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淡白宣言
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「─という訳で!」
「あなたの精気をいただきます!」
理解が及ばない状況で、人の心はどう動くものだろうか?
俺の場合は、「見なかったことにする」方向に進むようだ。
「え?無視?」
午前3時。
普段なら寝ている時間だが、今日は寝苦しく途中で起きてしまった。
トイレに行き、水を飲んで布団に戻ろうとした時。
枕元に誰かの気配を感じた。
しかし俺は一人暮らしだ。
誰かいるとか、そんなことはありえない。
きっと寝ぼけているのだろう。
意識が途切れ始めた頃。
体に触れる「何か」の存在に気づいた。
それは胸や足を優しく撫でてくる。
これはもう勘違いではない。
うっすらと目を開けて、辺りを確認する。
…そこに、何かがいる。
俺の顔を覗き込みながら、体を撫でている。
撫でていた手が股間に伸びてきたので、
反射的に掴んでしまった。
「きゃっ」
女の声だ。
びっくりした俺は急いで電気をつける。
泥棒か?
いや、ストーカー?
そこにいたのは、若く美しい女の人…
いや、人か?
頭から生えた小さな羽。
見え隠れする尻尾。
人っぽいが違う。
「びっくりしたじゃないですか」
抗議してきた。
なんなんだコイツは。
「あ、あなた誰なんですか?」
「ここ俺ん家なんですけど…」
「あ、えーと」
「その…サキュバス…って、分かります…?」
「え?まあ、まあ…」
「あれです、私…」
…頭がおかしいのか?
でもコスプレにしては耳も羽根も動いてるし…
そもそも玄関の鍵はかかっている。
窓も開いてない。
それで、どうやって入ったんだ?
そう考えると、確かに人間の仕業ではないかもしれない。
「ちょっとその、お願いがあって」
「はあ…」
「あなたの精気をいただきたいんですが…」
「精気って…要するにアレですか…?」
「そうです…」
「…ね、寝ないでください…」
夜中にやるにはカロリーが高すぎる会話だ。
無かったことにして寝ようと思ったが、妨害されてしまった。
しばらくの攻防の後、落ち着いて話し合うことになった。
「えっとじゃあ…お名前から…」
「はい…あの、ノエルです」
「どうも…セイです…」
「で、ノエルさんはサキュバスですと…」
「そうです…」
話が全く弾まない。
そもそもサキュバスはもっとチャチャっと終わらせて帰るイメージだったが…
そのことを聞いてみると、ノエルは独り立ちしてすぐらしい。
まだ経験が少ないそうだ。
「サキュバスも人間と一緒で…成功体験で自信をつけていくっていうか…」
「新人さんなんすね…大変っすね…」
俺がそう言った途端、ノエルは急に饒舌になった。
「そう、そうなんですよ!」
「急に主従契約取ってこいって言われても上手くいくわけないじゃんって…」
よほど溜まっていたようで、愚痴が止まらない。
「─という訳で!」
「あなたの精気をいただきます!」
…ふと時計に目をやると、もう4時をまわっている。
俺は考えることをやめて、布団に入った。
「え?無視?」
その後も揺すったりされていたが、やがて意識は途切れた。
起きた時には9時を過ぎていた。
今日が土曜日でよかった。
「あ、おはようございます」
夢じゃなかった…
当然のように俺が買ったパンを食べている。
「さ、食べましょう食べましょう」
「食べないと精がつかないですからね!」
俺はノエルが出してきたパンを食べ、しばらく雑談した。
「あの…それで今日どうします?」
「え?予定は特にないけど」
「そうじゃなくって!」
予定ではなく、いつ精気をもらうかという話だったようだ。
実は、俺は昔から「性欲」というものがあまりない。
正直にノエルはすごく魅力的だと思うが、だからといってどうしたいわけでもないのだ。
「え~っ、そんな困りますよぉ」
困ると言われても困る。
そうしていると、不意にノエルが立ち上がった。
「いいですよ!そしたら特技見せちゃいますから」
そういうと同時に、胸のサイズが大きくなっていく。
「人間の男はこういうの好きだって聞いてますよ!」
「あとは顔つきとか髪とかも自由です!」
「私、形態変化術は昔から一番上手くって~」
誇らしげに色々変えてみせるノエルを見たが、やはり反応しない。
「どうしてダメなんですか~…」
「もうダメ分かんないこの人…」
ついに泣き出してしまった。
こんな理由で女を泣かせたのは、きっとこの世に俺くらいだろう…
結局、2人で映画を見たり、ご飯を作ったりして過ごすのだった。
ノエルが押しかけてきてから、一週間が過ぎた。
今日も営業をかけてくるノエルだったが、
どこか空気が違う。
なんというか、とても急いでいるようだ。
挙句土下座までしてきた。
「今日だけ!今日だけお願いします、この通りですから…」
余りの勢いに気圧されてしまう。
「お願いします…もう、もう時間が…」
言い終わることはなく、力が抜けたようにノエルはへたり込んだ。
「あ…ああ…」
若いノエルの体が、急激に萎びていく。
腕や足の筋肉量が目に見えて減ってきた。
顔には深くシワが刻まれ、頬にはたるみが目立つようになった。
そして、美しかった黒髪が、だんだんと白くなっていく。
やがて髪が真っ白になり、全身の変化も止まったようだ。
「お…おい、…大丈夫?」
顔を覆いながら、差し出した手を弱々しく払おうとする。
「みっ、見ちゃダメ…見ないで…」
「何が起きたの、大丈夫?」
「いやっ…」
ノエルは必死に顔を隠そうとしていたが、その手には力がなく簡単に退かせてしまった。
これがあのノエルか?
