9 / 9
第1章 取り残された世界で
8. 集(2)
しおりを挟む
「話っちゅうのは、白榊家の事や。みんな知っての通り白榊家は人間族の間で名の通った陰陽師の家系や。実力は陰陽師の中でもトップクラス。そんな白榊家が人体実験をしてるっちゅう噂を聞いた。こっちで調査中やが、証拠は掴めてない。何かめぼしい情報が入り次第、教えて欲しい。」
その話を聞いてミャーナ達が驚きの表情になる。
各種族の協定の内容に「人体実験はしない」と言う規則があるため、もし本当に人体実験をしていたら大事だった。
「ほんなら、昔白榊家で働いていたお前の方が詳しいんやないの?」
蒐が朝日にそう問う。それを聞いてミャーナとラーグが初耳だ、という風に朝日の方を見る。
「確かに、自分ら朝倉家は代々白榊家に仕えとるが、自分が仕えてた次男の秀様が5年前に行方不明になってから辞めとる。人体実験の話が出たのはその後なんや。せやから、自分は何も知らないんや。」
「なんや、使えへんなぁ。」
朝日がムッとする。また険悪なムードになったのを察してミャーナがさりげなく仲裁をする。
「まぁまぁ。それを暴くのじゃったらレルローに頼んだら1発で分かるのではないか? レルローのネットの技術はピカイチじゃからのっ。」
レルローとはシルラーの兄で、ネットの事についてとても詳しい者である。
レルローにかかれば、様々な国家機密レベルのセキュリティを解除し、情報を手に入れるのは朝飯前である。
その腕前をみこして、様々な機関から紹介をうけているが、レルロー曰く「ネットは趣味でやっている事だから仕事にするつもりは無い。」と全部断わっているらしい。が、それでも様々な機関から様々な依頼が来るらしく、それには応答しているらしかった。
「それならもう、私経由でレルローに頼んでみたよ。けれど、情報は得られなかった。おそらく白榊家はレルローの事をみこして、ネットではなく手書きで実験の情報を残しているんだろうね。」
レラがミャーナを見ながら言うとそれを聞いて蒐がため息をついた。
「つまり、こっちの問題に関してもめぼしい情報はゼロというわけやね。参ったなぁ…。」
「…めぼしい情報が無いなら、もうこれ以上話が進むようにも思えない。今回の集は解散でいいんじゃないか。」
ラーグがチラチラと時計を気にしながら言った。どうやらほかの仕事の時間が迫っているらしかった。
「そうだね、今回はこれでお開きにしようか。発病少女と白榊家の事については情報がわかり次第、報告するってことでどうかな?」
レラがそう言うと、残りの長達が頷く。
「それじゃあ、解散。」
そう言い、レラがパンっと手を鳴らすと、皆ぞろぞろと去っていく。
レラ達も帰ろうと席を立つと後ろから声がかかった。
「レラ。少しいいかの?」
レラが声をした方を振り向くと、ミャーナが少し神妙な顔をしてこちらを見ていた。
その話を聞いてミャーナ達が驚きの表情になる。
各種族の協定の内容に「人体実験はしない」と言う規則があるため、もし本当に人体実験をしていたら大事だった。
「ほんなら、昔白榊家で働いていたお前の方が詳しいんやないの?」
蒐が朝日にそう問う。それを聞いてミャーナとラーグが初耳だ、という風に朝日の方を見る。
「確かに、自分ら朝倉家は代々白榊家に仕えとるが、自分が仕えてた次男の秀様が5年前に行方不明になってから辞めとる。人体実験の話が出たのはその後なんや。せやから、自分は何も知らないんや。」
「なんや、使えへんなぁ。」
朝日がムッとする。また険悪なムードになったのを察してミャーナがさりげなく仲裁をする。
「まぁまぁ。それを暴くのじゃったらレルローに頼んだら1発で分かるのではないか? レルローのネットの技術はピカイチじゃからのっ。」
レルローとはシルラーの兄で、ネットの事についてとても詳しい者である。
レルローにかかれば、様々な国家機密レベルのセキュリティを解除し、情報を手に入れるのは朝飯前である。
その腕前をみこして、様々な機関から紹介をうけているが、レルロー曰く「ネットは趣味でやっている事だから仕事にするつもりは無い。」と全部断わっているらしい。が、それでも様々な機関から様々な依頼が来るらしく、それには応答しているらしかった。
「それならもう、私経由でレルローに頼んでみたよ。けれど、情報は得られなかった。おそらく白榊家はレルローの事をみこして、ネットではなく手書きで実験の情報を残しているんだろうね。」
レラがミャーナを見ながら言うとそれを聞いて蒐がため息をついた。
「つまり、こっちの問題に関してもめぼしい情報はゼロというわけやね。参ったなぁ…。」
「…めぼしい情報が無いなら、もうこれ以上話が進むようにも思えない。今回の集は解散でいいんじゃないか。」
ラーグがチラチラと時計を気にしながら言った。どうやらほかの仕事の時間が迫っているらしかった。
「そうだね、今回はこれでお開きにしようか。発病少女と白榊家の事については情報がわかり次第、報告するってことでどうかな?」
レラがそう言うと、残りの長達が頷く。
「それじゃあ、解散。」
そう言い、レラがパンっと手を鳴らすと、皆ぞろぞろと去っていく。
レラ達も帰ろうと席を立つと後ろから声がかかった。
「レラ。少しいいかの?」
レラが声をした方を振り向くと、ミャーナが少し神妙な顔をしてこちらを見ていた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
【完結】アラマーのざまぁ
ジュレヌク
恋愛
幼い頃から愛を誓う人がいた。
周りも、家族も、2人が結ばれるのだと信じていた。
しかし、王命で運命は引き離され、彼女は第二王子の婚約者となる。
アラマーの死を覚悟した抗議に、王は、言った。
『一つだけ、何でも叶えよう』
彼女は、ある事を願った。
彼女は、一矢報いるために、大きな杭を打ち込んだのだ。
そして、月日が経ち、運命が再び動き出す。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる