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急進派
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とある山間に数台の馬車がある。
表にいる数人の男達は皆、頭から獣の耳が出ており、明らかに獣人である。
その中で、一際大きい体格、盛り上がった筋肉、癖毛だが背中まである茶髪、頭には丸い熊の耳、太い眉、ややつきでた顎あご、青髭、長い睫毛、ハデなカラフルな衣装をまとっている人物がいる。
エギュル「マンダムさま、まだ闘技場周辺に魔法陣の設置が終わりません。もう少しかかるようです」
「あらあら、いつも言ってるでしょ。あたしの事は、さま、はいらないって」
エギュル「その様な事、言えません。貴方は私の主人でありますので」
「もう、エギュルちゃん、そんな他人行儀なんだから、このいけずぅ」
エギュルは空を見上げて思った。
早く家に帰りたいと。
「魔法陣は闘技場から離れていてもいいわ、起動さえできれば、あたしのかわい子ちゃんが来てくれるわ」
エギュル「そこまであの人間を信じられるのですか?たしかに大陸一の魔術師かもしれませんが」
「違うのよ、あの人間は信じてないわ。でもね、あの子は気に入ったのよ。だからあの人間が手をかすなら、使い潰せばいいわ」
エギュルは、は~っとため息をしてから小声で「もう、知りませんよ」と、呟いた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
カル視点
リム「は~っ、まさかあのメディちゃんが聖女様と変わらない癒しの力を持っていたなんてね」
「急ごう、ぼくらはかなり遅れてる」
冒険者ギルドに依頼完了の報告をした僕達は、ふたたび、ランス王国王太子領を目指す。
メイサ達に合流する為、そして彼女を取り戻すため。
◆◆◆
三週間前
ガキン、カン、キン
レッド「何故だ、何故、リンの側から離れた?!ブラック!」
ブラック「いい加減にしろ!レッド!今はそれどころじゃないだろう」
シン「殿下!お止めください!!」
リム「もう、なにやってんだよ、レッドさん、カル!レッドさんを止めてくれ」
「むちゃいうな!あのレベルに割り込めるわけないだろう」
タン「早く、早く、お姉さんをさがしにいかないと!」
メディ「ヤーマダ?」
「ガウウ?!」
メディちゃんの奇跡の癒しの力により、リンの従魔獣が一命を取り留めた。
その奇跡に驚く間もなく、リンの姿が馬車から御者と一緒に消えた。
それで半狂乱になったレッドさんがブラックさんに喰ってかかり、剣と槍で闘いだしたと、いう状況。
レッド「俺は直ぐに回りを探索する!まだ近くにいるはずだ!」
ブラック「俺の探索魔法で既に数百メルにリンの痕跡はない!この場で殺さず誘拐したのだ。当面、リンは安全なはずだ。この子はどうする?リンがここまで命がけで守ってきたんだぞ。この癒しの力を奴らに見られているかもしれない」
レッドさんは間合いを取ると、背を見せて無言で離れて行く。
ブラック「チッあの馬鹿が。仕方がない。シン !奴が暴走しない様に付いていけ」
シン「はい!申し訳ありません。殿下!」
タン「ぼくもレッドさんに付いていく」
リム「タン?!」
二人はレッドさんの後ろに駆けて行った。
タンはシンさんが付いてるから大丈夫だろう。
く、おれも本当は後を追いたいが仕方がない。
ブラック「くそ!」バシッ
ブラックさんが近くの木の幹を叩いていた。
同じ気持ちらしい。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
従魔獣はメディちゃんを自ら背中に乗せると、おとなしく付いてくる。
従属の首輪は念のため、おれの力で砕いた。
そして、おれたちは魔の森を抜ける最短ルートで帝国のレブン領ヤナ町に到着した。
ジャイアントベアーが一緒だったせいか、全く魔獣に会わなかった。
おれたちはそのまま男爵邸に向かった。
◆◆◆
カリス「ああ、メディ?!、メディ!」
カリスさんが走ってきてメディちゃんを抱きしめるが、メディちゃんはきょとんとしている?
