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第二十三話_イクシア、大地に立つ
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ビオラはベッドの上でコロコロしているイクシアの様子を見ながら「そろそろかな~?」と呟く。
「体も大きくなってきたし、そろそろ立って動き始めるころだよね? その前に新しく卵産んでおくかな。立ち上がって働けるようになったら子守も任せられるし」
ビオラはオロロすると新しくベビーベッドを作成し、ベッドを乾かし固めている間にオババに買ってもらった布を持って来てベビーベッド用の布団を作成し始める。
「娘が働けるようになる時期に新しい卵を産むってサイクルでやっていけばいいかな? 分蜂だったら働き蜂がもともと居るから一気に卵産んでも大丈夫だけど、居ないから仕方ないよねぇ。コツコツやっていこう」
今後の方針を決め、布団も出来上がったところでベビーベッドも固まっていた。出来たばかりの布団をベッドの上に敷くと、ビオラはその上にまたがってズボンを下ろし劇画調の表情で「ふんぬぅっ!!」と新たな卵を産んだ。
翌日、蜜採取の仕事を終えて寝室に戻ってきたビオラは、ベッドから降りて部屋の中を歩いているイクシアを見て「おぉっ!」と歓声をあげた。
「イクシア! たっちできたのね!」
「あいっ、おかぁたま!」
立ち上がるとほぼ同時に簡単な作業ができるようになる妖精蜂は、たどたどしいが言葉も話せるようになる。
イクシアは銀色の長い髪をし、ビオラと同じ赤い瞳の小さな女の子である。イクシアはトテトテとビオラの近くに寄って来て見上げると口を開く。
「おかぁたま、いくちあ、おしごとしゅゆ」
「な、なんて! なんて良い子っ!」
そんな殊勝なセリフなど自分は言った覚えのないビオラは感動していた。が、これは妖精蜂としては普通のことである。この時点ではまだ女王蜂候補と働き蜂の区別はないのだから。
「イクシア、まずは飛べるかしら?」
ビオラはそう言うとイクシアの前で手本として飛んで見せた。イクシアはビオラの飛び方を見ると、ぎこちない飛び方ながら飛んだ。
「そうそう! よくできました」
「あい!」
嬉しそうに笑うイクシアの頭をビオラはヨシヨシと撫でた。
「じゃあ、お仕事の前にまずは巣の中を案内しようね」
「あい、おかぁたま」
ビオラはイクシアに合わせてゆっくりと飛び、巣の中の各部屋をイクシアに案内していく。
「ここは倉庫だよ、色々な物を仕舞っておく場所ね」
「ここは食糧庫、蜂蜜と花粉団子を保管しておく場所よ」
「ここは調理室ね、ご飯を作る場所だよ」
「ここは調合室、だけど危険だからまだ入っちゃ駄目よ」
空き部屋も含めて巣を案内したビオラは勉強部屋に入る。そこには、以前ビオラが五分だけ開いた参考書が無造作に机の上に置かれたままになっていた。
「ここは勉強部屋ね」
そう言ってそそくさと部屋を後にしようとするビオラと違って、イクシアは勉強机をジッと見つめている。
「おかぁたま、おべんきょうじょうず?」
「う、うん! そ、そりゃぁ、もちろん…… お、お母さんは勉強ものすごく上手なのよ」
「おかぁたま、しゅごい!」
「ま、まーね……」
目を逸らしながらも見栄を張ったビオラをイクシアはキラキラとした尊敬の眼差しで見つめた。ビオラはそんな純真な娘に次をすすめる。
「じゃ、じゃあ、次行こうか」
「あい!」
勉強部屋を後にした二人はトイレにやって来た。
