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第十一話_ビオラ、巣を大きくする
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ES-077が蛇を引きずって帰ってから数日。ビオラは追放されて以来はじめてといっていい程に穏やかな日々を過ごしていた。
時々罠に掛かった獲物を引き取りにやって来るES-077以外には訪問客はなく、裁縫に集中できたビオラは布団と枕一式を完成させた。ベッドも完成させ素敵な睡眠を満喫中である。
そして一度、ES-077の巣に遊びに行ったときに気が付いたのだが彼女は岩の洞窟内の小部屋で冷たい床に横になって寝ていたのだった。
これはさすがに可哀想と思ったビオラ。布も結構余りがあったことから布団一式を作って贈ってあげた。ES-077は「まぁ、献上品というなら受け取ってやろう」と抑えきれないニヤケ顔で喜んで受け取っていた。
そんなこともありつつ、巣の拡張も進んだ。ビオラの寝室一部屋だけだった巣が、今では五部屋もある。
一部屋は蜂蜜を保管する部屋、一部屋は花粉を保管する部屋、二部屋はその他の物品を保管する倉庫である。
一気に建築を進めたせいもあって若干だが蜂蜜の在庫が心もとないもとになっていた。しかしミニ世界樹の周囲の土壌もどんどん改善されており、それによって花畑も広がっている。定期的に蜜も取れており順調である。
ビオラが木箱の中身を倉庫に移し終え、水を入れたジョウロ片手に日課の花畑への水やりをしている時だった。
「ごめんくださ~い! お久しぶりです、ビオラ様~」
おや? と振り返るとプリムラが商隊を率いてやって来ていた。
「あ、お久しぶりですプリムラさん」
「すみません、また休憩させて頂いていいでしょうか?」
「はい、もちろんです」
「ありがとうございます、ビオラ様。 お~い! みんな休憩~」
プリムラの号令で働き蜂たちは「「は~い」」と返事をすると荷物をおろし、岩場の日陰などに入って休憩し始める。
「ごめんなさい、まだ休憩できる部屋とか作ってなくて」
「いえいえ、日陰で休ませて頂けるだけで全然違います。魔力はこちらで注ぎますのでウォーター芭蕉からお水を汲んでも?」
「もちろんですよ」
ビオラの色よい返事を聞いてプリムラは近くの働き蜂に水の補充を指示した。そしてビオラに向き直ると質問をする。
「ところで如何です? お仕事のほうは進んでいますか?」
「お仕事? あ、あぁ、蜜採取とかですかね。順調ですよ。 ちょっと見てください」
ちょっと自慢気にビオラはプリムラを連れてミニ世界樹の近くにやって来ると緑化しつつある大地を見せる。
「おぉ! 更に広がりましたね。お花も咲いていますが所々に雑草も」
「雑草の種なんて撒いた覚えがないんですけどね」
「風が運んできたのでしょう。あとは鳥のフンとかですかね。 妖精蜂が植えたもの以外でもちゃんと育つということは本格的によい土壌となってきているのでしょうね」
褒められているようでビオラはちょっと嬉しくなり顔をほころばせる。
「ビオラ様、何か必要なものはあるでしょうか? 色々と運んで参りましたが?」
「あ、そうですね。 せっかく来てもらったんですから何か買いたいですね。 蜂蜜は割と順調に取れているので、足りないのは布と綿ですかね。布団を作ったら無くなっちゃって」
「なるほど、布と綿ですね」
「ただお金が前回の銀貨しかなくて。 こんな砂漠だと他にも売れるものもないですし」
ビオラは困り顔でプリムラに言う。プリムラは「そうですねぇ……」と考えてから口を開いた。
「銀貨二十枚あれば布と綿はそれなりの量をお売りできます。 今後、となりますと確かに何か収益になるものが必要でしょうね」
