世界は平和ですか?Ⅰ【最終回】~Ⅱへ続きます。

ふえん

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最終話 ミヤですか?勇者さま。②

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ずっと一緒だった。

どんな時でも。

クロネに連れられて勇者ジン様の、、フェンさまの家に来てからは…。

一族の代表として選ばれたのだ。

重要な役目だと言われて来たが、ミヤにあてがわれたのは一人の少年だった。

勇者ジン担当に、、以前から居るクロネと協力して事に当たると思っていたミヤの当ては外れる。

『何なの?この冴えない子供は…』

特に特筆すべき所の無い、どこにでも居る普通の少年…いや、普通どころか大人しい、冴えない、という感想しか浮かばない少年だった。

それがミヤのフェンに対する第一印象だった。

興味津々らしく、私をチラチラ見て、目が離せないでいる。

既にクロネさんも居るのだから、私、、猫が珍しい訳ではないだろうし…

何よ!言いたい事が有るならハッキリ言いなさいよ!

フェンの態度にイライラ感が募る。

クロネ同様、魔界では有名な名家の令嬢であるミヤは納得がいかなかった。

『なんで私が勇者ジンではなく、こんな冴えない子供の相手をしなければなの?』

『こんな所に居るなんて、まっぴら御免だわ!!』

ミヤは来た当日、早々に逃げ出そうとした。

素早さには自信が有る。

捕まえられるものなら捕まえてみなさい!!

ミヤは逃げる・・・簡単に逃げられる。


・・・筈だった。


ミヤは捕まる。

『こんな子供』と馬鹿にしていたフェンに。

『こんな筈ない!!』

ミヤは何度も逃走を図り、、そして捕まった。


「ごめん、ごめん。何が嫌なのかな?、、ほら、帰ろうね?」

『止めろ!私を離せ!』

私が帰りたいのはだ!

なんかじゃない!!

話そうとしても声は出ず、ミャー、ミャー、という鳴き声だけが逃走劇が終わるまで響き続けた。


やがてミヤが疲れ果ててへたりこむと、フェンが抱き上げる。

「気は済んだかな? 僕はフェンだよ。宜しくね。」

「考えたんだけど…君の名前、、、ミヤってどうかな?」

ミヤは驚く。

『何で私の名前を知ってるの?クロネさんから聞いてたの?』

いや、この顔は違う。、、この得意そうな表情は、、、

・・・思いつき、、安直な考えで決めたのだ。

どうせ、私が『ミャーミャー』言ってたから、とかに違いない。

だが、異論を唱える為の言葉、、声が出ない。

なら・・・

抗議の意味も込めて、また逃げ出す。

「待って!ミヤ。」

呆気なく捕まってしまう。

嫌がるミヤなどお構い無しだ。

「宜しくね、ミヤ。今日からここが君の家だからね。」

フェンは嬉しさと期待に目を輝かせている。

うるさい、何がミヤだ!馴れ馴れしく私を呼ぶな!触るな!』

「初めてで緊張してるのかな?」

あからさまな素っ気ない態度もフェンには通じない。

「よし、よし、、ミヤ。」

身体中を撫で回して可愛がろうとする。

『嫌、止めろ、止めろって、、や、、、』

誰にも触られた事など無い所まで触れられ、、愛撫されてしまう。

思う存分、撫で回した後で満足したのかミヤは解放される。

『ふーっ、ふーっ、、こ、こんな事、、、』

他人に身体を自由にされるなんて…身体がフワフワとして力が入らない。

「あれっ?はしゃぎ過ぎて疲れちゃったのかな?、、」

「爺ちゃん、ミヤをお風呂に入れて来るよ。」

「うむ。そうじゃな、仲良くなるには裸の付き合いが一番じゃな。」

…な、な、な、、何を言ってるの?この勇者と孫は…

お風呂?、、何?…まさか私と?

冗談じゃない。

ヨロヨロとした足取りで逃げ、、、られる訳がなかった。

「な~に?、、ミヤはお風呂が嫌いなの?」

純粋に優しく微笑んでいるのだろうが、そういう問題ではない。

『嫌、止めて!、、そんな、、お風呂なんて…』

「大丈夫だよ、ミヤ。すぐに気持ち良くなるよ♪」

…気持ち良くなる、って何よ!…私に何をするつもりなのよ!!