メディ「…………ダレ?」
カリス「メディ?、どうしたの?!おかあさまですよ、私がわからない?」
カリスさんが答えを求める様に自分を見たので、事の次第を説明した。
カリス「そうですか、命が助かって五体満足で帰ってこれたんです。もう、これで十分です。ありがとうございました。それで?あの方は?」
リム「途中で誘拐された」
カリス「ええ?!」
「…………違います。途中で用事があって、皆さんによろしくって言ってました」
おれは、リムを睨みながら話した。
リムは余計な発言だったと理解したのか、肩をすくめた。
カリス「そ、そうですか?わかりました。お会いしたかったですが聖女さまの用事ですから、また、レブン領にお越しの時は是非、お立ち寄りくださいと伝えてください」
「わかりました」
ブラックさんは終始、男爵と話し合っていたが暫くしてこちらに向き直った。
ブラック「俺はこれでお前達とは別行動だ、だがカル、お前に星の力があるかぎりまたすぐ会う事になるだろう。またな」
ブラックさんは立ち上がり、そのまま屋敷を出て行った。
ヤーマダはメディちゃんの従魔獣として留め置かれるようだ。
なんか、頭が良いらしくカリスさんの言うことにも従うらしい。
男爵家の守護獣として最上だろう、これで憂いはなくなった。
◆◆◆
受付嬢「あら、お久しぶりです。お一人少ないようですが?」
リム「また、後で合流するんだよ」
受付嬢「そうですか、男爵様から報告は貰ってます。依頼完了のサインを」
この冒険者ギルドも二ヶ月ぶりか、あまり変わらないな。
受付嬢のトンボメガネも変わらない。
ラル「よう、元気だったか?」
「ええ、お陰様で」
ギルドマスター、ラル。
相変わらず凄い筋肉だ、スキンヘッドも変わらない。
ラル「そういや、お前らもどうせ出るんだろ?優勝すりゃあ七百万ゼニーだ、一生遊んで暮らせるぜ」
おれたちは顔を見合わせた。
リム「なんの話しだよ?」
ラル「ああん?なんだ、しらねえのか、もったいねぇ。ランス王国ハルージャ闘技場で二週間後に開かれる武闘大会だよ」
「二週間、だいたいメイサ達と合流する次期と被るな」
ラル「それにな、直々に王太子殿下も御観覧なさるんだがその時、婚約者さまの御披露目があってな、優勝者には賞金の他にその婚約者さまから直接花束と握手を頂けるらしいんだが、これが黒髪の絶世の美女らしい」
「「!!」」
リム「カル!それって?!」
「ああ!!」
ラル「なんだ?知り合いか、!、おい、まさか、黒髪っ、あの聖女か?!!」
「間違いない、誘拐されたリンだ!」
表にいる数人の男達は皆、頭から獣の耳が出ており、明らかに獣人である。
その中で、一際大きい体格、盛り上がった筋肉、癖毛だが背中まである茶髪、頭には丸い熊の耳、太い眉、ややつきでた顎あご、青髭、長い睫毛、ハデなカラフルな衣装をまとっている人物がいる。
エギュル「マンダムさま、まだ闘技場周辺に魔法陣の設置が終わりません。もう少しかかるようです」
「あらあら、いつも言ってるでしょ。あたしの事は、さま、はいらないって」
エギュル「その様な事、言えません。貴方は私の主人でありますので」
「もう、エギュルちゃん、そんな他人行儀なんだから、このいけずぅ」
エギュルは空を見上げて思った。
早く家に帰りたいと。
「魔法陣は闘技場から離れていてもいいわ、起動さえできれば、あたしのかわい子ちゃんが来てくれるわ」
エギュル「そこまであの人間を信じられるのですか?たしかに大陸一の魔術師かもしれませんが」
「違うのよ、あの人間は信じてないわ。でもね、あの子は気に入ったのよ。だからあの人間が手をかすなら、使い潰せばいいわ」
エギュルは、は~っとため息をしてから小声で「もう、知りませんよ」と、呟いた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
カル視点
リム「は~っ、まさかあのメディちゃんが聖女様と変わらない癒しの力を持っていたなんてね」
「急ごう、ぼくらはかなり遅れてる」
冒険者ギルドに依頼完了の報告をした僕達は、ふたたび、ランス王国王太子領を目指す。
メイサ達に合流する為、そして彼女を取り戻すため。
◆◆◆
三週間前
ガキン、カン、キン
レッド「何故だ、何故、リンの側から離れた?!ブラック!」
ブラック「いい加減にしろ!レッド!今はそれどころじゃないだろう」
シン「殿下!お止めください!!」
リム「もう、なにやってんだよ、レッドさん、カル!レッドさんを止めてくれ」
「むちゃいうな!あのレベルに割り込めるわけないだろう」