「はい……」
「でしたら改善された土壌で色々と作物を育ててみては如何でしょう? もちろん蜜の採取が最優先ですが余った土地があれば」
「なるほど、薬草とか」
「いいですね、妖精蜂の作った薬草は高値がつきますし。 わたしどもも売れる商品で、荷物としても嵩張らずに大量に運べるので喜んで買い取らせて頂きますよ」
ニコリと笑うプリムラにビオラも「じゃあやってみます!」と笑い返す。
「他に何かお困りごととかはありますか? 我々にお手伝いできることがあれば」
そう問われたビオラは「う~ん」と腕を組んで考える。
「今のところ困りごとってほどのことは。 お隣さんとも仲良くやってますし」
「お隣さん? このあたりに妖精蜂の方がいらっしゃるのですか?!」
商売のチャンスと目を輝かせるプリムラにビオラは首を振る。
「いえ、地獄蟻の人ですよ」
「じ、地獄蟻?!! えっ? ビ、ビオラ様、今、仲良くとおっしゃいました??」
驚いて目を見開くプリムラを見てビオラはキョトンと首を傾げた。
「えぇ、まぁ、普通に仲良くやってますよ?」
「だ、大丈夫ですか? 地獄蟻からすると普通にわたしたち妖精蜂は捕食対象ですけど? 凄い狂暴で手あたり次第に何でも襲い掛かって食料としますし」
「えっ? そうなんですか? でもナナちゃんはそんな感じじゃなかったしなぁ」
「な、ナナちゃん?! 地獄蟻とそれほど仲を深められたのですか?!」
「え? うん」
驚愕の表情をするプリムラは、なんてことないという顔で返事をするビオラを見て考えさせられた。
「なるほど、種族の垣根を越えて。 確かに豊かな地には植物だけでなく、その地に生きる生き物にも多様性は必要…… そういうことですか」
呟くようにそう言ったプリムラはガッとビオラの手を取って熱い視線を向ける。
「分かりました、ビオラ様! わたしもその方向でご協力させて頂きます!」
―― 急にどうしたのプリムラさん!? その方向って何?? どっち??
「そうと決まれば、早速。 あぁ、まずは布と綿の納入を」
なにやら気合の入ったプリムラは早々に商品を納入しビオラの巣を去って行った。
時々罠に掛かった獲物を引き取りにやって来るES-077以外には訪問客はなく、裁縫に集中できたビオラは布団と枕一式を完成させた。ベッドも完成させ素敵な睡眠を満喫中である。
そして一度、ES-077の巣に遊びに行ったときに気が付いたのだが彼女は岩の洞窟内の小部屋で冷たい床に横になって寝ていたのだった。
これはさすがに可哀想と思ったビオラ。布も結構余りがあったことから布団一式を作って贈ってあげた。ES-077は「まぁ、献上品というなら受け取ってやろう」と抑えきれないニヤケ顔で喜んで受け取っていた。
そんなこともありつつ、巣の拡張も進んだ。ビオラの寝室一部屋だけだった巣が、今では五部屋もある。
一部屋は蜂蜜を保管する部屋、一部屋は花粉を保管する部屋、二部屋はその他の物品を保管する倉庫である。
一気に建築を進めたせいもあって若干だが蜂蜜の在庫が心もとないもとになっていた。しかしミニ世界樹の周囲の土壌もどんどん改善されており、それによって花畑も広がっている。定期的に蜜も取れており順調である。
ビオラが木箱の中身を倉庫に移し終え、水を入れたジョウロ片手に日課の花畑への水やりをしている時だった。
「ごめんくださ~い! お久しぶりです、ビオラ様~」
おや? と振り返るとプリムラが商隊を率いてやって来ていた。
「あ、お久しぶりですプリムラさん」
「すみません、また休憩させて頂いていいでしょうか?」
「はい、もちろんです」
「ありがとうございます、ビオラ様。 お~い! みんな休憩~」
プリムラの号令で働き蜂たちは「「は~い」」と返事をすると荷物をおろし、岩場の日陰などに入って休憩し始める。
