死の境界で16人が殺し合う神前決闘

がんた

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第22話 正解のない場所

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刃が振り下ろされる。

その瞬間。

要は動かなかった。

避けない。

防がない。

ただ、

目を閉じた。



世界が消える。

会議室。

街。

怒号。

泣き声。

全部、

消した。

要は思考を整理する。

今見えているものは

すべて

仮定。

可能性。

幻覚。

つまり、

情報価値は

ゼロ。

要は結論を出す。

全部、捨てる。



次の瞬間。

要は目を開いた。

景色はまだ歪んでいる。

だが、

関係ない。

見えている情報は使わない。

使うのは

確定情報だけ。

要はゆっくり言った。

「美沙」

美沙の動きが止まる。

刃がわずかに止まる。

「……え?」

要は続ける。

「君の能力は幻覚」

静かな声。

「つまり」

一歩踏み出す。

「物理は変えられない」



美沙の目が揺れる。

要はさらに言う。

「人は幻覚を見ると」

足を一歩動かす。

「必ず」

もう一歩。

「本体から離れる」

美沙の呼吸が止まる。

要の手が

霧の中に伸びる。

そして、

掴んだ。

美沙の手首。



「……え?」

美沙の声。

霧が揺れる。

幻覚が崩れる。

円壇が戻る。

黒い石。

水面。

青空。

すべてが

元の世界に戻る。

美沙の目が大きく開かれる。

「なんで」

要は答える。

「単純だ」

そのまま

体を引く。

美沙の体勢が崩れる。

要の足が

美沙の足を払う。

美沙が倒れる。

石の上。

ゴッ。

呼吸が抜ける。



要は刃を取り上げる。

美沙は起き上がろうとする。

だが、

肋骨。

衝撃。

体が動かない。

要は刃を構える。

距離、

一メートル。

完全な決着距離。

美沙は笑った。

少しだけ。

「……やば」

息を吐く。

「今の」

小さく言う。

「ずるくない?」

要は答えた。

「合理的だ」



美沙は天井を見た。

青い空。

さっきまでの幻覚は

どこにもない。

「……そっか」

小さく笑う。

「やっぱ」

要を見る。

「あなた強いね」

要は何も言わない。

美沙は続ける。

「でもさ」

少しだけ目を細める。

「一個だけ」

静かな声。

「教えて」

要は待つ。

美沙は聞いた。

「あなた」

少し笑う。

「それでも」

そして言う。

「正しかったって思う?」



要は答えなかった。

ほんの一瞬。

沈黙。

その間に、

美沙の体が光り始める。

敗北。

粒子になっていく。

美沙は最後に言った。

「まあ」

少しだけ優しい声。

「悪い人じゃないよ」

笑う。

「たぶん」

そして、

光になって消えた。



円壇に

要だけが残る。

静寂。

水面は揺れない。

要はしばらく立っていた。

そして、

小さく息を吐いた。

さっきの質問が

頭に残っている。

「正しかったのか」

要は答えを出さない。

代わりに、

ただ

次の戦いの方向を見た。

この場所では

まだ

終わらない。
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