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「レティシア嬢、遅くなって申し訳ございません。ご無事でしょうか?お怪我などは……」
「え、ええ……平気ですわ。ありがとうございますルクセイア公爵様」
思わぬ形での夫婦の再会を果たしてしまった。
騎士の礼をするアレクセルに正面から顔を見られたくなくて、明後日の方向を向きながらシルヴィアは答えた。明らかに不自然だが致し方ない……。そして声色や話し方も当然レティシアに寄せて。
しかし流石に魔法で、髪や瞳の色をレティシア色にしているとはいえ、アレクセルに顔をしっかり見られるとバレそうな気がしてくる。
(ま、まま、まだ旦那様にバレていない筈!落ち着くのよ。取り敢えず、平静を装いながらレティシア様の演技をしつつ、馬車に戻るまでの時間を乗り切る!森から出たらこっちのものだから!多分)
混乱しながらも、シルヴィアは必死に思考を前向きに持っていくようにしていた。微笑を浮かべようと頑張るも、頬が引きつりそうになる。
「ちなみにそこに倒れている者は、毒を塗り込んである矢を受けて、今は体が痺れていています。もうレティシア様に手出し出来ないでご安心下さい」
「まぁ……そうですのね……」
ちらりとシルヴィアを襲った毒矢で倒れている黒髪の騎士に視線を向けると、痺れた体を更に縄で拘束されていた。毒が使われていなくとも、流石に一人ではこの人数の近衛騎士に立ち向かう事は出来ないだろう。
「お怪我がなくて何よりでした、密かに向かっていた近衛の部隊も合流致しましたので、より安全に我が国へとお送りさせて頂きます」
「まぁ、騎士団長様もご同行して頂けるなんて、頼もしい限りですね。心より感謝致しますわ」
ウフフと笑う隙に手を当てると、口元が隠れる。その時、僅かな時間アレクセルと顔を向き合わせる事が出来た。
(顔が半分隠れているのだから、この位大丈夫よね。ずっと明後日の方向をみているのは流石に不自然だし……)
仕事中のキリリと引き締まった表情に、形の良い口元は僅かに微笑みを浮かべている。凛々しくもあるが、久々に会ったアレクセルは相変わらず美しかった。
「え、ええ……平気ですわ。ありがとうございますルクセイア公爵様」
思わぬ形での夫婦の再会を果たしてしまった。
騎士の礼をするアレクセルに正面から顔を見られたくなくて、明後日の方向を向きながらシルヴィアは答えた。明らかに不自然だが致し方ない……。そして声色や話し方も当然レティシアに寄せて。
しかし流石に魔法で、髪や瞳の色をレティシア色にしているとはいえ、アレクセルに顔をしっかり見られるとバレそうな気がしてくる。
(ま、まま、まだ旦那様にバレていない筈!落ち着くのよ。取り敢えず、平静を装いながらレティシア様の演技をしつつ、馬車に戻るまでの時間を乗り切る!森から出たらこっちのものだから!多分)
混乱しながらも、シルヴィアは必死に思考を前向きに持っていくようにしていた。微笑を浮かべようと頑張るも、頬が引きつりそうになる。
「ちなみにそこに倒れている者は、毒を塗り込んである矢を受けて、今は体が痺れていています。もうレティシア様に手出し出来ないでご安心下さい」
「まぁ……そうですのね……」
ちらりとシルヴィアを襲った毒矢で倒れている黒髪の騎士に視線を向けると、痺れた体を更に縄で拘束されていた。毒が使われていなくとも、流石に一人ではこの人数の近衛騎士に立ち向かう事は出来ないだろう。
「お怪我がなくて何よりでした、密かに向かっていた近衛の部隊も合流致しましたので、より安全に我が国へとお送りさせて頂きます」
「まぁ、騎士団長様もご同行して頂けるなんて、頼もしい限りですね。心より感謝致しますわ」
ウフフと笑う隙に手を当てると、口元が隠れる。その時、僅かな時間アレクセルと顔を向き合わせる事が出来た。
(顔が半分隠れているのだから、この位大丈夫よね。ずっと明後日の方向をみているのは流石に不自然だし……)
仕事中のキリリと引き締まった表情に、形の良い口元は僅かに微笑みを浮かべている。凛々しくもあるが、久々に会ったアレクセルは相変わらず美しかった。
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