タン「早く、早く、お姉さんをさがしにいかないと!」
メディ「ヤーマダ?」
「ガウウ?!」
メディちゃんの奇跡の癒しの力により、リンの従魔獣が一命を取り留めた。
その奇跡に驚く間もなく、リンの姿が馬車から御者と一緒に消えた。
それで半狂乱になったレッドさんがブラックさんに喰ってかかり、剣と槍で闘いだしたと、いう状況。
レッド「俺は直ぐに回りを探索する!まだ近くにいるはずだ!」
ブラック「俺の探索魔法で既に数百メルにリンの痕跡はない!この場で殺さず誘拐したのだ。当面、リンは安全なはずだ。この子はどうする?リンがここまで命がけで守ってきたんだぞ。この癒しの力を奴らに見られているかもしれない」
レッドさんは間合いを取ると、背を見せて無言で離れて行く。
ブラック「チッあの馬鹿が。仕方がない。シン !奴が暴走しない様に付いていけ」
シン「はい!申し訳ありません。殿下!」
タン「ぼくもレッドさんに付いていく」
リム「タン?!」
二人はレッドさんの後ろに駆けて行った。
タンはシンさんが付いてるから大丈夫だろう。
く、おれも本当は後を追いたいが仕方がない。
ブラック「くそ!」バシッ
ブラックさんが近くの木の幹を叩いていた。
同じ気持ちらしい。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
従魔獣はメディちゃんを自ら背中に乗せると、おとなしく付いてくる。
従属の首輪は念のため、おれの力で砕いた。
そして、おれたちは魔の森を抜ける最短ルートで帝国のレブン領ヤナ町に到着した。
ジャイアントベアーが一緒だったせいか、全く魔獣に会わなかった。
おれたちはそのまま男爵邸に向かった。
◆◆◆
カリス「ああ、メディ?!、メディ!」
カリスさんが走ってきてメディちゃんを抱きしめるが、メディちゃんはきょとんとしている?
メディ「…………ダレ?」
カリス「メディ?、どうしたの?!おかあさまですよ、私がわからない?」
カリスさんが答えを求める様に自分を見たので、事の次第を説明した。
カリス「そうですか、命が助かって五体満足で帰ってこれたんです。もう、これで十分です。ありがとうございました。それで?あの方は?」
リム「途中で誘拐された」
カリス「ええ?!」
「…………違います。途中で用事があって、皆さんによろしくって言ってました」
おれは、リムを睨みながら話した。
リムは余計な発言だったと理解したのか、肩をすくめた。
カリス「そ、そうですか?わかりました。お会いしたかったですが聖女さまの用事ですから、また、レブン領にお越しの時は是非、お立ち寄りくださいと伝えてください」
「わかりました」
ブラックさんは終始、男爵と話し合っていたが暫くしてこちらに向き直った。
ブラック「俺はこれでお前達とは別行動だ、だがカル、お前に星の力があるかぎりまたすぐ会う事になるだろう。またな」
ブラックさんは立ち上がり、そのまま屋敷を出て行った。
ヤーマダはメディちゃんの従魔獣として留め置かれるようだ。
なんか、頭が良いらしくカリスさんの言うことにも従うらしい。
男爵家の守護獣として最上だろう、これで憂いはなくなった。
◆◆◆
受付嬢「あら、お久しぶりです。お一人少ないようですが?」
リム「また、後で合流するんだよ」
受付嬢「そうですか、男爵様から報告は貰ってます。依頼完了のサインを」
この冒険者ギルドも二ヶ月ぶりか、あまり変わらないな。
受付嬢のトンボメガネも変わらない。
ラル「よう、元気だったか?」
「ええ、お陰様で」
ギルドマスター、ラル。
相変わらず凄い筋肉だ、スキンヘッドも変わらない。
ラル「そういや、お前らもどうせ出るんだろ?優勝すりゃあ七百万ゼニーだ、一生遊んで暮らせるぜ」
おれたちは顔を見合わせた。
リム「なんの話しだよ?」
ラル「ああん?なんだ、しらねえのか、もったいねぇ。ランス王国ハルージャ闘技場で二週間後に開かれる武闘大会だよ」
「二週間、だいたいメイサ達と合流する次期と被るな」
ラル「それにな、直々に王太子殿下も御観覧なさるんだがその時、婚約者さまの御披露目があってな、優勝者には賞金の他にその婚約者さまから直接花束と握手を頂けるらしいんだが、これが黒髪の絶世の美女らしい」
「「!!」」
リム「カル!それって?!」
「ああ!!」
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「間違いない、誘拐されたリンだ!」
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