ミャーミャー暴れるミヤを抱き締めてフェンは歩く。

ミヤは助けを求めクロネを見るが、微笑むだけで助けてくれる気は無い。

なぜ?、、なぜクロネさんは助けてくれないの?

「頑張りなさい、、仲良くなるチャンスよ!」

代わりに応援されてしまう。

…そんな…私…


離すと逃げ出してしまうのでフェンはミヤを離さない。

器用に片手で服を脱ぎ、お風呂に入る。


嫌、、私…このまま…この男に…


…なんて事は起こらない。

当然だ。今は猫の姿のミヤなのだから。

普通に全身を洗われて、お湯を掛けられる。

『ぷはーっ』…反射的に身を震わせ水気を払う。

『くしゅんっ…』 可愛いクシャミも一つ。

「あれ?クシャミ?寒くなっちゃったのかな?」

・・・違う!お前が勢いよくお湯を掛けたせいよ!

「寒いんだよね♪ じゃあお風呂で温まろうね。」

違う!、、、って言っても当然ながら、ミャー、としか聞こえない。

フェンは嫌がるミヤを抱き締め初めて浴槽に入る。

「熱いのが嫌いなのかな?」

熱い、、温かいのが嫌いなのではない。

お湯、、と言うか、温度は関係無く『身体を水に浸ける』のが、好きではない…嫌なのだ。

「よーし、良い子だね。良く温まろうね。」

・・・あと、、お前だ!

人間のくせに、馴れ馴れしい!

気安く私の肌に触れるな!

『離せ! 嫌だと言っているだろうが!!』

「うん、うん。ミヤも気持ちいいって?喜んでくれて嬉しいよ♪」

全く話が噛み合わない。

フェンにはミヤがミャーミャーと喜んでいる様にしか聞こえなかったのだ。



暫く浴槽に浸かり温まって来て気が弛んだのか、フェンが話し始める。

「君は、、どこにも、、行かない?」

・・・何を言ってるんだ!、、だから逃げてるんだろう!!

「傍に、、居てくれるの?」

私はお前みたいな勇者でもない唯の人間の相手をする為に来たんじゃない!

隙を見て・・・そうね。今晩、このフェンという男が寝た隙に逃げてやる。


急に声が掛かる。

「フェン、急な依頼だ。出掛ける。」

『ザバッ』浴槽より素早く上がりミヤを離すと、手早く服を着て玄関へ走る。

「爺ちゃん、、、」

「フェン、今回は少し掛かるかもしれん。」

「いつも通り、留守番は任せたぞ。」

絶対に離さない、とばかりに抱き締めていたのに、急に置き去りにされてプライドを刺激されたミヤもついて来る。

ミヤは思う。

何よ! この人間!・・・私を投げ出す程の事?

たかだか祖父が出掛けるだけじゃない。それを大袈裟なのよ!

フェンは笑顔で言う。

「うん。大丈夫だよ、爺ちゃん!、、気を付けて。」

「じゃあ、行って来る。」

勇者ジンに依頼が来たのだろう。それで出掛ける。

それだけの事だ。

クロネも一緒行くらしく、、、人間には『ミャー』としか聞こえないだろうが、、

「フェン君の事、宜しくね。ミヤ。」

「はい。」…ミヤは答える。

内心は、、

、、、誰がっ!!

誰が『宜しく』なんてするもんかっ!!

二人が出掛け居なくなり、フェンが眠ったらサヨナラだ。

「はい、クロネさん。フェン君の事は任せて下さい。」

二人が出掛けて行く。

笑顔で見送る二人。


姿が見えなくなると早速、ミヤは思う。

『さっさと寝ちゃえ!、この人間がっ!!』

と、思い、振り向いた瞬間、、、ミヤは凍りついた。

先程まで笑顔だったフェンが『ボロボロ』と泣いていたのだ。

・・・何で? 何で泣いてるの?

フェンはもうミヤを捕まえようとしなかった。

今なら逃げられる!、、なのに何で泣いてるのよ!!


・・・追いかけなさいよ!もぅ!!


追いかけてくれれば心置き無く逃げられるのに・・・


さっきまでの明るく元気なフェンが嘘の様に、か細く、今にも折れそうな子供、、

、、しか、そこには居なかった。

なぜ?・・・寂しいの?