「ごめんなさい、まだ休憩できる部屋とか作ってなくて」
「いえいえ、日陰で休ませて頂けるだけで全然違います。魔力はこちらで注ぎますのでウォーター芭蕉からお水を汲んでも?」
「もちろんですよ」
ビオラの色よい返事を聞いてプリムラは近くの働き蜂に水の補充を指示した。そしてビオラに向き直ると質問をする。
「ところで如何です? お仕事のほうは進んでいますか?」
「お仕事? あ、あぁ、蜜採取とかですかね。順調ですよ。 ちょっと見てください」
ちょっと自慢気にビオラはプリムラを連れてミニ世界樹の近くにやって来ると緑化しつつある大地を見せる。
「おぉ! 更に広がりましたね。お花も咲いていますが所々に雑草も」
「雑草の種なんて撒いた覚えがないんですけどね」
「風が運んできたのでしょう。あとは鳥のフンとかですかね。 妖精蜂が植えたもの以外でもちゃんと育つということは本格的によい土壌となってきているのでしょうね」
褒められているようでビオラはちょっと嬉しくなり顔をほころばせる。
「ビオラ様、何か必要なものはあるでしょうか? 色々と運んで参りましたが?」
「あ、そうですね。 せっかく来てもらったんですから何か買いたいですね。 蜂蜜は割と順調に取れているので、足りないのは布と綿ですかね。布団を作ったら無くなっちゃって」
「なるほど、布と綿ですね」
「ただお金が前回の銀貨しかなくて。 こんな砂漠だと他にも売れるものもないですし」
ビオラは困り顔でプリムラに言う。プリムラは「そうですねぇ……」と考えてから口を開いた。
「銀貨二十枚あれば布と綿はそれなりの量をお売りできます。 今後、となりますと確かに何か収益になるものが必要でしょうね」
「はい……」
「でしたら改善された土壌で色々と作物を育ててみては如何でしょう? もちろん蜜の採取が最優先ですが余った土地があれば」
「なるほど、薬草とか」
「いいですね、妖精蜂の作った薬草は高値がつきますし。 わたしどもも売れる商品で、荷物としても嵩張らずに大量に運べるので喜んで買い取らせて頂きますよ」
ニコリと笑うプリムラにビオラも「じゃあやってみます!」と笑い返す。
「他に何かお困りごととかはありますか? 我々にお手伝いできることがあれば」
そう問われたビオラは「う~ん」と腕を組んで考える。
「今のところ困りごとってほどのことは。 お隣さんとも仲良くやってますし」
「お隣さん? このあたりに妖精蜂の方がいらっしゃるのですか?!」
商売のチャンスと目を輝かせるプリムラにビオラは首を振る。
「いえ、地獄蟻の人ですよ」
「じ、地獄蟻?!! えっ? ビ、ビオラ様、今、仲良くとおっしゃいました??」
驚いて目を見開くプリムラを見てビオラはキョトンと首を傾げた。
「えぇ、まぁ、普通に仲良くやってますよ?」
「だ、大丈夫ですか? 地獄蟻からすると普通にわたしたち妖精蜂は捕食対象ですけど? 凄い狂暴で手あたり次第に何でも襲い掛かって食料としますし」
「えっ? そうなんですか? でもナナちゃんはそんな感じじゃなかったしなぁ」
「な、ナナちゃん?! 地獄蟻とそれほど仲を深められたのですか?!」
「え? うん」
驚愕の表情をするプリムラは、なんてことないという顔で返事をするビオラを見て考えさせられた。
「なるほど、種族の垣根を越えて。 確かに豊かな地には植物だけでなく、その地に生きる生き物にも多様性は必要…… そういうことですか」
呟くようにそう言ったプリムラはガッとビオラの手を取って熱い視線を向ける。
「分かりました、ビオラ様! わたしもその方向でご協力させて頂きます!」
―― 急にどうしたのプリムラさん!? その方向って何?? どっち??
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