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1章 町娘はストーリーを変える
20話
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「やりましたわね! ヨシュア様! これであの女もレイラも絶望の真っ只中! 私達もレオン様に近づけるようになって最高の展開ですわね!」
「えぇそうね」
クラスで優雅にお茶を飲みながら彼女達はにこやかに会話を楽しむ。
「ごらんなさい、セイラ、アンジュ。クラスメイト達があの方々に対して嫌悪感を抱いている表情を。これだけでお茶が3杯飲めますわ」
「今頃アイリさんがレオン様といい雰囲気になってますね! あの人がレオン様の隣にいる事になれば私たちの地位も確立しますわね!」
「「「おーっほっほっほ! 」」」
悪役の特権高笑い。
気分よく笑う彼女達の元にこの世界に大した役割を持たない少女がやってくる。
「御機嫌よう。皆様。ヨシュア・アイスフォール様はおりますかしら。私アキノシタ・アカネと申します」
「ゲェッ!? なっなんで貴方がここにいますの!?」
礼儀正しく挨拶した彼女にレディらしからぬ声を荒らげ彼女は慌てふためく。
「……いえ、貴方とお話しようと思いまして」
「おっお断り致しますわ!」
「その返し私のマネですか?」
手を口に当てふふっと笑うアカネ。
そして彼女はボイスレコーダーをポケットから取り出した。
「まぁ声が取れたのでもう用はないんですけどね」
「「「なっ!?」」」
間抜けな顔をして驚く彼女達。
レコーダーをチラつかせながら帰るふりをすると彼女達は食いついてきた。
「あっあなた何をする気なの!?」
「そうよ! なんで声なんでとったの!? まっまさか! 貴方も私達を陥れるために動画を!?」
「ばっばか! アンジュさん!」
焦った彼女はうっかり口を滑らせた。
そしてアカネはニヤリと笑う。
「貴方も? それってどういう事ですかねぇ。アンジュさん?」
「べっべべべ別に! 何でもなっ!」
挙動不審になるアンジュににこやかに近づく。
「何でもなくないですよね。この書類どう説明するんですか?」
彼女にみせたのはヨシュア・アイスフォールの買い物履歴。
「ひっ!? よっヨシュア様!」
アンジュは彼女に恐れてヨシュアに抱きつき震えてる。
「なっ何よ平民! それがどうしたってのよ! しかも人の買い物履歴を勝手に見るなんてプライバシーの侵害だわ!」
「……人のクソコラ動画作って人の評判下げてるやつが何言ってやがるのですか?」
「「「やひいっ!?」」」
黒い影が顔にかかり怖いオーラを放ちぼそっと何かを言ったアカネに怯える彼女達。
「あっいけないいけない! 貴方達もボイスレコーダー買ってるんですよね。それ何に使ったんですか? ねぇ教えてくださいよ。ねぇねぇ」
笑顔で体を激しく揺らししつこいくらいに問いただす。
彼女の行動でどんどん親衛隊の恐怖心は上がっていく。
「しっ知ってるくせに! なんでそんな風に追い詰めるのよォ! うわあああん! 虐めないでぇ!」
そしてボロを出して泣き出した。
「……この動画貴方達がやっぱり作ったんですね。早く動画を嘘だと認め謝罪しなさい!」
鬼のような顔で彼女達を睨みつけると。
彼女達は泣きながら土下座をし大きな声で謝罪した。
「「「申し訳ありません! 」」」
そしてすぐにスマホを取り出して動画を消しそのアカウントに謝罪文を載せた。
「……それで? なんでこんなことしたの?」
「そっそれは」
ため息まじりに腕を組みながらアカネが聞くと彼女達は途端に口ごもる。
「……はぁ、セイラさんだっけ? この動画の真相世間に公表したら貴方のSPの人生終わるわよ?」
「ななななな!?」
彼女は解析した動画を見せる。
金髪の男が暴力を振るう場面を見せると彼女は口をパクパクさせる。
「この動画、私たちの無実を証明する為に流しても流してもいいのよ……なんてね。そんな事したら君達と同じだからしないけど」
彼女の目の前でポチッと動画を削除しニコッと笑うアカネ。
「あっえっ!? ……そんな! ……あっありがとう……」
それの行動に驚きを隠せないセイラ。
思わずありがとうと言ってしまった彼女にアカネは優しい顔を向ける。
「一つ貸しだねセイラさん」
その顔に少しドキッとして彼女は目を泳がせる。
「あっあわわわわ! よっヨシュア様! どっどうしましょう!」
彼女に袖を掴まれ上目遣いをされたヨシュアはため息をついた。
「……仕方ありませんわ。悪者の私達の仲間を一人救ったんですもの。お礼をするのが礼儀ってものですわ」
「じゃあ教えてくれるんだね」
「えぇ私達はアイリ・ハートフィールドに指示されて貴方達を陥れるために声を録音しましたわ」
……なんですって?
