異世界転生ワールド

第1章:ようこそ！異世界バブロニア王国

第7話：覚悟の先にあるもの

紫苑とサラは、バブロニア王国軍の本拠地へと向かっていた。軍の会議が開かれる間、二人は無言で歩を進めた。紫苑は心の中で、これから待ち受けるであろう厳しい尋問や処分に対する覚悟を固めていたが、その表情には一抹の不安がにじんでいた。

サラは、そんな紫苑を気に留めることなく歩き続け、時折彼の横顔をちらりと見ながら心の中で思いを巡らせていた。

サラ（心の中）
「この男、本当に覚悟を決めているのかしら。言葉だけじゃない、本当にすべてを受け入れる覚悟を持っているのか…それを知りたかった。けれど、あたしがついていなきゃ、この先どうなるかもわからない。彼に賭けるしかない…」

二人が到着したのは、バーベル王の広間。その厳かな雰囲気の中、既に王、軍の大臣たち、そして隊長が集まっていた。

バーベル王
「紫苑、お前が戻ってきた理由はわかっている。だが、それに対する処分をどうするかは、我々の手に委ねられていることを忘れるな。」

紫苑はひざまずき、頭を垂れた。

紫苑
「はい、陛下。私が戻ってきた理由は、私の犯した過ちに責任を取るためです。処分を受ける覚悟はできています。どんな結果になろうとも、私はその責任を全うします。」

サラはその言葉を聞きながら、少しだけ眉をひそめた。しかし、彼の目には一切の迷いが見られなかった。決して揺るがぬ覚悟が感じられるその瞳を見て、サラは少しだけ安堵した。

バーベル王
「貴様の言葉に偽りはないようだな。しかし、処分は軽々しく決められない。今一度、詳細を聞こう。隊長、お前の判断を示せ。」

軍の隊長は立ち上がり、紫苑に向かって厳しい視線を送った。

隊長
「紫苑、私はお前に一度、戦場での指揮を任せた。その時、私はお前を信じていた。しかし、今回の行動は許されるものではない。お前が軍を裏切ったことで、数多くの命が危機にさらされた。それをどう説明するつもりだ？」

紫苑は沈黙した。言い訳をするつもりはなかった。すべては自分の責任だと理解しているからだ。

紫苑
「説明はできません。ただ、私がやったことには必ず理由がありました。どんな理由でも、それが正当化されることはないのは承知しています。ですが、私は逃げずに、受け止めます。」

その瞬間、サラが一歩前に出た。

サラ
「隊長、陛下、私からも申し上げます。紫苑が犯した過ちは確かに重大です。しかし、私は彼がその責任を取ろうとする覚悟を見てきました。彼が軍を裏切ったのは、何か他の事情があったからです。それを知らずに、ただ処罰を下すことが本当に正しいのか、私は疑問に思っています。」

サラの言葉に、広間の空気が一瞬張り詰めた。兵たちもそのやり取りに耳を傾け、息を呑んでいた。

バーベル王
「サラ副隊長、貴様の意見はわかった。だが、我々が決めるべきは処分だ。紫苑、お前には自分のしたことを認め、その代償を払ってもらう。それが軍に対する誠意だ。」

紫苑
「その通りです。処分を受けます。」

その後、会議は長時間に渡り、紫苑の処遇について議論された。最終的に、彼の過ちは許されるものではないとされ、厳しい罰が言い渡された。しかし、驚くべきことに、処分の一部として彼の戦術の再教育を受けることが提案され、最終的には軍に戻る道が開かれた。

バーベル王
「紫苑、貴様に与えられたチャンスは最後のものだ。これを生かさなければ、お前に未来はない。覚悟を決めて、これからの戦いに臨め。」

紫苑
「はい、陛下。必ず、この機会を無駄にはしません。」

紫苑は深く頭を下げ、その決意を新たにした。

サラ
「……紫苑、よくやったわ。これからも覚悟を持って進んでいきなさい。私はその背中を見守っている。」

紫苑はサラを見上げ、微かに微笑んだ。

紫苑
「ありがとう、サラ。あなたがいてくれて、本当に心強い。」

その言葉を最後に、二人は新たな一歩を踏み出すのだった。