今俺の前にいるのは、まるで老婆だ。
顔を見られたのがショックだったのか、オイオイと泣いている。
「こんなおばあちゃんになっちゃって…もう友達に顔見せらんない…」
俺は、その姿を眺めるしかなかった。
…そして、老いたノエルの姿に、堪えきれぬ何かが込み上がってきた。
ノエルも何かに気づいたのか、泣くのをやめて俺の方を向く。
「えっ?セ…セイくん?」
もう何も考えられなかった。
老いて細くなった腕を掴み、布団に押し倒す。
「えっ、ちょっ」
「私今、こんなおばあちゃんなんだけど…」
もはやノエルの言葉も聞こえない。
「待って、ちょっと、まだ心の準備が」
「何?、い、今じゃなくても…あっ…」
一瞬で上限を振り切ったリビドーの前に、俺の理性は敗北した。
気がつくと、ノエルが横で息を切らしていた。
元の若い姿に戻っている。
「ちょっと…心の準備がって…」
「ごめん…なんていうか…その」
「我慢できなくなったっていうか…」
しどろもどろになりながら弁解する。
気まずい空気をどうにかしようと、さっき何が起きたのか聞いてみた。
「サキュバスって不老不死なんですけど、長い間精気を摂らないと老化しちゃうんです…」
「今日はもう隠せなくなっちゃって…」
そういうことだったのか。
なんだか申し訳ない。
「いつもの私にはピクリともしなかったくせに…この変態…」
「おばあちゃんになったら急に襲って来るなんて……ん?」
「…ふ~ん?」
「……へえぇ~」
ノエルは何かに思い当たったのか、ニヤニヤと笑いながらこちらを見ている。
そして、ずいっと身を乗り出してきた。
「セイくんって…」
「こういうのが好きだったんだ?」
そう言いながら、顔を老けさせた。
「ちょっ」
不意をつかれた俺は、思わず顔を赤くしてしまう。
「こういうのが好みなんでしょ~?」
長い黒髪を白く変色させつつ、抱きついてくる。
「ちょっ、別に好きなんかじゃ…」
「へー?好きでもないのにココ、こんなになっちゃってるんですかあ」
「私もうお腹空いちゃって…まだまだ足りないんですよね~」
「もっといっぱい楽しみましょ?ね?」
…その後のことは覚えていない。
「ねえねえ、セイくんが好きなサラサラのグレイヘアだよ~」
「はい巨乳モード…あ、こんくらい垂れてるのが好きなんだっけ?」
あの日以来、主導権をノエルに握られてしまった。
精気を摂る限り、サキュバスは不老不死。
しかし老化を経験したことで、「年齢が変化する感覚」を掴んだらしい。
「形態変化術を応用したらいけた!」…だそうだ。
最近は年齢・外見・態度…
俺の好み フェチをどんどん開発してくる。
長く美しいグレイの髪で胸をくすぐり、
耳元で囁きかけてくる。
「意地張らないでさ、今日も気持ちいいことしようよ~」
「ね?変態くん♡」
…今日も長い夜が来る。
ノエルとの攻防は、まだまだ続きそうだ。
完
「あなたの精気をいただきます!」
理解が及ばない状況で、人の心はどう動くものだろうか?
