約束と追憶 promitto of memory

Natsuki

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promitto of memory

第9話 その果てにある記憶。

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暴徒化した彼の目が、
次の瞬間自分に向けられていた。
「っあ…ぐぁ゙あ゙ぁああっ!!」

彼が声を荒らげた瞬間、
自分の方へと大剣で攻撃を仕掛けようとしていた。

「っアンル!!」
兄さんとヴァルフが一斉に目を見開いてそう言った。

「兄さん、ヴァルフ!っオレに構わず行っ…」
「ッ…!?」
ズドン、と本当に大剣の音なのか
疑わしいような、まるで
銃声に近いような鈍い音が鳴り響いた。
それと同時に砂埃も舞っていた。

油断も隙も無かった…それに
彼の攻撃速度がいつもより速かった気がする…。

それを何とか鈴杖で受け止められたけれど、
彼による大剣の斬撃をまともに食らっていたら
あわよくば死んでいたかもしれない。

「く…っ…!!!」

それに加えていつもの彼とは違った感じで
容赦なく、そして何より力が強かった。

時間とともに増していくそれが自分を襲っていた。

―第9話 その果てにある記憶―

自分は彼の大剣を何とか
鈴杖の硬度のおかげで跳ね返し、一歩手前に下がった。

あまりにも彼の攻撃が素早く強靱すぎるが為に
自分は外にある物置に素早く隠れた。

…多分だとは思うが、
狙いは自分自身か否かであることを確信した。

でも何故──。

「ッ──!?」
すると彼の攻撃により一瞬にして物置が破壊され、
自分の姿があらわになってしまった。

問答無用で自分に攻撃を仕掛ける姿はまるで、
前世で自分を殺した暗殺者のようだった。

……まさかとは信じ難いが、
今はそれを思っている暇は余程無かった…。

すると…
自分は油断をしてしまって
少しだけ彼の攻撃を食らってしまった。

「が…ッ!?」
掠っただけ、そんなはずだったのにこんなにも
腕に大きな傷ができてしまう…。
そんな程に威力が凄まじいとは思いもしなかった。

「っ…!」

彼の攻撃をまともに食らったら本当に死んでしまう。
そう思って自分は、壁裏にまた隠れた。

どうすれば彼の暴徒化を停められるのか、
今までそれを食い止めて来た彼の身内達は
彼の暴徒化をどうやって止めたのか…

…そして逃げている間に自分はいい案を思いついた。

その案とは、
自分が逃げる事により彼の体力を消耗させて
その隙に彼の暴徒化を何とか自分の力で浄化出来れば…

「…っ一か八かだけどやるしかない」

だが自分の体力が先に尽きて捕まってしまえば、自分は
自分の加護を吸い取られてしまうだろう。

…本当に一か八かだとは思う。
けれど、これは自分にしか出来ない事だった──。

「…ッこっちだ!!」
頬に冷や汗を垂らして大声でそう言うと、
グルン、と振り向いて直ぐにこちらに気づいた。

「…っ!」
自分の性格に合わない様な言葉を放ってしまったが、
これも作戦のためで、
そんな事を思っている場合ではない。

自分は逃げ足が早い。
その割にアギトさんは重い武器を持っている。

重い武器を持っていて
移動速度が遅くなっている故にこの作戦を考えついた。

そう思っていたけれど……。
『…っ斬撃の範囲が、大きい…!!』
風を斬るような、黒炎の斬撃…それを避ける度に
自分の方が先に体力がダウンしそうだった。

けれどこちらは、体力も鍛えてる身だ。
此処で負けて死ぬわけには行かない。

そうやって、此処に留まっている間にも
彼の暴徒化は進行してしまう…。

勇気をふりしぼり、自分はまた姿を現し、
そして逃げる、これの繰り返しでようやく
彼の体力を消耗させることが出来た。

たとえ自分の体が傷だらけになっても、
こんなに大切なものを
守ろうとしたのは今まで初めてだった。

そうして自分は、前世で記憶した『とある方法』。
…それを使って暴徒化を収めるという物だ。

「少々目が眩むかもしれませんが…我慢してください。」
そして自分は、眩い光とともに
アギトさんの記憶の中に入り込んだ。

「…此処が、アギトさんの【記憶の箱】の中……。」
赤黒く燃える火炎と暗闇で覆われている森だった。
けれどその炎は、煙を吸った時の喉の痛みもなかった。

すると、何処からか子供の泣き声が聞こえた。
その方向へと向かうと、そこにいたのは
アギトさんの幼少期の姿と思われる男の子が
座り込んで泣いていた。

すると、真っ先にこちらに気がついて警戒していた。
「──っ!誰だお前…!こっちに来るな…!!」
怒るような幼い声で、
睨みつけるようにそう言った。
昔の彼は、こんな感じだったのかな。
…そう思いつつ、自分はなにか言葉を選ぼうとした。
「…オレは、」