「ここはおトイレよ。 溜まったらお外にあるゴミ捨て場所に捨てに行くのよ。 いい、イクシア。面倒くさくてもお外で直接おトイレしちゃ駄目ですからね」
「あい、おかぁたま! そんなはちたないことはちまちぇん!」
―― はしたない…… 心にグッサリくるわ……
そもそもが自分の行いのせいではあるが、娘に刺されてダメージを受けたビオラはちょっとヘコんだ気持ちで巣の外に出て花畑へと飛ぶ。
「ここがお花畑だよ、しばらくはイクシアには蜜と花粉の採取をお願いしようかな」
「わぁ! キレイなおはな!」
はしゃいでブンブンと花畑を飛び回るイクシアを見てビオラはしばらく嬉しそうに微笑んでいた。するとイクシアが振り返って「おかぁたま!」と声をかける。
「みちゅをとっていいでちゅか?」
「うん、でもその前にやることがあるのよ」
イクシアは「やること?」と言いながら首を傾げる。
「お仕事の前には必ず精霊に安全をお祈りするの」
「おいのり?」
「そう、じゃあイクシア。真似してやってみようか」
「あい!」
イクシアは元気に返事をし、ビオラは微笑んで頷くと両手を広げて体全身に魔力を巡らせていく。イクシアも真似しているが魔力の流れはかなりぎこちない。
「世界に恵みをもたらす数多の精霊たちよ、我に御身のご加護を」
「ちぇかいにめぎゅみをもたらちゅあまちゃのちぇいれいたちよ、われにおんみのごかごを」
「周囲確認、ヨシ! ご安全にっ!」
「ちゅういかくにん、よち! ごあんじぇんにっ!」
ボワァっと二人を淡い光が覆う。ビオラとイクシアは危険感知能力がUPした気がした。
「よし、じゃあ蜜の採取を始めましょうか」
「あい!」
バフも掛け終わった二人は楽しく仕事を開始した。
その夜、ビオラが就寝したあとイクシアは勉強部屋に一人でやって来た。机に向かって椅子に座ると放置されていた参考書『バカでも分かる初級魔法植物入門』を手に取って読み始める。
「おかぁたまみたいな、りっぱなようちぇいばちにならないと!」
やる気に満ちたイクシアは、しかし勉強が苦にならない性格のようで「ふんふ~ん♪」と楽しそうに参考書を読み進めるのだった。
「体も大きくなってきたし、そろそろ立って動き始めるころだよね? その前に新しく卵産んでおくかな。立ち上がって働けるようになったら子守も任せられるし」
ビオラはオロロすると新しくベビーベッドを作成し、ベッドを乾かし固めている間にオババに買ってもらった布を持って来てベビーベッド用の布団を作成し始める。
「娘が働けるようになる時期に新しい卵を産むってサイクルでやっていけばいいかな? 分蜂だったら働き蜂がもともと居るから一気に卵産んでも大丈夫だけど、居ないから仕方ないよねぇ。コツコツやっていこう」
今後の方針を決め、布団も出来上がったところでベビーベッドも固まっていた。出来たばかりの布団をベッドの上に敷くと、ビオラはその上にまたがってズボンを下ろし劇画調の表情で「ふんぬぅっ!!」と新たな卵を産んだ。
翌日、蜜採取の仕事を終えて寝室に戻ってきたビオラは、ベッドから降りて部屋の中を歩いているイクシアを見て「おぉっ!」と歓声をあげた。
「イクシア! たっちできたのね!」
「あいっ、おかぁたま!」
立ち上がるとほぼ同時に簡単な作業ができるようになる妖精蜂は、たどたどしいが言葉も話せるようになる。
イクシアは銀色の長い髪をし、ビオラと同じ赤い瞳の小さな女の子である。イクシアはトテトテとビオラの近くに寄って来て見上げると口を開く。
「おかぁたま、いくちあ、おしごとしゅゆ」
「な、なんて! なんて良い子っ!」
そんな殊勝なセリフなど自分は言った覚えのないビオラは感動していた。が、これは妖精蜂としては普通のことである。この時点ではまだ女王蜂候補と働き蜂の区別はないのだから。