そういえば、今日彼女の姿が見えなかったような。
「ちょっと待って。てことは貴方達は声を録音しただけなの?」
「そう。私達は彼女に誘われて手伝っただけ。彼女に協力すればレオン様に近づく権利を頂けると言われ。目の前の欲にくらんだ私はその誘いに乗ってしまいましたわ」
ここに来て信じられない事実が発覚。
この世界主人公と悪役が逆転してるじゃん!
まぁ私のせいなんだけどさ。
……でも主人公ってこんな事する人だったっけ?
「……アイリさんは動画を作りネットにばら撒きました。そして今レオン様の所に行き嘘偽りを吹き込んでレイラ様の印象を悪くし彼女が婚約者の座になろうとしてますわ」
悪い女だなぁ主人公!
昔のレイラがやりそうなことをやっちゃってさぁ!
しかも私まで巻き込んで!
蹴落とすならレイラだけでもいいはずなのになんで私まで!?
……まぁいいよ。本当の悪は主人公だったって事ね。
「あー! 本当おかしいよこれ! それで! アイリからなにか連絡はあった!?」
「……そっそれが、明日のレイラとの結婚式予定通り行われるから貴方達もいらしてねと」
「はぁ!? どういうことよそれ! アイリが彼のハートを奪ったのになんでレイラがあいつと結婚しなきゃいけないのよ!」
あまりにもおかしな事を言ってきたので気に触ったのか彼女はヨシュアの方を掴みグワングワンと揺さぶりをかける。
「わわわ分からないわよ!」
彼女から手を外してアカネは真っ青になる。
……もっもしかして原作通りに断罪イベント!?
やばい! このままじゃレイラが!
それと私もやばい!
「どどどどーしよ! 私どうしたらいい!?」
「ええっ!? 分からない! 分からないわよ! 貴方の好きなようにすればいいじゃない!」
ギャグ漫画のような焦り顔をするアカネに驚いてヨシュアはテンションに任せて適当なことを言う。
だがそれがアカネに一本の希望の光を差し込ませた。
「……そっか、そうだね! あはは! そうだよ!一時のテンションで全てを変えた女だ私は! ありがと! なんか成功するビジョンが見えたよ!」
彼女は笑いながら彼女の背中をばしばし叩き気分良さそうにその場を去っていく。
「なっなんだったの彼女……」
「ヨシュア様ぁ、私達ひょっとしてやばい人にちょっかいだしてたのでは……」
「もう絶対彼女に手を出しはしませんわ」
力を抜かしてへなへなと座る親衛隊の三人。
彼女達はアカネの後ろ姿をただただ見つめるだけだった。
「えぇそうね」
クラスで優雅にお茶を飲みながら彼女達はにこやかに会話を楽しむ。
「ごらんなさい、セイラ、アンジュ。クラスメイト達があの方々に対して嫌悪感を抱いている表情を。これだけでお茶が3杯飲めますわ」
「今頃アイリさんがレオン様といい雰囲気になってますね! あの人がレオン様の隣にいる事になれば私たちの地位も確立しますわね!」
「「「おーっほっほっほ! 」」」
悪役の特権高笑い。
気分よく笑う彼女達の元にこの世界に大した役割を持たない少女がやってくる。
「御機嫌よう。皆様。ヨシュア・アイスフォール様はおりますかしら。私アキノシタ・アカネと申します」
「ゲェッ!? なっなんで貴方がここにいますの!?」
礼儀正しく挨拶した彼女にレディらしからぬ声を荒らげ彼女は慌てふためく。
「……いえ、貴方とお話しようと思いまして」
「おっお断り致しますわ!」
「その返し私のマネですか?」
手を口に当てふふっと笑うアカネ。
そして彼女はボイスレコーダーをポケットから取り出した。
「まぁ声が取れたのでもう用はないんですけどね」
「「「なっ!?」」」
間抜けな顔をして驚く彼女達。
レコーダーをチラつかせながら帰るふりをすると彼女達は食いついてきた。
「あっあなた何をする気なの!?」
「そうよ! なんで声なんでとったの!? まっまさか! 貴方も私達を陥れるために動画を!?」
「ばっばか! アンジュさん!」
焦った彼女はうっかり口を滑らせた。
そしてアカネはニヤリと笑う。
「貴方も? それってどういう事ですかねぇ。アンジュさん?」
「べっべべべ別に! 何でもなっ!」
挙動不審になるアンジュににこやかに近づく。
「何でもなくないですよね。この書類どう説明するんですか?」
彼女にみせたのはヨシュア・アイスフォールの買い物履歴。
「ひっ!? よっヨシュア様!」
アンジュは彼女に恐れてヨシュアに抱きつき震えてる。
「なっ何よ平民! それがどうしたってのよ! しかも人の買い物履歴を勝手に見るなんてプライバシーの侵害だわ!」
「……人のクソコラ動画作って人の評判下げてるやつが何言ってやがるのですか?」
「「「やひいっ!?」」」
黒い影が顔にかかり怖いオーラを放ちぼそっと何かを言ったアカネに怯える彼女達。
