世界の初日は外で一夜を過ごした。
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