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プロローグ

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「ぎゃー! 姫様!? 今なんと!?」

「だぁから、婚約破棄だ破棄! なんで私があのブサイクと結婚しなきゃなんないんだ!」

ある日、私の国の姫様がとんでもない理由で婚約を破棄した。
そうしたら·····

「あーっはっは!! アルミナぁ! 絶対に許さねぇええええ!!」

「おっ、おまっ! まじかよ!」

元婚約者の男が、魔王の依代になって魔王が復活した。
魔王を討つべく、国中の若者は勇者(自称)となって旅に出た。

「いやああああ!!! 旅なんてしたくなーい!!」

「くぉら! サオリ! お前も一応、勇者一族の一員なんだから、ちゃんとしろ!」

勇者一族の末裔である私、フジワラ・サオリもその中に放り込まれようとしている。

「だいたい一族の落ちこぼれだとか皆私のこと罵ったくせに! なんで急に旅になんか行かせるの!? 今までこの家に閉じ込めてたくせに!!」

「うっ、うぐ! そっそれは」

「一族の賎しい血とか、言ったくせに! 何故私が!」

「お黙り、サオリ」

一族の長は嫌だ嫌だと泣き叫ぶ私にため息をついて、そう言った。

「ひいっ、ババア様」

「誰がババア様ですか! 全く! あの方の血を引いているのなら、旅に出て魔王を討ちなさい! それが貴方達の使命! ごちゃごちゃ言わずに出ていきなさい!」

「ふっ、ふざけないでよ! 私はじいちゃんと一般人の子! ババア様のエルフの血を継いでないし、オババ様の魔女の血も引いてない! ただの人間の子を危険な目に合わせないで!」

「はぁー、強制展開」

「えっ、ちょっ、待って!」

「ランダムテレポート!」

「ぎゃー!!!」

私の泣き言を聞かず、ババア様は私を強制的に外の世界に放り出した。
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