「あっいけないいけない! 貴方達もボイスレコーダー買ってるんですよね。それ何に使ったんですか? ねぇ教えてくださいよ。ねぇねぇ」
笑顔で体を激しく揺らししつこいくらいに問いただす。
彼女の行動でどんどん親衛隊の恐怖心は上がっていく。
「しっ知ってるくせに! なんでそんな風に追い詰めるのよォ! うわあああん! 虐めないでぇ!」
そしてボロを出して泣き出した。
「……この動画貴方達がやっぱり作ったんですね。早く動画を嘘だと認め謝罪しなさい!」
鬼のような顔で彼女達を睨みつけると。
彼女達は泣きながら土下座をし大きな声で謝罪した。
「「「申し訳ありません! 」」」
そしてすぐにスマホを取り出して動画を消しそのアカウントに謝罪文を載せた。
「……それで? なんでこんなことしたの?」
「そっそれは」
ため息まじりに腕を組みながらアカネが聞くと彼女達は途端に口ごもる。
「……はぁ、セイラさんだっけ? この動画の真相世間に公表したら貴方のSPの人生終わるわよ?」
「ななななな!?」
彼女は解析した動画を見せる。
金髪の男が暴力を振るう場面を見せると彼女は口をパクパクさせる。
「この動画、私たちの無実を証明する為に流しても流してもいいのよ……なんてね。そんな事したら君達と同じだからしないけど」
彼女の目の前でポチッと動画を削除しニコッと笑うアカネ。
「あっえっ!? ……そんな! ……あっありがとう……」
それの行動に驚きを隠せないセイラ。
思わずありがとうと言ってしまった彼女にアカネは優しい顔を向ける。
「一つ貸しだねセイラさん」
その顔に少しドキッとして彼女は目を泳がせる。
「あっあわわわわ! よっヨシュア様! どっどうしましょう!」
彼女に袖を掴まれ上目遣いをされたヨシュアはため息をついた。
「……仕方ありませんわ。悪者の私達の仲間を一人救ったんですもの。お礼をするのが礼儀ってものですわ」
「じゃあ教えてくれるんだね」
「えぇ私達はアイリ・ハートフィールドに指示されて貴方達を陥れるために声を録音しましたわ」
……なんですって?
そういえば、今日彼女の姿が見えなかったような。
「ちょっと待って。てことは貴方達は声を録音しただけなの?」
「そう。私達は彼女に誘われて手伝っただけ。彼女に協力すればレオン様に近づく権利を頂けると言われ。目の前の欲にくらんだ私はその誘いに乗ってしまいましたわ」
ここに来て信じられない事実が発覚。
この世界主人公と悪役が逆転してるじゃん!
まぁ私のせいなんだけどさ。
……でも主人公ってこんな事する人だったっけ?
「……アイリさんは動画を作りネットにばら撒きました。そして今レオン様の所に行き嘘偽りを吹き込んでレイラ様の印象を悪くし彼女が婚約者の座になろうとしてますわ」
悪い女だなぁ主人公!
昔のレイラがやりそうなことをやっちゃってさぁ!
しかも私まで巻き込んで!
蹴落とすならレイラだけでもいいはずなのになんで私まで!?
……まぁいいよ。本当の悪は主人公だったって事ね。
「あー! 本当おかしいよこれ! それで! アイリからなにか連絡はあった!?」
「……そっそれが、明日のレイラとの結婚式予定通り行われるから貴方達もいらしてねと」
「はぁ!? どういうことよそれ! アイリが彼のハートを奪ったのになんでレイラがあいつと結婚しなきゃいけないのよ!」
あまりにもおかしな事を言ってきたので気に触ったのか彼女はヨシュアの方を掴みグワングワンと揺さぶりをかける。
「わわわ分からないわよ!」
彼女から手を外してアカネは真っ青になる。
……もっもしかして原作通りに断罪イベント!?
やばい! このままじゃレイラが!
それと私もやばい!
「どどどどーしよ! 私どうしたらいい!?」
「ええっ!? 分からない! 分からないわよ! 貴方の好きなようにすればいいじゃない!」
ギャグ漫画のような焦り顔をするアカネに驚いてヨシュアはテンションに任せて適当なことを言う。
だがそれがアカネに一本の希望の光を差し込ませた。
「……そっか、そうだね! あはは! そうだよ!一時のテンションで全てを変えた女だ私は! ありがと! なんか成功するビジョンが見えたよ!」
彼女は笑いながら彼女の背中をばしばし叩き気分良さそうにその場を去っていく。
「なっなんだったの彼女……」
「ヨシュア様ぁ、私達ひょっとしてやばい人にちょっかいだしてたのでは……」
「もう絶対彼女に手を出しはしませんわ」
力を抜かしてへなへなと座る親衛隊の三人。
彼女達はアカネの後ろ姿をただただ見つめるだけだった。
応援ありがとうございます!
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