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海路
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◆マリン視点
ブラックが行方不明?
あんな強い男が行方不明、時間差があったとしても自分の側近に魔道レターも出さないなんて、なにかあったということか?
「いいわ、そのベクターには此方にブラックから連絡有りしだい、そちらに連絡するよう伝えると言っておいて」
マデリン「わかりました」
かりっ、私は親指を噛んだ。
最近上手く行かない事が続くと、つい癖で噛んでしまう。
ふと、十二台の馬車の行方に妙な不安がよぎる。
あの日の荷馬車に限って、何故か港湾都市シアラ行きの荷馬車がなかったのだ。
ランス王国の、主な交易ルートは海路だ。
陸路の荷馬車がない日でも、港湾都市行きの荷馬車が出ない日があるわけない。
まして、ギガール帝国に行くとしたら海路の方が断然早い。
「まさか、十二台は囮?!十三台目がある?いけない!マデリン!」
ガチャッ、マデリンがドアを開けて入ってくる。
「お呼びですか」
「至急、馬車の手配を、それから三姉妹に船の用意をさせて!シアラに向かうわ!」
「!わかりました」
マデリンが急ぎ、出ていく。
私は祈るような気持ちで窓の外、シアラの方角を見つめる。
「お願い、間に合って」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆ミン視点
「メイサさん、リムさん、すみません。誘導と護衛をお願いしてしまって」
メイサ「なに、水臭いこと言ってるのよ?あなたと私の仲じゃない」
リム「そうだぜ、どうせカルが聖女様探しでいなければ、ヤナに戻ってもたいした依頼もこなせないしな」
メイサ「リム!あんたのそういうところ、最低だからね!」
リム「なんだよ、そういうところって」
メイサ「だからねぇ、あんたは」
「あの!本当に助かってますから」
メイサ「え、ええ」
リム「ああ」
あれから私達はマリンさんに別れを告げ、獣人の奴隷被害者を祖国に戻す為、被害者達の搬送準備をしていた。
馬車六十台で、港湾都市シアラに向かう。
リム「タンはどうするんだ?」
「念話で繋がりは分かるから元気なのはわかるけど、こちらからの呼びかけに答えてくれないの」
メイサ「ミンはそれでいいの?」
「よくはないけど私達、獣人にとって番は自分の命より優先しなければならない事だから」
リム「は~、おれも番が欲しい、誰かならない?」
メイサ「あんたは一生、独身でいいわ、ふん」
メイサさんは、そっぽを向いて言いはなった。
メイサさん、それは言い過ぎじゃない?
リム「そうだぜ、おれは女に縛られない。女はとっかえひっかえで一生、独身だぜ」
「……………」
メイサ「あんた、最低だからね」
リム「なんで?」
「私もそう思う」
リム「ミンちゃんまで?!」
ガラガラガラ
道を急の馬車が通る、ふと、馬車の窓に知っている人?
「マリンさん?」
メイサ「え?」
リム「マリンさん?!」
マリンさんだ。
何か、聖女様の情報が有ったのかな?
でも、あの方角って港湾都市だよね!?
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆レッド視点
俺は今、リンが拐われてからハルージャを出立した十二台の荷馬車を、グリン、イエル、カルで手分けして追跡をしている。
俺は帝国方面に向かった荷馬車を中心に、追跡している。
すでに二台は確認したが、無関係だ。
リン、酷い目に合ってないだろうか?、痛い思いをしているのではないか?心細い思いをしているのではないか?どちらにしても誘拐犯どもには、それ相応の対価を払わせてやる。
俺は馬の手綱を強く握りしめ、さらにスピードを上げて走らせる。
「神よ、女神よ、お願いだ。リンを無事に俺に返してくれ!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆マリン視点
港湾シアラに到着した私は、マデリンから一台の貸し切り荷馬車が昨日の朝にハルージャ方面から到着していた事を突き止めた。
マデリン「御者に確認したところ、男の三人組で女性連れの客ではなかったとの事です。急用なので至急、港湾都市に行きたいと言われ貸し切りで向かってほしいと、なので駅舎に出立連絡が出来なかったとの事です」
「それで駅舎の情報から漏れていたのね、どんな客だったの?」
マデリン「一人は武官の服を着た役人風でしたが、後の二人は柄が悪い感じだったと」
「怪しいわね、荷物はなかったの?」
マデリン「百八十セムほどの箱一つで、中身は槍や剣が入っていると言っていたそうです」
「それだわ!それでその連中はどこへ向かったの?」
マデリン「帝国のエルヌナ港行きの船便に、荷物といっしょに乗船したそうです。出港は昨日の昼です」
「判ったわ、皆に魔道レターを、三姉妹は?」
マデリン「先ほど、出港準備が整ったと連絡が」
「判った、直ぐ出港よ」
マデリン「はい!」
もう少しの辛抱よ、必ず助け出す。
待ってて、リンちゃん!
