皇后はじめました(笑)

ルナ

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芍薬

突然の攻撃

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自分の宮に着く頃に日が沈みかけていた。馬車から降りて皇貴妃と共に宮に入ると鈴音公主とツインズが何故か泣いており、皇太子がいた。
「どうしたの?」
すると、ツインズは私と皇貴妃に
「庭で遊んでたら、石が飛んできた」
「その時、兄上様が来てそして、矢が」
指を指した方向を見ると、矢が刺さっていたり折れていた。そして石が散らばっていた。
「なんと‥みな大丈夫ですか?」
皇貴妃は我が子を抱きしめながら聞く。
「鈴音、こちらにおいで」
そういうと、私に抱きつきながら泣いていた。よっぽど怖かったのだろう。
「皇太子、大丈夫ですか?」
ときくと
「私は大丈夫です。ただ、急に石や矢が飛んできたので妹、弟達には怖かったのでしょう。何本かの矢は剣で落としました。不審な輩を捕まえようとしましたが、捕まらず‥‥きっと私の命を狙っての事。母上、皇貴妃には申し訳ありません。」
と頭を下げる皇太子。
「太子は悪くありません!お顔を上げてください。」
「そうです。悪いのは命を狙ったやつなのですから。」
そういうと、頭をあげる皇太子。
「今日、陛下がお見えになります。この件を許すつもりはありません。必ずや解決してみせます。そのためには」
母親としての決意。美皇后としてやらなければならない。
「掃除からはじめましょうか」
ササァと風が吹く。夕暮れ時であるため、ひんやりとしている。
「母上、掃除ですか?」
「そうです。掃除です。最初からそうすればよかったのです。皇貴妃、貴方の所も掃除をしてください。」
「は、はい。皇后様。」
私は空を見上げながら
「もう、夜になります。今日は解散しましょう。皇貴妃今日はありがとうございます。花の鑑賞会についてはいずれ、招待状を送りますから。そして、皇太子。今日は私の宮に泊まりなさい。陛下と話し合いましょう。」
「は、はい。」
こうして皇貴妃、ツインズとは別れ、皇太子と鈴音公主と宮に入る。
「(さっきから、むかついて仕方がない)」
子供の命まで狙うとはありえないだろう。人間のする事じゃない。
「(どう、掃除してくれようか?!)」
多分、内通者がいる。そいつを見つけだし炙りださなければ。
「母上」
「ん?」
椅子に座ると皇太子は
「母上。私は皇太子です。命を狙われるのも仕方がない。ですが、妹や弟に危険が及ぶのは心が痛いのです。」
「皇太子。それは違うでしょう。」
「はい?」 
「私はみんなが平穏に暮らせなければ意味がありません。「仕方がない」などと言わないように。いいですね?」
美皇后だって同じ事を言うだろう。我が子に「狙われてもしかたがない」なんて言われたら。
「母上。ありがとうございます。」
「よろしい。とりあえず、陛下を待ちましょうか?今回の騒動で来てくれるだろうし」
これで、来なかったら親として失格だ。
私は皇太子と 、鈴音公主と気長に陛下を待つことにした。
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