皇后はじめました(笑)

ルナ

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晴れのち曇り

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 父上の話が終わった後、本題に入る。
 「父上、雪華の事ですが‥‥」
「わかっている。母の言うことは気にしなくていい。」
 私が話しておくといってくれた。
 「それならば、改名せねばな。」
「改名ですか?」
 「うむ。当時、そなたの母が雪華の名前に星を入れるのを嫌がってな。仕方なく華を入れたのだ。月家の子供はみな星が入る。」
 はて、どんな名前が良いかと思案する父。
 「(なんだ。父上はいいやつなんだな。)」
 雪華の境遇を考えると父親であるのに何故庇わないのかとだいぶ心の中で責めていた。
 「雪華には苦労をかけた。必ず正室の娘同様の送り出しをしよう。私にしてやれるのはそれくらいだ。」
 「ありがとうございます。父上。」
 「思えば15年前にお前がひきとっていなければ真っ直ぐに育たなかっただろう。」
  そんなに環境ひどかったのか。美皇后よ。雪華をひきとってくれてありがとう。下手したら容貴人みたいになりかねていただろうし。
「それはそうと父上。一つ質問したい事があります。」
「ん?なんだ?」
 私は一息おき、涼太妃の話をした。




「そうか。涼太妃様が‥‥」
「はい。どうしてもお聞きしたくて。」
 「記憶を失っているから」と伝えると父上はしばらく考え込んだ後
 「涼太妃様がそう思うのは仕方がないだろう。あの件は関係者以外真実を知らぬ。そのため、憶測が飛び交い噂になったのだ。」
 「噂ですか?」
「うむ。あの件は‥‥」
 父上が何か言いかけた時部屋の戸が開いて母上が入ってきた。なにか文句でもいいにきたのかと思っていたがかなり焦っていたので文句ではなさそうだ。(言ってきてもいい返してやるが)
 「り、凛星。」
 「どうしましたか?」
 「さ、先程、宮廷の使いが来て‥‥来て、静妃様の子が、こ、子が」
 「凛玲、落ちついて話せ。」
父上は背中をさすると深呼吸をしてから
 「流産したと‥‥」
 「!?」
  「凛玲、それは本当か?!」
  「えぇ。御前付きの護衛が流産したと知らせに来ました。陛下から「至急、戻るように」と伝言を受けました。」
 流産。何故そんな事件が起きたのか。あんなに元気だったのに。何故‥‥
「(っ?!)」
 ザザァと流れた音。ノイズ音がする。あの時と同じ現象だ。
 「(また‥‥)」
 ガンガンと頭が響く。とても痛い。
 「(?!)」
 流れてきた映像。黒いフード?のようなものを被った人影。映像が切り替わり今度は内官が黒いフードの人と何か話している。また、場面が切り替わり静妃は階段から転げ落ち、それを見届ける内官。
「(つっ?!)」
 見ていた映像がきれ、現実に戻る。心臓の音がうるさい。
「凛星?」
父に声をかけられる。
「‥‥私、宮廷に戻ります。今日はありがとうございます。」
 私は急いで部屋をでる。周りの使用人達が驚いているが気にせず走った。
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