【完結】異世界悪役改善計画

かおり

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番号は優しさの証

第11話「悪役は──影の支配者?」

──今年もそろそろ、
カルロ・エインズが“ざまぁされる季節”がやってきた。

公爵家の次男で、誰からも礼儀正しく見える優雅な仮面――
それが、学園でのカルロの表の顔だ。

けど実態は、
陰口・噂・情報操作を駆使して、気に入らない相手を追い詰める
“学園の影の支配者”……なんて呼ばれてる。

……が、俺から見りゃ、ただの“漫画に影響されすぎた中二病陰キャ”だ。

どうやら昔読んだ漫画の「影から世界を操る悪役キャラ」に憧れて、
こそこそ噂を流してるだけ。

普段の会話も、その漫画のセリフを真似しなきゃ喋れないくらい、実はコミュ障だ。

なのに、今年もまたターゲットにされてる。
例年どおりなら、卒業パーティーのクライマックスで“本物の地獄”を見せられるだろう。

毎年転校して、毎回違う悪役キャラを演じ直して、それでもまた潰される。
正直、スカッともしないし、笑えない。

……だから今年は、俺たちで“優しいざまぁ”に仕立て直そう。

一度くらい、無事に春を迎えさせてやってもいいだろ?

***

「……というわけで。」

俺は、商会の打ち合わせ室で、
机の上に広げた“リスト”を指でトントンと叩いた。

「こいつは、カルロ・エインズ。
 影の支配者気取りの噂屋公爵次男だ。」


ルーク「てめぇ、どうせまたストーカーしてんだろ!」

グラン「……お前よりは、俺のほうがディックの隣が似合う。」

隣では、相変わらずルークとグランがやり合っている。



「……いい加減にしろ!!」


バン、とエリの怒号が響いて、
二人はしぶしぶ黙る。

やれやれ、
やっと話せる空気になった。

***

「ターゲットはカルロ。
 表向きは完璧な貴族の次男坊だけど、裏じゃ噂を操って人を追い詰める“毒蛇”って呼ばれてる。
 カルロのざまぁの定番は、基本、学期末だ。その度に時々転校を繰り返している。」

「……また厄介そうだな。」
ルークが眉をひそめる。

「卒業パーティー、もうすぐじゃん。ここで、なにかが起きるの?」
エリも腕を組んで続ける。

「ああ。だけど、今年はなんせ卒業だしな、ちょっとヤバそうな空気を感じてる。」

俺はリストの横に置いた、もう一枚の紙を広げた。

「だから、今年は……これをやる。」

俺は宣言した。

「“優しいざまぁ計画”だ。」

全員が一斉にこっちを見る。

「……なにそれ?」
ルークが怪訝そうに眉を寄せる。

「要は、ガチの復讐を無効化しつつ、軽く笑い者にして“ザマァ感”だけ味わわせる。」

「でも、心や名誉に致命傷は与えない。来年につなげるために、“フェイク暴露”で空気を変える。」

***

「まず、事前準備が3つある。」

「1つ目。“カルロ更生ドキュメンタリー”の制作。」

「……は?」ルークがまた眉をひそめる。

「おふざけ映像だ。
 影絵とか人形劇で、カルロが『ごめん』って反省する劇を作る。ラストは『この1年、カルロは本当によく頑張った!』って美談ナレーション付きだ。」

「2つ目。会場の音響と映像機材の仕込み。」

「任せろ。生徒会の裏ルートから機材を手配してやる。」
ルークが即答する。

「3つ目。被害者代表への根回し。」

「俺がやる。“来年またやればいい”って保険をつけて、今年だけ手を引いてもらう。」



「……大丈夫なのか?」
エリが、少しだけ真剣な顔で俺を見た。

「ああ。交渉役は、俺の十八番だ。」

「当日は、カルロがスピーチしようとした瞬間に、俺たちの“フェイク映像”を流す。」

「会場をざわつかせて、“あ、ネタだったのか”って空気を作る。」

「最後は、俺が壇上に乱入して──」

****

「やりすぎちゃったかー! ごめんごめん!」

****

と茶化しながら登場して、
「でも、俺たち、カルロを信じてんだよな?」
って、全員にコメントを振る。

「ルーク、グラン、エリ、任せたぞ。」

「ルークは、『ま、来年も失敗したら俺が止めてやるけどな!』」

「グランは、『……いい加減、噂はやめとけよ?』」

「エリは、『……次、あたしに手出したら許さないから。』」

「……どうだ?」

俺が問いかけると、
ルークがニヤリと笑った。

「……やってやろうじゃねぇか。」

「ふん……面白い。」
グランも肩をすくめる。

エリも、
「……しょうがねぇな。」
と呆れ顔で笑った。

「じゃあ、作戦会議、開始だ。」

***

衣装選び、潜入ルートの確認、
ふざけ半分、本気半分の準備タイム。

いよいよ──
“リスト”に踏み込む時が来た。

***

「……今年のザマァ、俺たちがひっくり返してやる。」

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