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第16話 サンダーショック
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どゴォぉぉーーーーーーーん!!
商人が乗る馬車の数メートルほど手前にいきなり雷が落ちた。
いや雷に直撃をくらった何かが墜落してきたのだ。
「うおおお!? な、なんだ!!」
商人はリベノ自治区内の館へ戻る途中だったが、突然の出来事に馬も怯えてその場で立ち往生した。
彼は馬車から降りて馬をなだめつつ、目の前にできた大穴の様子を伺う。
するとまだ煙が立っている穴の底には真っ黒に焦げた人らしきものが。
「こりゃもう死んでいるな… しかし一体、何が起きたんだ…」
その時、死んでいると思った人らしき物体が、むっくりと立ち上がった。
「ひぃぃ!?」
その姿を見て商人は魂が抜けそうになった。
黒焦げになったコートがはだけて、えっちな下着の様なビキニアーマーが「見て見て!」と言わんばかりにモロ出し。
ポカンと開いた口からは、舌がだらしなく垂れ下がりヨダレがダダ漏れ状態。
フレームだけ残ったメガネの奥で、危い世界へいっちゃったような白目9割の瞳。
そして焦げたウサちゃん帽子の穴からは、悪魔の羊角が顔を出してクネクネと悶える様に蠢いていた。
「へ… 変態魔王ルビアだぁぁぁっ!!!!」
いやいや違う!! っていうか勝手に変態要素を追加すんな!!
俺はバカだった。
着替えが終わって意気揚々と入道雲の中に作った結界から出た途端、雷に打たれたて地上に落下したのだ。
なんで入道雲(別名 雷雲)の中で着替えようと思ったんだ俺は。
しかも金属フレームのメガネに落雷とか…
それに、こういう時に限ってルビアの自動防衛システムが動作しないのはなんで?
「…そっか。運営の攻撃とかマジハンパなくやばい状態じゃないと作動しないのかもしれない」
確かに自然現象の落雷ごときでファランクスを出すのもアレだろうしなぁ…と俺は一人納得した。
いや、それよりもどうするんだこの状況!?
その時、目の前で呆然と立ち尽くしたままの商人を見て俺は気がついた。
「あ… !!」
次の瞬間、商人へ向けてそのまま穴の底から猛ダッシュする俺。
強制ヒールを実行、穴を3歩駆け上がるまでに黒焦げの衣装は全て飛散し、ビキニアーマーだけを装着したいつもの魔王ルビアにもどっていた。
驚きの表情を見せる商人の前で跳躍、彼の頭上で弧を描く様に反転し、その背後に潜む透明化した魔物の頭部をタッチ。
「デ・トワ・フリーズ」
一瞬で魔物の透明化が解除されると同時に凍結が始まり、あっという間に氷の彫像と化したミノタウロスがそこに棒立ちになっていた。
身長約3メートル、半人半牛の容姿で性格は極めて凶暴、意外に知能も高くLv83を誇る Aランクの魔物。
しかし魔物がいくら透明魔法を使っても、ルビアの眼を通すと3Dソフトのワイヤーフレーム表示みたく映るので即バレであった。
「この中級魔法でもAランクの魔物を一時的に凍結させるくらいはできるんだな」
しかしこのまま放っておけば30分もすると凍結が解けて元に戻ってしまう。
そこで今度はミノタウロスに上級魔法を試し撃ちしてみることにした。
「デ・クトラデス・クロウ」
頭上に巨大な龍の爪が出現、ミノタウロスをその爪であっけなく粉砕した。
Aランクの魔物までであれば、ルビア必殺の大釜を出すまでもなく中級~上級魔法だけで殆どは対応できそうだ。
しかし魔力が強すぎて魔物のコア(魔石)まで砕かれているんだが…