なぜクロネや勇者ジンが居る内に言わなかったの?

フェンは、只々、泣くばかりだった。


あーっ、もぅ鬱陶うっとうしい!!

『行くよ! 寝るよ!』

今のミヤには伝える事は出来ないので、ミャーミャー鳴いて足にまとわりつく。

「・・・ミヤ、、?」

『いいから、行くよ!』

ミヤは寝室へと歩く。

ミヤの後をいざなわれる様にフェンも歩く。

部屋に着く。フェンの匂いが一番するこの部屋がフェンの部屋だろう。

そしてベッドに潜り込む。

『ほら! 早く来なさい!』

令嬢であるミヤから同じベッドに誘われるなんて、同族のオスなら泣いて喜ぶ所なんだから!

「ミヤ、、一緒に居てくれるの?、、一緒に寝てくれるの?」

見ればまたフェンは泣き出している。

『いいから早く来なさい!!』


布団に入ったフェンは泣きながらミヤを抱き締める。

何よ! 泣き虫!・・・こんな子供が勇者の孫?

「ミヤ、ミヤ、ミヤ、、」

フェンは夢中でミヤを抱き締める。

何でこんなに寂しがってるの?

そもそも、両親はどうしたのよ?

フェンが答えてくれる訳もなく・・・

現状が事実なのだろう。

ひとりぼっち…なのだ。

・・・ミヤと一緒?

泣きながら抱き締めるフェンが言う。

「ミヤはどこへも行かない? 傍に居てくれるの?」

何よ・・・そんな・・・泣きながら、、なんて・・・

ええ! そうよ! 

私は逃げようとしているのよ、、逃げるんだから・・・本当よ!


・・・・


・・・でも、まぁ、泣いてる子供を放って置くのも後味が悪いから、、

『今日くらいは一緒に居てあげるわ!』

勇者ジンは『今回は少し掛かる』と言っていた。

後日、幾らでも逃げる機会は有る筈だ。

『ふん。感謝する事ね。私と夜を共にするなんて光栄に思いなさい。』

泣き疲れて眠ってもフェンはミヤを放さなかった。

自分にはミヤしか居ないんだ!・・・と、言わんばかりに。


この家に来る前に想像した事と隔たりが有り過ぎる。

『勇者』の家なのだから、もっと豪華で、使用人が居る様な家だろうと想像していた。

だが、現実は、、、

普通の家だ。

ミヤの家よりも小さい。

使用人も居らず、勇者ジンと、その孫の、この男しか居ないのだ。

贅沢、、なんて言葉とはかけ離れた家だった。

しかも…泣き疲れてねている勇者の孫、、フェンと言ったか…。

もっとこう…勇者ジンが魔王軍、、ミヤ達、異種族と戦い得たお金で贅沢三昧している筈だった…。

そう。ミヤはこの家の現状を見るまでは『勇者は同族を倒した敵だ』と憎みさえしていた。

だが、どうだ?

実際には、泣き疲れた子供が一人居るだけだ。

『勇者を導く』のが仕事だと言われて来たが、勇者に値しないクズな人間だったなら『導く』どころか『殺す』つもりで来たのだ。

・・・この子、、フェンは?

勇者と言うには、あまりにも心許こころもとない。

だが、こんなに寂しがりながらも笑顔で勇者ジンを送り出したのは立派と言えるだろう。

少なくともミヤの中の判断ではクズな人間・・・では無い。

泣いてる子供一人、殺した所で何にもならないわよね…。

いいわ。私が逃げるまでの間は相手をしてあげる。


次の日から日課の様に追い掛けっこが始まった。

ミヤが逃げれば、、フェンが追う。

どんなにミヤが逃げても必ずフェンは見つけ出して捕まえるのだ。

ミヤは見直していた。

唯の泣き虫な子供かと思っていたが、、、

小さな猫の姿のミヤ。

森に逃げ込み、茂みに隠れれば見つかる訳が無い。

筈なのだが・・・フェンは見つけ出してくれるのだ。

「もぅ、ミヤ。こんな所まで来ちゃだめだよ?」

『もぅ、今日も見つかっちゃったわね…』

知らず知らず、何度も繰り返す内に、ミヤの目的は『逃げる』から『隠れる』、、『遊び』に変わってしまっていたのだ。

ミヤも隠れて、フェンが見つけ出して迎えに来てくれるのを楽しみにする様になっていた。

だが、昼間は楽しそうにしているフェンだが、夜になると一人なのを実感するのか、また泣き出してしまう。

毎晩ミヤが一緒に寝て、抱き締められ、涙も舐めてあげた。

だが、フェンの涙は止まらないのだ。

「ミヤ、、どこにも、、行っちゃ嫌だよ、、ミヤ…」

泣きながら自分を抱き締めているフェン様。

ミヤは考える。

誰でもない?

