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しおりを挟む目を覚ますと、アドラ様の顔が目の前にあった…。
「ああミリアン!!!すまなかった!私が悪かった!!」
「……っ?」
何でアドラ様はこんなに僕に謝っているの?こ、怖い。
「……い、嫌です。来ないで、ごめんなさい、来ないで。」
「ミリアン…?何故謝るんだ、」
僕から子を取らないで、お願い、この子しか居ないのに僕にはこの子しか、
「……!ミリアン、長い間会いに来なくて申し訳なかった。言い訳などしない、ミリアンに一人苦しい時間を過ごさせた事後悔してもしきれない。……ミリアン、どうかこちらを見てくれないか?」
「と、取らないで!」
「取る?」
「嫌、一人は嫌、僕にはこの子しか居ないの、」
「!!ミリアン、」
!!!急にお腹がっ!!
「っ!!っん!!い、痛い!お、おなかがぁっ!」
「ミ、ミリアン!医者を呼んでくれ!!早く!」
痛みと闘い数時間耐え抜き無事に子が産まれた。
ああ、これで僕の役目は終わってしまった。出産が終わった後赤子は何処かに連れて行かれた、僕はどうなるんだろう。
なんて考えているとアドラ様とお義母様が赤子を抱き抱えて僕の前に現れた。
「ミリアン、よく頑張ってくれた。ありがとう、見てごらんミリアンと俺の子だ。」
「っ!!」
目頭が熱くなり涙が、感情が溢れる、
「っどうして会いに来てくれなかったの?僕が嫌になってしまいましたか?やっぱり汚かった?気持ち悪かったですか?」
「そんな事はない、ミリアンを嫌になってなどいないし汚い所などない。……全部、俺が悪いんだ。許してくれ、…愛してるんだ、ずっと。」
!!
「本当ですか?もう一人にしないですか?」
「ああ、もう絶対に離れない。」
唇を重ね、見つめ合いもう一度唇を重ねる。離れた二人が愛を確かめ合うように。
「あのーおばあちゃまと息子も居るからね?」
「!!す、すみませんぅ!」
「いい、気にするな。」
お義母様の目を気にもせずもう一度僕にキスを落とすアドラ様に少し呆れながら
「お義母様、赤ちゃん僕も抱いてもいいですか?」
「ああ、もちろん。ミリアンの子だからね。」
この赤子が僕の中で成長して産まれたのかと思うと胸が熱くなる。この子が幸せになれますように。
産まれた赤子はミラと名付けられた。半年経った頃、夜旦那様に呼び出された。ミラを乳母に預け、部屋へ向かうと
「ミリアン、リベンジをさせてくれ。」
「??リベンジ?なんのです?」
「頸を噛ませてくれ。」
!!そうだ忘れてた!
「あっ、そうでしたね!ミラの事で頭がいっぱいで気付けませんでした。……あの、でもあれ以来ヒートが来ていなくて……。」
「大丈夫だ。今日はいつものハーブティーを飲んでいないだろ?」
「ハーブティー?もしかして抑制剤はそちらに入れていたんですか??」
だから、毎日同じ時間にお茶を飲んでいたのか!!侯爵家に来てからほぼ毎日飲んでいたから習慣になっていたから何も思わなかった…。
「もう直ぐ来るはずだ、ミリアンはここを摘むと」
「や、んっ!」
「ほら。」
アドラ様が背後から抱きつく形で僕の脇の下から手を入れ両手で胸の突起を摘む。あ、頭がぼーっとして来た、ヒ、ヒート?
「噛んでいいか?もう離れないから。」
「うん、かんでください…。アドラしゃま…」
ミリアンが落ち着きを取り戻した頃ふと、ある事を思い出し考える。
「最近、リュード様を見かけないけどどうしたのだろう。居ないに越した事はないんだけどっ。侍従達も元の優しい人達に戻って良かった。……まぁ、いっか。嫌な事は忘れるに限るね!」
リュードは実家の子爵家を追放、リュードに同乗した使用人たちも鞭打ちに紹介状無しでの追放と容赦の無い罰が与えられていた。
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