……かける言葉が、見当たらなかった。
けれど…少しした後すぐに分かった。
…彼は、誰かに声をかけて欲しいのではなく
ただ単に、抱きしめて欲しいのだと。

「…!」
近づいて彼を抱きしめたその後に…
慟哭するかのように、でもどこか静かに泣いていた。

自分はそれを…何も言わずに思わずに、ただ
泣いている彼を慰めるように抱きしめていた。
…彼は幼少期の頃、
誰かにそうして欲しかったのだろう。

そうして…夢のような彼の記憶から目覚めた。

「アギトさん。」

その後に、ようやく夜が明けた。

「…ぁ…アンル…?」
目が覚めた後
唖然とした顔でそう言う彼を見て自分は、
嘗てにリーエがしてくれた様に、
彼を自分から抱きしめて優しい顔でこう言った。

「…貴方は、誰かにこうして欲しかったのでしょう…」

「…ッ…アンル……っ」
するとアギトさんは震えながら、
始めてみる顔で泣きながらこう言った。

「…あぁ、そうだ…怖かったんだ、ずっと…」

「俺がいる事で…ッ俺のせいで…誰かが死んで
離れていくのは、もう怖くてたまらなかった…」

そうやって泣きながら彼が言うと、
自分は優しくこう返した。

「…貴方が安心するまで
オレはずっと、あなたのそばに居ますよ。」

すると彼は目に涙を浮かべながら、
自分と同じように、優しい笑顔でこう言った。
「……そうか…」

──そしてあの日から1日が経とうとしていた。
自分の怪我も完治して元気を取り戻している。

アギトさんも何やら、食欲が戻ってきたらしい。

そうして、あの日以来自分と二人きりになった時に
とにかく素を見せるようになって少しばかり嬉しかった。

……けれども、その反面に少しだけだが困惑していた。

それに加えてアギトさんは
何やらその気持ちに気がついている様子ではあった。

「…」
そうして翌日、朝の9時になり
中庭で少し休憩しようと思っていたが
偶然アギトさんに捕まってしまった。

「ん…アンルの手、おもったよりも小さいんだな」
中庭のベンチにアギトさんと自分は座りながら
自分の後ろでそう言っていた。

隙あらば手を意味もなく無心になって握ったり…
凄くスキンシップをするようになってしまった。

『ぐぬぬ…がまん、我慢するんだ……ッ』

握られている方の手がくすぐったかった。
突如の事に自分は戸惑って困惑していた…けれど
何も言わず逃げようとしても、彼の事だから
自分の元へと付いてくるだろうと思った。