フェン様には私が必要なの?

家族を失ってから、こんなに他人から必要とされる事など無かった。


やがて今日も泣き疲れてフェンは眠る。

今日こそは!!

と、ここの所、毎日の様に考えるミヤなのだが、、、

、、まぁ、今日の所は逃げないでおいてあげるわ。


それから毎日だ。

、、そう。毎日、同じ事を考えるミヤだが、どうしても行動に移せなかった。

小さく、震え、泣くフェンを置いて逃げる…なんて事はミヤには出来なかった。

何日もが過ぎ、ミヤの『仕方なく』が、『普通』に変わった頃、勇者ジン達は帰って来た。

その頃には、この家に、、フェン様の傍に居る事が当たり前の事になってしまっていた。

もう、、、逃げられない。

祖父のジンもクロネも帰って来たのだから私は逃げても良い筈だ。

フェンも元気を取り戻しているではないか!


、、だが、出来ない、、

ミヤは自分と葛藤する。

ミヤが出て行ったら、フェン様はどうなるの?

そしてまた、勇者ジンとクロネが出掛けたら?

誰がフェン様の涙を拭ってくれるというの?

・・・居ない。

フェン様にはミヤしか居ないのだ。

違うよ!、、別に私が近くに居たい訳じゃない!

・・・仕方なく、、そう、仕方なくよ!、仕事で傍に居るだけなんだから!

本当に、、、違うんだから!

そのままミヤはフェンの傍に居た。・・・ずっと、だ。









夜半、、、

いよいよだにゃ…

懐かしい気さえするベッド、温かい布団、それに、、フェンさま。

・・・幸せにゃ・・・ずっと一緒に居たかったにゃ。

・・・って、もう『にゃ』も付けなくても、、、

そう考えるだけで悲しく切なくなる。


もう、、、一緒に居る訳にはいかない、、よね、、。

本当ならフェンさまに殺して貰う筈だった命だ。

短い期間で少し残念だけどフェンさまは幸せな記憶、思い出をくれた…。

隣で寝ているフェンの顔を見る・・・

好き・・・フェンさま・・・私が守ります・・・


気配が段々と近付いて来ている。

私が捕まり、フェンさまを操っていた・・・と証言すれば、、、きっと。

『さようなら…フェンさま…好き、、です…ごめんなさい、、』

を、声にせず、口だけ動かし伝える・・・

そして、、、

『そーっ』とベッドから抜け出そうとするミヤ。

が、予想外の事が起こった。

「きゃぅっっ!!」

思わず声を上げてしまう。

急にシッポを強く握り締められたのだ。

「何が・・・!!」

振り返ると爛々らんらんとした目が、、フェンと目が合う。

「フェ、フェンさま、起こしちゃったかにゃ?」

「どこ行く気?」

フェンの目は笑っていない。 口調も。、、、怒ってる?


「た、ただの御手洗いにゃ、一人で行けるにゃ♪」

「御手洗い?・・・じゃあ何で?」

「何で?って何がにゃ?」

ミヤは 平静に明るく振舞っているつもりだった。のに、、

「何でミヤ、泣いてるの?」

『ハッ』として自分の顔に触れる…いつの間に?