「イクシア、まずは飛べるかしら?」
ビオラはそう言うとイクシアの前で手本として飛んで見せた。イクシアはビオラの飛び方を見ると、ぎこちない飛び方ながら飛んだ。
「そうそう! よくできました」
「あい!」
嬉しそうに笑うイクシアの頭をビオラはヨシヨシと撫でた。
「じゃあ、お仕事の前にまずは巣の中を案内しようね」
「あい、おかぁたま」
ビオラはイクシアに合わせてゆっくりと飛び、巣の中の各部屋をイクシアに案内していく。
「ここは倉庫だよ、色々な物を仕舞っておく場所ね」
「ここは食糧庫、蜂蜜と花粉団子を保管しておく場所よ」
「ここは調理室ね、ご飯を作る場所だよ」
「ここは調合室、だけど危険だからまだ入っちゃ駄目よ」
空き部屋も含めて巣を案内したビオラは勉強部屋に入る。そこには、以前ビオラが五分だけ開いた参考書が無造作に机の上に置かれたままになっていた。
「ここは勉強部屋ね」
そう言ってそそくさと部屋を後にしようとするビオラと違って、イクシアは勉強机をジッと見つめている。
「おかぁたま、おべんきょうじょうず?」
「う、うん! そ、そりゃぁ、もちろん…… お、お母さんは勉強ものすごく上手なのよ」
「おかぁたま、しゅごい!」
「ま、まーね……」
目を逸らしながらも見栄を張ったビオラをイクシアはキラキラとした尊敬の眼差しで見つめた。ビオラはそんな純真な娘に次をすすめる。
「じゃ、じゃあ、次行こうか」
「あい!」
勉強部屋を後にした二人はトイレにやって来た。
「ここはおトイレよ。 溜まったらお外にあるゴミ捨て場所に捨てに行くのよ。 いい、イクシア。面倒くさくてもお外で直接おトイレしちゃ駄目ですからね」
「あい、おかぁたま! そんなはちたないことはちまちぇん!」
―― はしたない…… 心にグッサリくるわ……
そもそもが自分の行いのせいではあるが、娘に刺されてダメージを受けたビオラはちょっとヘコんだ気持ちで巣の外に出て花畑へと飛ぶ。
「ここがお花畑だよ、しばらくはイクシアには蜜と花粉の採取をお願いしようかな」
「わぁ! キレイなおはな!」
はしゃいでブンブンと花畑を飛び回るイクシアを見てビオラはしばらく嬉しそうに微笑んでいた。するとイクシアが振り返って「おかぁたま!」と声をかける。
「みちゅをとっていいでちゅか?」
「うん、でもその前にやることがあるのよ」
イクシアは「やること?」と言いながら首を傾げる。
「お仕事の前には必ず精霊に安全をお祈りするの」
「おいのり?」
「そう、じゃあイクシア。真似してやってみようか」
「あい!」
イクシアは元気に返事をし、ビオラは微笑んで頷くと両手を広げて体全身に魔力を巡らせていく。イクシアも真似しているが魔力の流れはかなりぎこちない。
「世界に恵みをもたらす数多の精霊たちよ、我に御身のご加護を」
「ちぇかいにめぎゅみをもたらちゅあまちゃのちぇいれいたちよ、われにおんみのごかごを」
「周囲確認、ヨシ! ご安全にっ!」
「ちゅういかくにん、よち! ごあんじぇんにっ!」
ボワァっと二人を淡い光が覆う。ビオラとイクシアは危険感知能力がUPした気がした。
「よし、じゃあ蜜の採取を始めましょうか」
「あい!」
バフも掛け終わった二人は楽しく仕事を開始した。
その夜、ビオラが就寝したあとイクシアは勉強部屋に一人でやって来た。机に向かって椅子に座ると放置されていた参考書『バカでも分かる初級魔法植物入門』を手に取って読み始める。
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