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第33話●空族1
しおりを挟む「ペレペルキナー。バレッタつけてー。」
「編み込みしてー。」
毎朝の様に魔獣っ娘達がペレペルキナの部屋に押しかける様になってしまった。
「ヒナー。こっちの服にこの靴とこのアクセサリーの方が可愛いと思うわ。」
ってペレペルキナも魔獣っ娘達を着せ替え人形にして楽しんでいるようだ。
そばにいたゴーレムが緊急モードに切り替わる。
「王城の南3時の方向7000mの上空に魔獣と大量の魔導飛機を検知しました。既に攻撃を受けています。防御体制に移行します。」
城のバルコニーから一体の赤龍を追う様に100機程の魔導飛機が飛んで
いる。
空族の魔導飛機には大型のバリスタ(弩弓)が搭載されている。
赤龍には数本の矢が突き立っている。
赤龍はまだ幼体のようで体長は10mに及ばない。
いつの間にか金龍のアウザーラと他の龍種が集まってくる。
基本的には魔獣達は討伐を受けることについては達観している。
自分達も狩りをするから。
しかし幼体についてはその限りではない。
アレインはまだ様子を見ている。
今手出しをすると獲物の横取りになってしまうから。
赤龍や魔導飛機が領空に入ったのを見てから竜種達にうなずく。
アウザーラを先頭にして何体もの龍種が人化を解いて飛んでいく。
アウザーラだけでオーバーキルだね。
魔導飛機から何発かのバリスタの矢が王城に向けて放たれるが王都を包む様に張られた障壁にはじかれる。
防衛システムは今のところ反撃を控えている。
数頭の竜種が近づいてきたのに気づくと空族の魔導飛機は領空上で停止した。
アウザーラ達は赤龍を取り囲んで守りに入るが既に体力を消耗していたのだろう、赤龍はゆっくりと降下して王城前の広場に横たわった。
アウザーラ達も赤龍を囲んだ状態で広場に降りたった。
アレインはヒナに手を引かれて赤龍のそばに行った。
赤龍は既に瀕死の状態だった。
アンドロイドが錬金術師のコージから預かったエリクサー拡散機を持ってくる。
空族の魔導飛機が1機広場に着陸する。
「そいつは俺達の獲物だぜ。」
ヘビィボウガンを担いだごつい兄ちゃんを先頭に20人程の空族が降りてくる。
バリスタの照準もアレインにロックオンされている。
「いや、ダメだ。」
「横取りするつもりならただでは済まさないぜ。空族全部を敵に回すつもりかい?」
兄ちゃんはヘビィボウガンをアレインに向ける。
ヒナとターフメがアレインの前に立つ。
それを見て空族達が笑う。
この人達、鑑定できないのか?
能天気に笑っていられる状況じゃないんだけど。
「ここは俺の国の領内だ。お前達でも勝手は出来ない。それにこの子はまだ生きている。」
この子は瀕死になりながらこの国にたどり着いた。
魔獣の国に。
空族の兄ちゃんはいきりたって言う。
「ここがどこだろうが俺達無国籍の空族には関係ねえんだ。」
ボウガンの矢がアレインの頬をかすめる。
「そうか、お前達の中に鑑定のスキルを持っている奴はいないのか?」
「それから後ろを振り返ってみたらどうだ、もうここにはお前達しかいないぞ。」
「は?何言ってんだ?あ?あれ?みんなはどうした?」
飛機の番をしていた少年がタラップから飛び降りて走ってくる。
「兄ちゃん、まずいよ。あ、謝ってはやく、はやく。」
「な、何言ってんだお前まで、どうしたって言うんだ?。」
「ここは魔獣王アレインの国なんだよ。周りにいる女の子達はみんな人化した魔獣なんだよ。僕達みんな死んじゃうよ。」
少年は鼻水と涙でぐしょぐしょになって泣いている。
赤龍の傷はエリクサーですっかり治った様だ。
アウザーラ達は人化してアレインの周りにやって来る。
少年がさらに大きな声で泣き始める。
「もうダメだよー。あーん。みんな死んじゃうんだよ。」
アイゼイヤがタオルで少年の顔を拭いている。
少年はそばにいるアイゼイヤとエイベルを見てくったりと腰を抜かして座り込んだ。
「その少年は鑑定のスキルを持っているんだな?」
アレインは続けて言う。
「この国は魔獣の国、ここに来た魔獣はどうあっても俺達が守る。」
「手ぶらでは帰れないだろうから土産を持たせてやる。だから黙って帰れ。」
引っ込みがつかないだろうな。無理もない。真面目ならなおのこと引き下がれまい。
エイベルに目配せする。
「王様ー。この子食べるー。いい匂いするし柔らかそう。」
少年はもう声も出ない。
「やめろー。弟を返せ。」
「じゃ、交換ね。エイベルその子渡してあげなよ。」
エイベルはひょいっと少年を持ち上げて空族の兄ちゃんに渡す。
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