そう思った終いに考えるのをやめ、
逃げる事に諦めが着いた自分だった。

が然し、それも束の間…。
時期に自分の心の耐性?…に似た何かが
保て無くなって行ってしまった。

それを逃れる為にも、
と思い自分は少しばかり脱出を試みたが…
……彼の腕がビクともしなかった。

まさか自分の鍛錬不足か…?とも思っていたが
ただ単に彼の力が強すぎただけだった。

すると、アギトさんがウトウトと眠たそうな
息まじりの声をしてこういった。
「…ねみぃな…」

まさか…このまま寝るつもりなのか…!?
そう思った束の間に自分は
焦る様な表情をしながら彼に提案をした。

「あっ…アギトさん…
寝るなら自室で寝ましょう…?」

「…」
然しそのまま彼は手を握りながら自分の耳元で
寝息を立てて眠ってしまった。

「っわ……!?」

すやすやと自分を
抱きながら気持ちよさそうに眠る彼を横目で見ていた。

驚いてしまっていた自分は心の中で
ほわほわした気持ちになり、少し恥ずかしかった。

すると、そこに兄さんが通り掛かった。
「あれ?アンルとブラザー、こんな所でどうしたの?」

自分は兄さんに少しばかり
困り顔の様な助けてと言う様な表情をして助けを求めた。

アギトさんは目を覚まし、
真っ先に反応し切り替えてこう言った。

「…ん、おう。特には何もねぇから安心しな。」

すると兄さんは何故か分からないが
頬に汗を垂らしながらこう言った。
「そっ、そっかぁー…分かった!
じゃあ朝ごはん出来たらまた呼ぶからね!」

兄さんは自分の助けを求める顔に
気づいていたのか分からないが、
その挙句それを無視された。

「…うぅ…」

そしてかれこれ朝食の時間にて…。
先程の事は何事も無かったかのようだった。

『オレとしては別にいいんだけど、まぁいいか…』

そう思いつつ、自分達は
時々みんなと会話を交わしながら
出された朝食を少しゆっくりと食べ進めていた。

……
そう言えば、アギトさんが朝食を食べてる所は
初めて見た気がしたな…と思った。

意外にも綺麗な食べ方だった。
それを少しだけ横で見てしまっていた。

すると視線に気がついたのか彼が此方を横目で見た。

「…ん?」

不思議そうに彼が自分の方を見ると
自分は慌てた様子で、

「あっいや、何でもないです…!」
──と言いつつその後に目を逸らした。

そうして…朝ご飯を食べ終わり、
自分は自室にて
旅で後々必要になりそうな薬を調合しながら
少しだけ色々考え事をしていた。

最近は色んなことが重なって起きていた。
…あの日に、師匠が亡くなってから
自分はどこかぎこちなかった。

「…あぁダメだ、こんな事考えちゃ…」
「…。」
そう言えばアギトさんにも
神々の記憶以外にも、自分と同じく
自身としての前世の記憶は有るのだろうか。

でも何故か、それを
聞いてしまっては行けない気がした。

…そう思って少しの悪寒を感じた為か、
そのことは考えないようにした。

そうしようとしたのだが…その事が気になる故に
必要になる回復薬の調合が未だ終わらなかった…。
「ぅうーん、終わらない……」
「…ちょっと怖いけど…
もういっその事聞いてみようかなぁ…」

そうして作業を一旦中断し、アギトさんの部屋に行って、
…少し怖いけれどその事を聞いてみることにした。
すると彼はこう答えた。
「ん?…あぁその事か、
お前よりかは覚えてねぇが…一応あるぜ。」

自分は、それに少し震えながらこう言った。
「…やっぱりあったのですか、
アギトさんの前世の記憶…」

彼は、頭にハテナを浮かべるように…どうしたんだ?
──というような目で、首を傾げて自分を見ていた。

……
もうそれは大昔の事であって、
今はれっきとした仲間で自分達の旅団の一員だ。
例え前世にて自分を殺した暗殺者が
アギトさんの前世だとしても
そんな今になって、殺しに来たりなどはしないだろう。

「うーん…」
すごく接してくれるようになったのは、
嬉しい…のだが、少し困惑しているのは
自分だけなのだろうか…

そこで自分は先程、中庭に居た兄さんに
少しばかり聞いてみることにした。
「…んー、アンルだけにだと思うよ?」
その言葉に自分は、腕を組んで
考える仕草を見せつつこういった。
「そうなんだ…」

すると綴って兄さんは、何やら
感謝しているような…真面目な表情をしてこう述べた。
「それにさ…あの時アンルがブラザーの暴徒化を
止めてくれたのもあってだと、オレはそう思うよ。」

「…そうなのかな…。」
自分が照れ隠しをしているようにそう返すと、
兄さんは何故かニマニマしながらこう言った。

「ん~??なーに照れてんのさっ♪」

勘づかれたか…と思ってめんどくさかった。
けれどこれも兄さんにとっての接し方だと思えば、
その感情も段々と薄れてきた。

そして昼には、
これから自分達が継ぐ旅団について考えることにした。

団長は誰にするか、
そもそも嘗ての仲間達や、師匠が亡くなってから
旅団の名前すら決まっていなかった。

すると、兄さんがこんな提案を出した。
「旅団長はアンルで良いんじゃないかな?」
確かに自分は副団長としても旅をしていたものだから、
それもいいかもしれない…それに、
この提案で賛成してきる人も多くいる。
「…うん、そうしよう。」

それから会議が終わり、
旅団の名前は星座語で『健闘』を意味する名前で
「リルエッタ旅団」になった。

これから自分が、この旅団を紡いでいくのだという
誇りと少しの緊張感があった。
…その気持ちと反面に、師匠の意志を紡いでいこうと
自分は、固く決心した。
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