無課金で魔王になったので静かに暮らします

カレス

文字の大きさ
19 / 37

第19話 初めての訪問者

しおりを挟む
俺がこの砦を拠点としてから幾日かが過ぎた。

実は初日に石の椅子で寝落ちしたのが原因で腰と尻をひどく痛め、翌朝泣きながら自己ヒールしたのは秘密である。

肝心のリフォーム作業は、砦の外観を変えると目立つので、見た目はそのままで建物全体の素材強度を上げ、内装だけをリフォームすることにして作業。

砦は大槍を室内に立て掛けておく構造の為、天井は余裕をもって5メールほどもあり開放的でとても気に入っている。(ちょっと寒々しいが)

だだっ広い床は石畳が敷き詰められていたが、木目の美しいフローリング材に変更。

場所が余りまくったのでパーテーションを作ってキッチンと休憩室をつくり、残りはでかい応接間のように仕上げてみた。

外からは見えない地下倉庫エリアには大きめのお風呂にゆっくり寛げる寝室を配置した。

実際には魔力で身体クリーニングできるし、睡眠も食事も必要なかったので、これはもう完全に気分の問題だった。

人間らしいと思われる要素を生活環境の中に残しておかないと、自分がまるでロボットのようになってしまいそうで怖かったからである。

ようやく一通り内装が終わりつつあったが、どうにも何か落ち着かない。

こんな広くてスッキリした綺麗な居場所を手に入れられたというのに。

何故か転生前に住んでいた賃貸ボロアパートのぐちゃぐちゃした狭い部屋が妙に懐かしくなってきた。

そこに住んでいる時は「こんな狭いとこ、もううんざりだぁ~!」なんて思っていたのになぁ。

「あ」

俺は思い出してしまった。

「 …そういえば、俺の部屋はあれからどうなったんだ!?」

「魔力でリフォームしている時も、自宅のクソデカ自作PCから送られてくる処理パワーを感じてはいたけど…」

「そ、そろそろ電気代だって払わないとやばい時期なのでは…」
「それに今は問題なく通電していても、地震や停電で一度シャットダウンしちゃったら…」

俺は急に不安になった。

この問題って結構やばいのでは!?
もし、PCからの処理パワーが絶たれれば…

単純にパワーダウンするだけで済むのか?
それともパワー供給が絶たれた瞬間、俺はこの世界から消えてしまうのか?
この世界から消えた途端、元の世界へ都合よく戻れるなんてことはあり得るのか?
いやそもそも、現実で俺の肉体はどうなってる!?

なんとなく分かってはいたけど、TAKIDANに転生してからのドタバタ騒ぎで俺は頭がいっぱいいっぱいで考えるのを避けていたのだ。

それが今、少しは落ち着けるようになったことで、記憶が戻るように不安のタネが一斉開花したんだ。


どうする? どうすればいい?

どういう仕組みかわからないけど俺とPC間はまだリンクしている。
けれど今後どうなるかなんて一切の保証はない。

しかし、しかしだ。それらを心配してどうなるっていうんだ?

そもそもPCやそれを管理していた俺自身の肉体は、このTAKIDAN世界とは隔絶された「現実世界」に残されたままなんだぞ。

そしてそこへアクセスする手段は今のところ、全く見当がつかない。

簡単に言えば、もうどうにもならん。お手上げ。

・・・・・

俺は作業をやめて屋上に出た。

元は見張り台があったという場所に座って空を見上げる。

空は抜けるようにどこまでも青い。

現実の空とは違ってちょっと青の濃度が濃すぎるくらいだ。
それに「真空か?」っていうくらい積層された空気の重みというものがない。
これって例えるならアニメ的な表現の空だよなぁ… などと適当なことをぼんやり考えていた。

そんな訳で俺はしばしの現実逃避。


「はぁぁ… 」


またルビアと同じため息をしてしまった。

しかし妙に心が落ち着くのは何故だろう。

そうだ、あいつ… 
ルビアって一体どこへ行ってしまったんだ。

ピピ!

その時、俺のマップに反応があった。

念の為に張っておいた結界の手前まで誰かが近づいてきた様だ。

村長? それともザワンドか?

マップ上に現れた訪問者のアイコンをタップすると「村人A」と出た。

「誰!?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

処理中です...