知らぬ間に泣いてしまっていたのだ。

「何ともないにゃ!、そうにゃ、恐い夢を見たから泣いてたんにゃ。」

「ミヤ!!!」

「、、、っ!」

『ビリビリ』したフェンの気迫がミヤを震わせ、息を飲ませる。


「・・・で、ミヤ。どこへ行くの?」

「平気にゃ、な、何ともな、、、」

「ミヤ!!!」

フェンの目には怒り、、ミヤへなのか第三者への物かは分からないが、、

、、と、やはり根底に在るのはミヤへの心配だ。


「ミヤは・・・ミヤは大丈夫にゃ!」

「フェンさまは、このまま寝ていて下さい。」

「ミヤが、、ミヤが、、、」

「駄目!!!」

『…お守りします』と告げる前にフェンから否定されてしまう。


「外の気配、、音、、王国軍の兵士…だね、、。」

人の気配と装備の音…集団で同一な装備を均一に使用しているなど正規軍くらいだ。

『コクリ』とミヤは肯定する。


「手配されているミヤを捕らえに来たのにゃ。」

「フェンさまはミヤに操られていたのにゃ、何も知らないにゃ。」

「フェンさまは何も知らず寝ているだけでいいにゃ。」

「さよなら、フェンさま…」

行こうとするミヤを今度は腕を掴み離さないフェン。


「フェンさま、離して下さい。もう時間が無いの…」



・・・唐突だった。


「ミヤ!!・・・結婚しよう!」

「・・・・・え?」

聞き、、間違い、、、?

あまりにも場違いなセリフに口を『パクパク』させるが言葉にはならない。


「ミヤ。結婚しよう。」 もう一度、フェンは同じ事を言う。

今度は間違いない・・・フェンさまが言っている言葉に、、間違いない。

「結、、婚?」

「そうだよ。結婚しよう、ミヤ。」

「・・・・」 何を言ってるのだろうか、フェンさまは?

今、正に『』だと言うのに…。


「これじゃ、これじゃ私、、そんな、、、」

、、、決心が鈍ってしまうではないか!


「返事を聞かせてよ、ミヤ?・・・結婚しよっ♪」

「そんな・・・結婚?フェンさまと?」

「ねぇ、ミヤ、、返事は?」

「…そんな場合じゃ無いです!…兵士が、兵士が…」

「そんな場合って?…僕のはミヤの返事だよ?」

「そんな・・・フェンさま。」

「早く、ミヤ…ほら、兵士が来ちゃうよ?」


・・・何でフェンさまはこんな時に?

普段なら、二つ返事で認めてしまえば良いだけの話しなのに・・・。

内容は、、、なのだから、、、

だが、『はい』と答えてフェンが何をするのか、が恐いのだ。


『私に』する何かが恐いのではない…

『私の為に』何をする、、、何かをしてしまうのではないか?、が恐いのだ。


フェンさま、、私なんかと結婚してどうする、、の?


「・・・ミヤ!!」


「っ!…な、なります! フェンさまのお嫁さんになるにゃ!」

思わず返事をしてしまった・・・。


「うん。じゃあ今からミヤは僕のお嫁さんだね。」


嘘、、本当?、、、本当に?


夢じゃなく、本当にお嫁さんにしてくれるの?

フェンさま・・・

「お、お嫁さん…じゃあ、じゃあ、、、」

「・・・ミヤ?」

「、、あ、あなた、、」

「なーに?ミヤ。」

、、、キャー!『あなた』だなんて恥ずかしくて悶え死にそうにゃーーっ!

「・・・・?」

「…あの、『フェンさま』のままでいいにゃ?」

「いいよ。ミヤの好きに呼んで良いんだよ?」

「フェンさま、、、フェンさま…」

「もうミヤは僕のお嫁さん、、本当の家族になったんだよ。」

「だから僕の許可なんて要らない…好きにしていいんだよ?」

「はい。フェンさま。」



外の気配が高まる・・・取り囲んでいるのだろう。

「ただ、僕の家族を傷付ける奴は誰だろうと許さない、、、敵だ!」

フェンの目が鈍く光る・・・怒りだ。

「ミヤは僕のお嫁さんなんだから黙って勝手に何処かへ行っちゃ駄目だよ?」

うって変わってミヤへ優しく聞かせてくれる。

「は…い。」

フェンさま・・・最後に大きな夢を叶えてくれたんだ…お嫁さん…。

フェンさまと本当の家族になれたんだ。

もう…何処へ行こうが、何が有ろうが迷わない。

私の椅子はここに、、、フェンさまの隣に在るのだから・・・。




・・・フェンさまは?


フェンさまは見つかったの?


私の隣に在る椅子は?・・・ここではないのですか?


もし違うのなら私も手伝います。


私に椅子を作ってくれたフェンさま・・・


フェンさまの椅子が見つかるまで・・・


・・・ずっと・・・一緒に・・・


誓います、、、。








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