そこら辺に散らばったミノタウロスの氷片はやがて蒸発する様に消えていった。
商人は腰を抜かして座り込んでいる。
この商人の持っている交易品の中にはどうやら魔物の魔石が含まれているようだ。
多分、魔王城から落ちてきた手負のミノタウロスが、不足した魔素を求めて襲おうとしていた…というところか。
俺は商人に目を向けて言った。
「もう大丈夫だ。次から魔石は厳重に封印して魔素が漏れない様に運んだ方が良いぞ?」
声を掛けられてはっと我に帰った商人は突然土下座をした。
「ま、魔王ルビア様!! 命を救っていただき誠に有難うございます! そして、たいっへん申し訳ございませんでしたぁぁぁ!!」
俺は黒焦げの変態姿を見られたし、ルビアだとバレたし、なんかもうどうでも良くなって好きに振る舞うことにした。
(俺の着替えの苦労は一体…)
「構わん、我に逆らった魔物を処分したまでだ。それよりもここはリベノ自治区で間違いないか?」
「その通りです! 魔王様っ」
「いいか?今見たことは他言無用で…」
と言いかけたら商人はいきなりルビアの手を握って懇願した。
「な、何卒、お慈悲を!! どうかここを滅ぼさないでくださいっ!!」
え? 俺を何だと思ってるの? いや魔王だけど。
あぁ、そうか。
不戦勝で自治区を手に入れたこざかしい人間供に、魔王がリベンジしにきたと?
「別に滅ぼそうなんて思っていないから安心するがいい。それより他言…」
「ああああありがとうぉぉございますっ!! なんという慈悲深き魔王様っ!!」
こいつ人の話を聞かねぇ。
「魔王様!これをどうぞお召しになってください!」
商人はいきなり馬車の荷物からなにやら黒いマントを引っ張り出し、俺に手渡した。
手にとるとバッファローの皮を分厚くした様な素材感からは想像もつかないシルキーな触り心地。そして羽毛の様に軽い。
これはTAKIDAN でもかなりの上物だろう。
それに魔法や呪術が施された痕跡もないから安全な代物と言える。
俺はそのマントにあらゆる劣化を防止する魔力コーティングを施して羽織ってみた。
(また雷が落ちてぼろぼろになったら嫌だし)
「ま、魔王様!! とってもお似合いです!! セクシーッ!!」
いきなり何いってるんだこの商人? 頭がおかしく!?
「ハッ! し、失礼致しましたっ」
「私の頭上で大胆かつ美しく舞われて華麗に魔物を蹂躙された時、もうこの世のものとは思えない程の魅惑的なお姿と、それを更に引き立たせるとってもいけない感じのお召し物、この商人ザワンドの両目にしっかりと永遠に焼き付いたのでございますっ!!」
「は? おまえなにをい」
「それにマントを羽織っていて、たまに裾から覗くとってもいけないお召し物がとってもいけなく見えるので、つい口から本音が出た訳であって本当に眼福いや、他の人間に見せたくないというか、あぁ私は正直な商人なので本音しか出てこないのです!!んんん!!せっくしー!!」
あ、だめだこいつ。絶対関わっちゃいけないタイプの人間だ。
しかし、本音しかしゃべれないというのは商人としてどうなの?
ある意味、信頼はできるかもしれないがちょっと嫌だこの人。
「ぜひ、ぜひぜひぜひ、リベノ自治区の村長とお会いしてください!」
え? いやなんで急にそうなんの?
「ささ、ささささ、さぁぁどうぞ!! 愛しの魔王ルビア様ぁぁぁッ!!」
ザワンドと名乗る商人に色々と疑問(怒りを含む)をぶつけたいところだが、彼の訳のわからない迫力に負けて馬車に乗ってしまった。
こいつからはルビアの事をどこかに通報するような気配が全く感じられない。
ステータスを覗かせてもらったが運営とのつながりもなさそうなので取り敢えず安心… なのか?
