千里眼の魔術師は赤銅の色を知らない

くろいひつじ

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24 暗躍する

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 帝国内の阿呆の処分は、やる気を出させた内部監査に任せておくとして。

 アレス団長は呆れていた。
 オンフォルコーマ王国側のずぼらすぎる情報管理が〝他国で第四王子が消されることを望んでいるから〟としか見えないことに。

 しかもそれを望んでいる者の数は一人ではない、と推測ができることにも。

 なにかの罠なのか、他にも情報がないかと探らせてみたが、第四王子以外の醜聞は出てこなかった。
 少なくとも三人の兄王子がいるだろうに、立派な王子たちであるとしか。

 つまり、第四王子だけ悪評をわざと流されている。
 その可能性が高かった。

 そこから推測されること。
 第四王子の引き起こした様々な問題を、これまでは王子の母か父のどちらか、もしくは両親が揃ってもみ消してきたのだろう。

 名前と権力と金でゴリ押しできる自国内で完結させておけば良かったのに、国外に出してしまうから、守りきれなくなるのだ。

 バカな子ほど可愛い、なんて言葉を、アレス団長は信じていない。

 親が子を思う気持ちはわかる。
 それが可愛い子なら、なおさら。

 どれだけ愛しく思っていても、親の醜聞は子の未来を奪い、子の愚行は親の足元を揺るがす。

 一族郎党の雁首揃えて共倒れになる可能性。
 バカな子を庇う親は、その可能性に気がつかないのか、目を逸らしているのか。



 面倒に巻き込まれた、もしくは被害者になった周囲は、第四王子の物言わぬ帰還を願っている、とアレス団長は確信を持った。
 そして、動くことにした。

 とりあえず手始めとして、外交担当を脅した。
 「帝国の魔術兵、それも魔術兵士団の副団長を、強姦して国外に連れ出そうとした醜聞を広めたくないでしょう?」と。

 スレクツは貴族ではない。
 さらされた名前が傷つくことより、命と立場を守らなくてはいけない。

 万が一の場合には、母親として、己の命を使ってでも止めるし、守りぬく。
 それがアクセプティール・アレスの矜持だ。


 さも証拠があるような振る舞いなら、アレス団長はできる。
 貴族として生まれ育てば、得手不得手はあっても腹芸ができなくては困る。

 証拠は残さずに、中身を徹底的に破壊した第四王子をオンフォルコーマ王国につっかえす。

 それがアレス団長の考えた落とし所だ。
 本当なら股間のものをもいでやりたいが、まだ一応は他国の王族として籍がある以上、外傷を残すのは不味い。

 帝国内で引き起こしかけていた問題を交渉材料にすれば、第四王子を失脚させたい層が食いつくだろう。
 中身を壊しておけば、二度と国外に出せない。

 見知らぬ誰かにとっても最上の結末だろうよ、とアレス団長は口の端を釣りあげた。
 壊れた王子の行く末など、知ったことではない。

 
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