俺の場合は、「見なかったことにする」方向に進むようだ。
「え?無視?」
午前3時。
普段なら寝ている時間だが、今日は寝苦しく途中で起きてしまった。
トイレに行き、水を飲んで布団に戻ろうとした時。
枕元に誰かの気配を感じた。
しかし俺は一人暮らしだ。
誰かいるとか、そんなことはありえない。
きっと寝ぼけているのだろう。
意識が途切れ始めた頃。
体に触れる「何か」の存在に気づいた。
それは胸や足を優しく撫でてくる。
これはもう勘違いではない。
うっすらと目を開けて、辺りを確認する。
…そこに、何かがいる。
俺の顔を覗き込みながら、体を撫でている。
撫でていた手が股間に伸びてきたので、
反射的に掴んでしまった。
「きゃっ」
女の声だ。
びっくりした俺は急いで電気をつける。
泥棒か?
いや、ストーカー?
そこにいたのは、若く美しい女の人…
いや、人か?
頭から生えた小さな羽。
見え隠れする尻尾。
人っぽいが違う。
「びっくりしたじゃないですか」
抗議してきた。
なんなんだコイツは。
「あ、あなた誰なんですか?」
「ここ俺ん家なんですけど…」
「あ、えーと」
「その…サキュバス…って、分かります…?」
「え?まあ、まあ…」
「あれです、私…」
…頭がおかしいのか?
でもコスプレにしては耳も羽根も動いてるし…
そもそも玄関の鍵はかかっている。
窓も開いてない。
それで、どうやって入ったんだ?
そう考えると、確かに人間の仕業ではないかもしれない。
「ちょっとその、お願いがあって」
「はあ…」
「あなたの精気をいただきたいんですが…」
「精気って…要するにアレですか…?」
「そうです…」
「…ね、寝ないでください…」
夜中にやるにはカロリーが高すぎる会話だ。
無かったことにして寝ようと思ったが、妨害されてしまった。
しばらくの攻防の後、落ち着いて話し合うことになった。
「えっとじゃあ…お名前から…」
「はい…あの、ノエルです」
「どうも…セイです…」
「で、ノエルさんはサキュバスですと…」
「そうです…」
話が全く弾まない。
そもそもサキュバスはもっとチャチャっと終わらせて帰るイメージだったが…
そのことを聞いてみると、ノエルは独り立ちしてすぐらしい。
まだ経験が少ないそうだ。
「サキュバスも人間と一緒で…成功体験で自信をつけていくっていうか…」
「新人さんなんすね…大変っすね…」
俺がそう言った途端、ノエルは急に饒舌になった。
「そう、そうなんですよ!」
「急に主従契約取ってこいって言われても上手くいくわけないじゃんって…」
よほど溜まっていたようで、愚痴が止まらない。
「─という訳で!」
「あなたの精気をいただきます!」
…ふと時計に目をやると、もう4時をまわっている。
俺は考えることをやめて、布団に入った。
「え?無視?」
その後も揺すったりされていたが、やがて意識は途切れた。
起きた時には9時を過ぎていた。
今日が土曜日でよかった。
「あ、おはようございます」
夢じゃなかった…
当然のように俺が買ったパンを食べている。
「さ、食べましょう食べましょう」
「食べないと精がつかないですからね!」
俺はノエルが出してきたパンを食べ、しばらく雑談した。
「あの…それで今日どうします?」
「え?予定は特にないけど」
「そうじゃなくって!」
予定ではなく、いつ精気をもらうかという話だったようだ。
実は、俺は昔から「性欲」というものがあまりない。
正直にノエルはすごく魅力的だと思うが、だからといってどうしたいわけでもないのだ。
「え~っ、そんな困りますよぉ」
困ると言われても困る。
そうしていると、不意にノエルが立ち上がった。
「いいですよ!そしたら特技見せちゃいますから」
そういうと同時に、胸のサイズが大きくなっていく。
「人間の男はこういうの好きだって聞いてますよ!」
「あとは顔つきとか髪とかも自由です!」
「私、形態変化術は昔から一番上手くって~」
誇らしげに色々変えてみせるノエルを見たが、やはり反応しない。
「どうしてダメなんですか~…」
「もうダメ分かんないこの人…」
ついに泣き出してしまった。
こんな理由で女を泣かせたのは、きっとこの世に俺くらいだろう…
結局、2人で映画を見たり、ご飯を作ったりして過ごすのだった。
ノエルが押しかけてきてから、一週間が過ぎた。
今日も営業をかけてくるノエルだったが、
どこか空気が違う。
なんというか、とても急いでいるようだ。
挙句土下座までしてきた。
「今日だけ!今日だけお願いします、この通りですから…」
余りの勢いに気圧されてしまう。
「お願いします…もう、もう時間が…」
言い終わることはなく、力が抜けたようにノエルはへたり込んだ。
「あ…ああ…」
若いノエルの体が、急激に萎びていく。
腕や足の筋肉量が目に見えて減ってきた。
顔には深くシワが刻まれ、頬にはたるみが目立つようになった。
そして、美しかった黒髪が、だんだんと白くなっていく。
やがて髪が真っ白になり、全身の変化も止まったようだ。
「お…おい、…大丈夫?」
顔を覆いながら、差し出した手を弱々しく払おうとする。
「みっ、見ちゃダメ…見ないで…」
「何が起きたの、大丈夫?」
「いやっ…」
ノエルは必死に顔を隠そうとしていたが、その手には力がなく簡単に退かせてしまった。
これがあのノエルか?
