4度目の転生は常人でお願いします!

Ran

文字の大きさ
1 / 1

1. もうこりごり

しおりを挟む
「おら! さっさと運べ! 約立たずは飯抜きだぞ!
ほらそこ! 何をしてる!! さっさと立たんか!」

 そう言って男は奴隷をむちで叩く。

「ぐあっ」

「ふん、汚らしい声をあげよって。お前らはなぁ、人間のゴミなんだよ! そのゴミをこの俺様が雇って働かせてやってるんだから感謝しろよぉ? わかったらさっさと運べ!!」

「…はい、申し訳ありませんでした。領主様。」

「ふん、ゴミムシどもめが。」

 聞こえよがしに言われた言葉を無視してルイドは歩き始める。


 夜、奴隷達が食事をするボロい、雨漏りをしている小屋でルイド達が愚痴を零していた。

「あの領主、マジでなんなんだよ! 俺が足首痛めて少ししゃがんでただけで文句言いやがって!」

 ルイドがそう言うと他の仲間達が次々と領主の悪口を言い始める。

「ほんとうだよ、この前なんか領主の機嫌が悪い時、僕何もしてないのにイチャモンつけられて鞭で何回も叩かれたんだ!酷いと思わない?」

「そりゃねぇぜあのデブ! ほんっと領主ってやつはどいつもこいつも俺達を人間と思ってねぇよなぁ!」

「その通りだぜ。もう俺こんな生活こりごりだ。いっぺん死んで生まれ変わりたいもんだ」

 誰かがそういうとみんながそれに賛成する。

「それ僕も思ってたっ!」

「俺なんかいつも寝る時生まれ変わったら貴族になりてぇって思ってる。」

「ほんとそれな!」

 そんな会話を聴きながらルイドは生まれ変わりもいいもんじゃないけどな、と思う。

 実はルイドはこれが3度目の人生なのだ。

 1度目は日本に生まれ、サラリーマンになるまで順風満帆な人生を歩んでいた。
 しかし高校から付き合っていた彼女と婚約して、まさに人生で1番の幸せな時期だと思っていた時に、同じ会社に入った同僚で高校の同級生の奴にハメられた。
 奴はずっと彼女に好意を寄せていて、俺が彼女と付き合ったことをずっと恨んでいた。
 そして同じ会社に入り俺の悪い噂を流し孤立させ、彼女も奪い取り、あげくには俺を不慮の事故に見せかけて殺した。

 2度目はヨーロッパの貧民街の生まれた。親は俺が小さい頃に病で死んだ。毎日生きるのに必死で盗みなんかは日常的にやっていた。
 そしてまたここでも裏切りにあう。
 貧民街の仲間が悪事をやった時警察に捕まった時、罪を逃れようと、俺に指示されてやった、首班はあいつだ。と言い出したのだ。
 俺は必死に否定したが、あの国の警察は自分達の手柄しか頭になく、アホほど役に立たなかった。
 おかげで俺は警察に捕まり、毎日のように虐待を受け衰弱して死んだ。

 そして3度目の人生がこれだ。俺は生まれつき身分の低い所の出身で生まれてからずっと奴隷だった。

 もうこんな人生はコリゴリと思い、来世は何も特別な事はなくていいから、普通でありきたりな人生を送らせてください。何も起こらず、ゆったりのんびりとした人生にしてください。と毎日神に祈っている。

 まぁ、神など居るか分からないが。


 次の日の朝、ルイドは炭がとれる鉱山にいた。
 今日の仕事はここでとれる炭を山の下に運ぶことだった。

 昨日痛めた足首に気を使いながら運んでいると、後ろから

「危ない!!」

 と声が聞こえた。後ろを振り返ってみると足元を崩した同僚がこちらに向かって転げてくる。

「「うわああああああ!!」」

 そして2人もろとも、崖から落ちてしまった。




 ふとルイドが目を覚ますと、そこには見慣れない白くて綺麗な天井と見慣れないおもちゃ、そして綺麗なお姉さんがいた。

「あら、目を覚ましたの? ハンサス。」

 お姉さんは自分をひょいっと、持ち上げ笑顔であやしはじめる。

 ルイドは即座に自分が転生したのだと察する。
 次の名前はハンサスらしい。そして自分をあやしているお姉さんはどうやら母親らしい。
 家の中を見渡してみると、普通な家庭の普通な感じの家だった。