ザワンドはご機嫌そうに鼻歌を歌いながら手綱をひいて馬を進め始めている。
「こいつ人の話は聞かないし何か強引だし断っても良かったんだけど…」
「でも悪人ではなさそうだから無下に断れないんだよなぁ。あぁもう…」
俺はお人好しというか場に流されてしまう自分に対してちょっと腹立たしくなったけれど、それ自体がいつもの自分らしいよなぁ…と思って妙に安心した。
それに行く宛もないし、なんか高そうなマントも貰っちゃったことだし、もうどうにでもな~れと思っていたので、おとなしくそのまま村長の家へと向かうことにした。
あぁ どうなるんだ俺…
商人が乗る馬車の数メートルほど手前にいきなり雷が落ちた。
いや雷に直撃をくらった何かが墜落してきたのだ。
「うおおお!? な、なんだ!!」
商人はリベノ自治区内の館へ戻る途中だったが、突然の出来事に馬も怯えてその場で立ち往生した。
彼は馬車から降りて馬をなだめつつ、目の前にできた大穴の様子を伺う。
するとまだ煙が立っている穴の底には真っ黒に焦げた人らしきものが。
「こりゃもう死んでいるな… しかし一体、何が起きたんだ…」
その時、死んでいると思った人らしき物体が、むっくりと立ち上がった。
「ひぃぃ!?」
その姿を見て商人は魂が抜けそうになった。
黒焦げになったコートがはだけて、えっちな下着の様なビキニアーマーが「見て見て!」と言わんばかりにモロ出し。
ポカンと開いた口からは、舌がだらしなく垂れ下がりヨダレがダダ漏れ状態。
フレームだけ残ったメガネの奥で、危い世界へいっちゃったような白目9割の瞳。
そして焦げたウサちゃん帽子の穴からは、悪魔の羊角が顔を出してクネクネと悶える様に蠢いていた。
「へ… 変態魔王ルビアだぁぁぁっ!!!!」
いやいや違う!! っていうか勝手に変態要素を追加すんな!!
俺はバカだった。
着替えが終わって意気揚々と入道雲の中に作った結界から出た途端、雷に打たれたて地上に落下したのだ。
なんで入道雲(別名 雷雲)の中で着替えようと思ったんだ俺は。
しかも金属フレームのメガネに落雷とか…
それに、こういう時に限ってルビアの自動防衛システムが動作しないのはなんで?
「…そっか。運営の攻撃とかマジハンパなくやばい状態じゃないと作動しないのかもしれない」
確かに自然現象の落雷ごときでファランクスを出すのもアレだろうしなぁ…と俺は一人納得した。
いや、それよりもどうするんだこの状況!?
その時、目の前で呆然と立ち尽くしたままの商人を見て俺は気がついた。
「あ… !!」
次の瞬間、商人へ向けてそのまま穴の底から猛ダッシュする俺。
強制ヒールを実行、穴を3歩駆け上がるまでに黒焦げの衣装は全て飛散し、ビキニアーマーだけを装着したいつもの魔王ルビアにもどっていた。
驚きの表情を見せる商人の前で跳躍、彼の頭上で弧を描く様に反転し、その背後に潜む透明化した魔物の頭部をタッチ。
「デ・トワ・フリーズ」
一瞬で魔物の透明化が解除されると同時に凍結が始まり、あっという間に氷の彫像と化したミノタウロスがそこに棒立ちになっていた。
身長約3メートル、半人半牛の容姿で性格は極めて凶暴、意外に知能も高くLv83を誇る Aランクの魔物。
しかし魔物がいくら透明魔法を使っても、ルビアの眼を通すと3Dソフトのワイヤーフレーム表示みたく映るので即バレであった。
「この中級魔法でもAランクの魔物を一時的に凍結させるくらいはできるんだな」
しかしこのまま放っておけば30分もすると凍結が解けて元に戻ってしまう。
そこで今度はミノタウロスに上級魔法を試し撃ちしてみることにした。
「デ・クトラデス・クロウ」
頭上に巨大な龍の爪が出現、ミノタウロスをその爪であっけなく粉砕した。
Aランクの魔物までであれば、ルビア必殺の大釜を出すまでもなく中級~上級魔法だけで殆どは対応できそうだ。
しかし魔力が強すぎて魔物のコア(魔石)まで砕かれているんだが…
そこら辺に散らばったミノタウロスの氷片はやがて蒸発する様に消えていった。
商人は腰を抜かして座り込んでいる。
この商人の持っている交易品の中にはどうやら魔物の魔石が含まれているようだ。
多分、魔王城から落ちてきた手負のミノタウロスが、不足した魔素を求めて襲おうとしていた…というところか。
俺は商人に目を向けて言った。
「もう大丈夫だ。次から魔石は厳重に封印して魔素が漏れない様に運んだ方が良いぞ?」
声を掛けられてはっと我に帰った商人は突然土下座をした。
「ま、魔王ルビア様!! 命を救っていただき誠に有難うございます! そして、たいっへん申し訳ございませんでしたぁぁぁ!!」
俺は黒焦げの変態姿を見られたし、ルビアだとバレたし、なんかもうどうでも良くなって好きに振る舞うことにした。
(俺の着替えの苦労は一体…)
「構わん、我に逆らった魔物を処分したまでだ。それよりもここはリベノ自治区で間違いないか?」
「その通りです! 魔王様っ」
「いいか?今見たことは他言無用で…」
と言いかけたら商人はいきなりルビアの手を握って懇願した。
「な、何卒、お慈悲を!! どうかここを滅ぼさないでくださいっ!!」
え? 俺を何だと思ってるの? いや魔王だけど。
あぁ、そうか。
不戦勝で自治区を手に入れたこざかしい人間供に、魔王がリベンジしにきたと?
「別に滅ぼそうなんて思っていないから安心するがいい。それより他言…」
「ああああありがとうぉぉございますっ!! なんという慈悲深き魔王様っ!!」
こいつ人の話を聞かねぇ。
「魔王様!これをどうぞお召しになってください!」
商人はいきなり馬車の荷物からなにやら黒いマントを引っ張り出し、俺に手渡した。
手にとるとバッファローの皮を分厚くした様な素材感からは想像もつかないシルキーな触り心地。そして羽毛の様に軽い。
これはTAKIDAN でもかなりの上物だろう。
それに魔法や呪術が施された痕跡もないから安全な代物と言える。
俺はそのマントにあらゆる劣化を防止する魔力コーティングを施して羽織ってみた。
(また雷が落ちてぼろぼろになったら嫌だし)
「ま、魔王様!! とってもお似合いです!! セクシーッ!!」
いきなり何いってるんだこの商人? 頭がおかしく!?
「ハッ! し、失礼致しましたっ」
「私の頭上で大胆かつ美しく舞われて華麗に魔物を蹂躙された時、もうこの世のものとは思えない程の魅惑的なお姿と、それを更に引き立たせるとってもいけない感じのお召し物、この商人ザワンドの両目にしっかりと永遠に焼き付いたのでございますっ!!」
「は? おまえなにをい」
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あ、だめだこいつ。絶対関わっちゃいけないタイプの人間だ。
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ある意味、信頼はできるかもしれないがちょっと嫌だこの人。
「ぜひ、ぜひぜひぜひ、リベノ自治区の村長とお会いしてください!」
え? いやなんで急にそうなんの?
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こいつからはルビアの事をどこかに通報するような気配が全く感じられない。
ステータスを覗かせてもらったが運営とのつながりもなさそうなので取り敢えず安心… なのか?
ザワンドはご機嫌そうに鼻歌を歌いながら手綱をひいて馬を進め始めている。
「こいつ人の話は聞かないし何か強引だし断っても良かったんだけど…」
「でも悪人ではなさそうだから無下に断れないんだよなぁ。あぁもう…」
俺はお人好しというか場に流されてしまう自分に対してちょっと腹立たしくなったけれど、それ自体がいつもの自分らしいよなぁ…と思って妙に安心した。
それに行く宛もないし、なんか高そうなマントも貰っちゃったことだし、もうどうにでもな~れと思っていたので、おとなしくそのまま村長の家へと向かうことにした。
あぁ どうなるんだ俺…
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