今俺の前にいるのは、まるで老婆だ。
顔を見られたのがショックだったのか、オイオイと泣いている。
「こんなおばあちゃんになっちゃって…もう友達に顔見せらんない…」
俺は、その姿を眺めるしかなかった。
…そして、老いたノエルの姿に、堪えきれぬ何かが込み上がってきた。
ノエルも何かに気づいたのか、泣くのをやめて俺の方を向く。
「えっ?セ…セイくん?」
もう何も考えられなかった。
老いて細くなった腕を掴み、布団に押し倒す。
「えっ、ちょっ」
「私今、こんなおばあちゃんなんだけど…」
もはやノエルの言葉も聞こえない。
「待って、ちょっと、まだ心の準備が」
「何?、い、今じゃなくても…あっ…」
一瞬で上限を振り切ったリビドーの前に、俺の理性は敗北した。
気がつくと、ノエルが横で息を切らしていた。
元の若い姿に戻っている。
「ちょっと…心の準備がって…」
「ごめん…なんていうか…その」
「我慢できなくなったっていうか…」
しどろもどろになりながら弁解する。
気まずい空気をどうにかしようと、さっき何が起きたのか聞いてみた。
「サキュバスって不老不死なんですけど、長い間精気を摂らないと老化しちゃうんです…」
「今日はもう隠せなくなっちゃって…」
そういうことだったのか。
なんだか申し訳ない。
「いつもの私にはピクリともしなかったくせに…この変態…」
「おばあちゃんになったら急に襲って来るなんて……ん?」
「…ふ~ん?」
「……へえぇ~」
ノエルは何かに思い当たったのか、ニヤニヤと笑いながらこちらを見ている。
そして、ずいっと身を乗り出してきた。
「セイくんって…」
「こういうのが好きだったんだ?」
そう言いながら、顔を老けさせた。
「ちょっ」
不意をつかれた俺は、思わず顔を赤くしてしまう。
「こういうのが好みなんでしょ~?」
長い黒髪を白く変色させつつ、抱きついてくる。
「ちょっ、別に好きなんかじゃ…」
「へー?好きでもないのにココ、こんなになっちゃってるんですかあ」
「私もうお腹空いちゃって…まだまだ足りないんですよね~」
「もっといっぱい楽しみましょ?ね?」
…その後のことは覚えていない。
「ねえねえ、セイくんが好きなサラサラのグレイヘアだよ~」
「はい巨乳モード…あ、こんくらい垂れてるのが好きなんだっけ?」
あの日以来、主導権をノエルに握られてしまった。
精気を摂る限り、サキュバスは不老不死。
しかし老化を経験したことで、「年齢が変化する感覚」を掴んだらしい。
「形態変化術を応用したらいけた!」…だそうだ。
最近は年齢・外見・態度…
俺の好み フェチをどんどん開発してくる。
長く美しいグレイの髪で胸をくすぐり、
耳元で囁きかけてくる。
「意地張らないでさ、今日も気持ちいいことしようよ~」
「ね?変態くん♡」
…今日も長い夜が来る。
ノエルとの攻防は、まだまだ続きそうだ。
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