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第37話● 髭面のウェストリ
しおりを挟む「王様ーっ王様ーっ、なんか来た。」
アイゼイヤが王城前の広場から王城のベランダに向かって叫んでいる。
子供が団地の公園からベランダで洗濯物を干している母親に呼びかけている様子とおんなじだ。
魔導飛機が100機ぐらい広場の上空で止まっている。
白旗を掲げているので害意は無いのだろう。
1機が着陸して髭面の兄ちゃんを先頭に20人程が降りてくる。
「空族は出禁にしたはずだけど?」
広場に降りて来たアレインが言う。
ヒナがペレペルキナの手を引いて走って追いかけてくる。
アイゼイヤとエイベルは先に広場にいて魔導飛機が来るのを見ていた様だ。
髭面が言う。
「俺達はリットとは別のクランだ。
俺はウェストリ。空族はあいつらだけじゃねえし、あいつらのドジの責任を俺達まで被せられちゃたまんないね。」
空族ってそんなにたくさんいるのかー。面倒くさいなー。とアレインはぼんやりと考える。
「王様ー。俺達にはいい提案があるんだけど聞いてくれねえか?」
ウェストリの提案っていうのは、彼らが仕事で飛び回って魔獣に遭遇したらその場所を教えるから引き取りに来いって事だ。
それでその引き取った魔獣相応の物を情報料として払えと言う訳だ。
空族達には討伐すると言う仕事は無くなるが同時に危険も無くなる。
俺も別にメリットはないが魔獣達が狩られる不快感はましになる。
この異世界では魔獣を狩るのは普通だし、それでレベル上げしたり装備を作ってクエストをこなすゲームだし、仕方がないって言えばそれまでだからな。
了解して髭面を帰した。
さっそく東方の海にいるセイレーンの情報を置いて行った。
「なあヒナ、海に住んでるセイレーンをあんな辺境の山のふもとに連れて行って大丈夫なんか?」
俺を乗せてパタパタ羽ばたいている。
やっぱりどう見てもでっかいひよこだよ。
色も黄色だし。
羽ばたきはパタパタなのに、スピードが音速を超えてキーンなのは意味がわからない。
ついさっきドーンってソニックブームがなってた。
「人化してしまえば問題なし。温泉も川もあるし。」
「淡水でも大丈夫なんだ。」
アウザーラとピボがついてくる。
金龍と赤龍だけど体の割に翼が小さい。
人化して翼が無い状態でも飛んでいるから翼による浮力とかは飛ぶ事に全く関係ないようだ。
この世界で物理的にとか科学的とか考えちゃダメなんだね。
あっという間に大荒野から大森林の上空についた。
この第森林の端っこをかすめて海に出る。
大森林の一角に世界樹が枝を広げているのが見える。
あの辺がエルフの里なんだ。
確かカニ料理で有名のホビエの港街が近くにあるんじゃないかな?
などとつぶやくと正面の羽毛がもっこりと盛り上がってペレペルキナが顔をだした。
「いたの?」
いつの間に?
「ヒナがあなたと一緒に掴んで乗せたのよ、気がつかなかったの?」
「なんか背中に柔らかいものが押しつけられたのはペレペルキナだったのか。」
「バカ。」
海、たぶん海。海が見えて来た。
この世界では初めて海を見た。
地球と同じで青い。
凪のせいで白い雲が映り込んでいる。
ヒナが高度を下げて旋回し始める。
水面にぽちゃんと降りる。
いや、大きさ的にはざっぶーんなんだけど。
水面に浮いたいる姿がお風呂にぷかぷか浮かんでいるおもちゃのアヒルみたいなので。
ヒナが急にピーっと鳴く。
遠くから水面にいく筋もの波を立てて魚?見たいなのが集まってくる。
ヒナの周りに水面から女の子がたくさん顔をだす。
セイレーンってこんなにたくさんいるの?
見た所30人ぐらいいる。
みんな、うちにくるの?
「いくーっ。王様の所にいくー。みんないくー。」
口々にセイレーンが言う。
まあ、いいか。
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