 今度はゆったりとした普通の人生を送れる!! そう思い感極まって声を上げると、「おぎゃー、おぎゃー」と言う声しか出なかった。
 
 そして1歳になるまで普通の何も無い人生を送った。それだけで、ハンサスは大満足でこのまま何も起こらずに暮らせていけばいいのに、と思う。

 しかし、その期待は見事に裏切られる。

 ハンサスが2歳になった時、父親が

「よし、これからお前に剣と魔法を教える。俺は昔冒険者だった時があったんだ。その時に痛感したのは自分の実力があるのとないのとじゃ多違いって事だ。そこで! 俺はお前に剣と魔法を叩き込むことにした。いいな!」

 ……はあああぁぁぁぁ!?
 いや、言い訳ないだろっ。
 突然何も言ってるんだこの人は。
 それに俺まだ2歳だぞ? もっと楽させてくれよ。

「明日から毎日鍛錬に励んでもらう。甘えは許さない!男子たるもの、逃げてどうする、という話だ。そして目標は世界で1番の剣と魔法の使い手になることだ!!」

 いやいや、逃げてんのはアンタだよ。いつも酒飲んでお母様に愚痴ってるじゃないか。酔いつぶれたアンタを介護してるの誰だと思ってるんだ。
 それになんだその目標。俺に楽をさせる気はないってのか。

「返事はどうした!!」

「………はい。」

「もっと大きな声で!!」

「…はいっ!」

「よし、では明日から頑張るように! 以上!」

 そう言ってお父様は去っていく。

 …はああああああ、やめてくれよぉぉぉぉ
 嫌だよそんなの。俺は「普通」の暮らしがしたんだよ。そんなの1mmも望んじゃいねぇよ。

 しかしあの人は人の意見を聞かない人だから言っても無駄だろうな……。

 あぁ、俺の人生なんでこうなっちゃうんだ。


 4度目の転生も波乱万丈になりそうな予感しかしねぇ…。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

『農業スキルはいらない』と追放されたが、魔境の開拓ライフが勝手に世界配信されていた件。聖女や竜が集まり、元仲間は完全に詰みました

たまごころ
ファンタジー
「悪いがクビだ。魔王討伐に『農業』スキルなんて役に立たないからな」 幼馴染の勇者からそう告げられ、俺、アレンはパーティを追放された。 あてがわれたのは、人が住めないと言われるS級危険地帯『死の荒野』。 しかし、彼らは知らなかった。俺の農業スキルが、レベルアップによって神の領域(ギフト)に達していたことを。 俺が耕せば荒野は豊潤な大地に変わり、植えた野菜はステータスを爆上げする神話級の食材になり、手にしたクワは聖剣すら凌駕する最強武器になる! 「ここなら誰にも邪魔されず、最高の野菜が作れそうだ」 俺は荒野で拾ったフェンリル(美少女化)や、野菜の匂いにつられた聖女様、逃げてきたエルフの姫君たちと、にぎやかで楽しいスローライフを送ることにした。 その一方で、俺の生活が、荒野に落ちていた古代のアーティファクトによって、勝手に世界中に『生配信』されていることには全く気づいていなかった。 「え、この野菜食べただけで瀕死の重傷が治った!?」 「主様、強すぎます! ドラゴンを大根で叩き落とすなんて!」 『コメント:なんだこの配信……神か?』 『コメント:勇者パーティが苦戦してるダンジョン、この人の家の庭じゃね?』 これは、無自覚に最強の農園を作り上げた男が、世界中から崇拝され、一方で彼を追放した勇者パーティが没落していく様子を、リスナーと共にほのぼのと見守る物語。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

処理中です...