ブラックが行方不明?
あんな強い男が行方不明、時間差があったとしても自分の側近に魔道レターも出さないなんて、なにかあったということか?
「いいわ、そのベクターには此方にブラックから連絡有りしだい、そちらに連絡するよう伝えると言っておいて」
マデリン「わかりました」
かりっ、私は親指を噛んだ。
最近上手く行かない事が続くと、つい癖で噛んでしまう。
ふと、十二台の馬車の行方に妙な不安がよぎる。
あの日の荷馬車に限って、何故か港湾都市シアラ行きの荷馬車がなかったのだ。
ランス王国の、主な交易ルートは海路だ。
陸路の荷馬車がない日でも、港湾都市行きの荷馬車が出ない日があるわけない。
まして、ギガール帝国に行くとしたら海路の方が断然早い。
「まさか、十二台は囮?!十三台目がある?いけない!マデリン!」
ガチャッ、マデリンがドアを開けて入ってくる。
「お呼びですか」
「至急、馬車の手配を、それから三姉妹に船の用意をさせて!シアラに向かうわ!」
「!わかりました」
マデリンが急ぎ、出ていく。
私は祈るような気持ちで窓の外、シアラの方角を見つめる。
「お願い、間に合って」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆ミン視点
「メイサさん、リムさん、すみません。誘導と護衛をお願いしてしまって」
メイサ「なに、水臭いこと言ってるのよ?あなたと私の仲じゃない」
リム「そうだぜ、どうせカルが聖女様探しでいなければ、ヤナに戻ってもたいした依頼もこなせないしな」
メイサ「リム!あんたのそういうところ、最低だからね!」
リム「なんだよ、そういうところって」
メイサ「だからねぇ、あんたは」
「あの!本当に助かってますから」
メイサ「え、ええ」
リム「ああ」
あれから私達はマリンさんに別れを告げ、獣人の奴隷被害者を祖国に戻す為、被害者達の搬送準備をしていた。
馬車六十台で、港湾都市シアラに向かう。
リム「タンはどうするんだ?」
「念話で繋がりは分かるから元気なのはわかるけど、こちらからの呼びかけに答えてくれないの」
メイサ「ミンはそれでいいの?」
「よくはないけど私達、獣人にとって番は自分の命より優先しなければならない事だから」
リム「は~、おれも番が欲しい、誰かならない?」
メイサ「あんたは一生、独身でいいわ、ふん」
メイサさんは、そっぽを向いて言いはなった。
メイサさん、それは言い過ぎじゃない?
リム「そうだぜ、おれは女に縛られない。女はとっかえひっかえで一生、独身だぜ」
「……………」
メイサ「あんた、最低だからね」
リム「なんで?」
「私もそう思う」
リム「ミンちゃんまで?!」
ガラガラガラ
道を急の馬車が通る、ふと、馬車の窓に知っている人?
「マリンさん?」
メイサ「え?」
リム「マリンさん?!」
マリンさんだ。
何か、聖女様の情報が有ったのかな?
でも、あの方角って港湾都市だよね!?
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◆レッド視点
俺は今、リンが拐われてからハルージャを出立した十二台の荷馬車を、グリン、イエル、カルで手分けして追跡をしている。
俺は帝国方面に向かった荷馬車を中心に、追跡している。
すでに二台は確認したが、無関係だ。
リン、酷い目に合ってないだろうか?、痛い思いをしているのではないか?心細い思いをしているのではないか?どちらにしても誘拐犯どもには、それ相応の対価を払わせてやる。
俺は馬の手綱を強く握りしめ、さらにスピードを上げて走らせる。
「神よ、女神よ、お願いだ。リンを無事に俺に返してくれ!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆マリン視点
港湾シアラに到着した私は、マデリンから一台の貸し切り荷馬車が昨日の朝にハルージャ方面から到着していた事を突き止めた。
マデリン「御者に確認したところ、男の三人組で女性連れの客ではなかったとの事です。急用なので至急、港湾都市に行きたいと言われ貸し切りで向かってほしいと、なので駅舎に出立連絡が出来なかったとの事です」
「それで駅舎の情報から漏れていたのね、どんな客だったの?」
マデリン「一人は武官の服を着た役人風でしたが、後の二人は柄が悪い感じだったと」
「怪しいわね、荷物はなかったの?」
マデリン「百八十セムほどの箱一つで、中身は槍や剣が入っていると言っていたそうです」
「それだわ!それでその連中はどこへ向かったの?」
マデリン「帝国のエルヌナ港行きの船便に、荷物といっしょに乗船したそうです。出港は昨日の昼です」
「判ったわ、皆に魔道レターを、三姉妹は?」
マデリン「先ほど、出港準備が整ったと連絡が」
「判った、直ぐ出港よ」
マデリン「はい!」
もう少しの辛抱よ、必ず助け出す。
待ってて、リンちゃん!
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