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番外編 第6話「朝になって、あなたがいた」 ※
「……今夜、そばにいてもいいですか?」
その一言で、心が決まった。
僕は何も聞き返さなかった。
ただ、頷いた。
ゆっくりと、深く。
君が求めてくれた。
この手を、この存在を、
夜の奥まで――君の中に。
◇
蝋燭の灯りを落とした寝室は、深い静けさに包まれていた。
ベッドの上、寄り添うように身を重ねて、
僕はゆっくりと君の髪に指を通す。
「レオ……怖くない?」
「……少し、だけ。でも、もう……大丈夫です」
小さく頷いたその顔は、夜の中で柔らかくほどけていた。
シャツのボタンを一つずつ外していく。
音を立てないように、けれど丁寧に。
手のひらが、君の肌にふれたとき――君の身体が小さく震えた。
「どこに……触れていますか?」
レオの声はかすれていたが、確かな意思を持っていた。
「胸元。鎖骨のあたり。……今、指でなぞってる」
「……はい」
目が見えない君は、すべてを僕の言葉に委ねていた。
「今、指が……お腹の方に下りていくよ」
「……くすぐったいです……でも、気持ちいい」
その声に、理性が軋む。
けれど、君のために――
今日は、優しさを最優先にすると決めていた。
◇
ゆっくりと服を脱がせていく。
君の手が、僕の胸にふれる。
触れたいと、君のほうから願ってくれた。
だから、僕も応える。
全身で、君を包み込むように。
脚を絡めると、君が少しだけ戸惑ったように息を呑んだ。
「大丈夫。何も急がない。……怖かったら、すぐ止める」
「……違います。……怖くないんです。
……でも、すごく、熱くて……、それが……不思議で」
君の耳にそっと唇を寄せて、囁く。
「君のこと、大切にするよ」
唇を重ね、身体を合わせる。
指が君の腰にふれて、滑るように下腹部へ――
そして。
「……入れるよ」
言葉にしてから、ゆっくりと君の中へ沈んでいく。
柔らかく、熱く、
目の前が霞むほどの幸福が、そこにあった。
「ユリシス様……っ」
レオの指が、僕の背をぎゅっと掴んだ。
吐息が漏れ、声が震えるたび、
僕の心も、身体も、彼に染まっていく。
ただ快楽を追うのではなく、
一つ一つ、確かめ合うように。
君の奥で、
僕の存在が確かに包まれていく感覚に、涙が出そうになる。
◇
終わったあと、僕は君を抱きしめながら、髪に何度も口づけた。
「……痛くなかった?」
「……少し。でも、それよりも、ずっと……」
その先の言葉が聞けないまま、
レオの頬を一筋、涙が伝った。
「……初めて、幸せで泣いた気がします」
その言葉に、僕の胸がぎゅっと締めつけられた。
こんなにも美しい人が、
ようやく「幸せ」の名で涙を流してくれた。
ありがとう、と言いたかった。
でも、それを口にするには、この夜はあまりにも静かで、優しすぎた。
◇
朝。
隣に君の寝息を感じながら、そっとその手を握る。
「……朝になっても、君はここにいる」
当たり前のようで、夢のような現実。
僕はそれを、永遠に守ると誓った。
その一言で、心が決まった。
僕は何も聞き返さなかった。
ただ、頷いた。
ゆっくりと、深く。
君が求めてくれた。
この手を、この存在を、
夜の奥まで――君の中に。
◇
蝋燭の灯りを落とした寝室は、深い静けさに包まれていた。
ベッドの上、寄り添うように身を重ねて、
僕はゆっくりと君の髪に指を通す。
「レオ……怖くない?」
「……少し、だけ。でも、もう……大丈夫です」
小さく頷いたその顔は、夜の中で柔らかくほどけていた。
シャツのボタンを一つずつ外していく。
音を立てないように、けれど丁寧に。
手のひらが、君の肌にふれたとき――君の身体が小さく震えた。
「どこに……触れていますか?」
レオの声はかすれていたが、確かな意思を持っていた。
「胸元。鎖骨のあたり。……今、指でなぞってる」
「……はい」
目が見えない君は、すべてを僕の言葉に委ねていた。
「今、指が……お腹の方に下りていくよ」
「……くすぐったいです……でも、気持ちいい」
その声に、理性が軋む。
けれど、君のために――
今日は、優しさを最優先にすると決めていた。
◇
ゆっくりと服を脱がせていく。
君の手が、僕の胸にふれる。
触れたいと、君のほうから願ってくれた。
だから、僕も応える。
全身で、君を包み込むように。
脚を絡めると、君が少しだけ戸惑ったように息を呑んだ。
「大丈夫。何も急がない。……怖かったら、すぐ止める」
「……違います。……怖くないんです。
……でも、すごく、熱くて……、それが……不思議で」
君の耳にそっと唇を寄せて、囁く。
「君のこと、大切にするよ」
唇を重ね、身体を合わせる。
指が君の腰にふれて、滑るように下腹部へ――
そして。
「……入れるよ」
言葉にしてから、ゆっくりと君の中へ沈んでいく。
柔らかく、熱く、
目の前が霞むほどの幸福が、そこにあった。
「ユリシス様……っ」
レオの指が、僕の背をぎゅっと掴んだ。
吐息が漏れ、声が震えるたび、
僕の心も、身体も、彼に染まっていく。
ただ快楽を追うのではなく、
一つ一つ、確かめ合うように。
君の奥で、
僕の存在が確かに包まれていく感覚に、涙が出そうになる。
◇
終わったあと、僕は君を抱きしめながら、髪に何度も口づけた。
「……痛くなかった?」
「……少し。でも、それよりも、ずっと……」
その先の言葉が聞けないまま、
レオの頬を一筋、涙が伝った。
「……初めて、幸せで泣いた気がします」
その言葉に、僕の胸がぎゅっと締めつけられた。
こんなにも美しい人が、
ようやく「幸せ」の名で涙を流してくれた。
ありがとう、と言いたかった。
でも、それを口にするには、この夜はあまりにも静かで、優しすぎた。
◇
朝。
隣に君の寝息を感じながら、そっとその手を握る。
「……朝になっても、君はここにいる」
当たり前のようで、夢のような現実。
僕はそれを、永遠に守ると誓った。
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